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環境の学び

シリーズ『地球温暖化(No.6)』

地球温暖化とエネルギー供給

 

  環境社会学部教授 鈴木 弘孝
博士(農学)

 図1は、2013年度の日本の一次エネルギー供給源の構成内訳を示したものです。これより、石油が最も多く43%を占め、次いで石炭が25%、天然ガスが21%の順となっています。これらの供給源は、いずれも化石資源であり、三つの合計で実に89%を占め、いずれもCO2の排出増にプラス側に寄与します。原子力は、福島第一原子力発電所の事故に伴い、原子力発電所は休止状態のため、この年度は0%です。一方、再生可能エネルギーなどの割合は、わずかに8%にとどまっています。再生エネルギーは、半分が水力発電、残りが太陽光や風力発電、地熱発電、バイオマス発電・熱利用などです。2009年から家庭用太陽光固定価格買取り制度、2012年から固定価格買取り制度が導入されたことに伴い、太陽光発電が急増しました。一方、風力発電などはほとんど増加していません。

 

図1 日本の一次エネルギー供給内訳(2013)


(出所)資源エネルギー庁 2015「エネルギーバランス表(2013)」より

 

 図2は日本の一次エネルギー供給量のエネルギー種別経年変化を示しています。一次エネルギー供給量は、1965~2013年度までの約50年間で約3倍に増加しています。高度成長期の1965~73年度には、わずか5年間で倍増しましたが、第一次オイルショック(1973年)と第二次オイルショック(1979~1980年)を機に省エネの取り組みが進められ、1980年代前半まではエネルギー供給量はほぼ一定でした。しかし、1986年頃からは再びエネルギー供給量が増加しています。
 エネルギー源別で見ると、1973年までは石油の割合が増えていますが、オイルショック後には石油の割合が低下し、他の燃料、とくに石炭と天然ガス、原子力が増加しました。近年は石炭の増加が著しく、これはCO2排出削減を図る上において、温暖化対策に逆行しています。福島第一原発事故が起こった2011年以降は原子力の割合が急減しています。今後、安全が確認された原子力発電所から、順次、再開されることとなるため、原子力の割合は再び増加していくことが予想されます。 この図より、わが国のエネルギー供給源のほとんどを石油や石炭、天然ガスなどの化石資源に依拠していることが分かります。再生エネルギー主体のエネルギー供給の仕組みへ転換していくことは容易でないことが、この図から読み取ることができます。

 

図2 日本の一次エネルギー供給の推移

(出所) 日本エネルギー経済研究所計量分析ユニット編「エネルギー経済統計要覧2015」

 

 図3は業種別CO2排出割合を示していますが、これは環境NGO(気候ネットワーク)が業種別の排出源からのCO2排出量を推計したものです。これより、発電所が32.5%と最も多く、次いで、製鉄などの鉄鋼関係が11.6%を占め、両社で全体の4割強を占めています。一口に工場といっても、CO2の大口排出源である巨大素材工場から小口の町工場まであり、その排出規模は様々です。大口の工場からの排出量が全体の約7割を占めています。
 これに対して、数百万社に及ぶ中小企業やオフィス、商店、家庭、自動車などからの排出量は約30%にすぎません。CO2排出量の削減を進めていく上においては、大口排出源となる発電所をはじめ大口の工場や事業所での削減対策を産業と経済の持続的な発展との総合的な調整のもとで、着実に推進していくことが今後ますます重要になってきます。

 

図3 CO2大口排出源の業種別CO2排出割合

(出所)気候ネットワーク「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度による2010・2011 年度データ分析」(2014年)より