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環境の学び

シリーズ『地球温暖化(No.7)』

地球温暖化と生活環境への影響

 

  環境社会学部教授 鈴木 弘孝
博士(農学)

 図1は日本における1989~2014年までの年平均気温の経年変化を示したものです。これより、平均気温は様々な変動を繰り返しながら上昇していることがわかります。上昇率は100年あたり1.14℃で、世界の年平均気温の100年間の上昇率が0.70℃に比べると、約1.6倍の上昇になっています。

 

図1 日本の平均気温の上昇


(出所)気象庁:(http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/chishiki_ondanka/p08.html)

 

 温暖化による人間への健康影響として、「熱中症」の増加が上げられます。
 図2は年間死亡者数の推移を表したものですが、1995年以降増加傾向にあり、とくに夏(6~8月)の平均気温が1898年以来で観測史上最高を記録した2010年には、熱中症による搬送者は5万6千人を超え、死亡者も1745人に上りました。図の折れ線が示す平均気温の偏差と死亡者数には相関関係が見られます。さらに、熱中症は、日最高気温が30℃を超す「真夏日」の日数および最低気温が25℃以上の「熱帯夜」の日数の増加によっても増加します。

 

図2 熱中症による年間死亡者数の推移

 

 温暖化による人間への健康影響については、熱中症という直接影響のほかに、「デング熱」などの感染症の拡大という間接影響も考えられます。温暖化に伴う、降水量の増加や気温上昇により蚊などの感染性ウィルスを媒介する動物の生息域が拡大し、感染のリスクが強まると考えられています。
 デング熱は蚊が媒介するウィルス性の感染症で、日本ではヒトスジシマカが媒介蚊として生息しています。2014年8月に東京の代々木公園を中心にデング熱の発症が確認され注目を集めました。図3より、デング熱を媒介するヒトスジシマカは年平均気温が11℃で生息が可能になることから、その分布域は温暖化に伴い広範囲に広がっています。1950年頃には生息域の北限は関東地方でしたが、現在では、秋田県、岩手県等の東北地方北部にまで拡大しています。

 

図3 ヒトスジシマカの分布域の拡大(1998~2012年)

        (出所) 環境省 地球温暖化「日本への影響」