味わったことのない泣くほど嬉しいこと
上田 実弥 今回私がお世話になったのは東北新社クリエイツという制作会社さんです。ここで英勉監督、「チチ、カエル」(フジテレビ系列)という作品の演出部としてお手伝いしてきました。
この作品は、今一押しの山本裕典さんと池田鉄洋さん主演の深夜ドラマでした。内容は笑いあり感動ありのとてもテンポのいいものです。
わたしは撮影に入る前の美術部さんとの打ち合わせ、「美術打ち合わせ」から参加させていただきました。この打ち合わせは、監督・助監督・プロデューサー・美術部・撮影部が参加します。まず、監督が自分の中の作品に対するイメージを事細かに美術部さんに伝えるとことから始まります。聞いたイメージをもとにどこまでなら予算内で、どの小道具を使って出来る、厳しい、うちがこの機材を出すなど、ドラマの現場にあるもの全てにおいて話し合い、完全に決めていきました。また、カメラのアングルについても大方この打ち合わせで決めました。話し合う中で、お互いがお互いを支えあって一つの作品が出来上がるのだと実感しました。終盤になるとスタッフの中に共通のイメージが出来上がっているのを感じ凄く興奮しました。
小道具の回覧板演出部としてやらせていただいたお仕事は打ち合わせで決まった小道具<免許証・回覧板・メモの三点>のイメージ案の作成でした。案は出来上がったら美術部さんに回して、形にしてもらいます。回覧板・メモに関しては下書きとサイズなどの決定、免許証になると完璧に本物の免許証に似せるため、住所、生年月日や更新した記録と細部に至るまでやらせていただきました。このとき助監督さんに、「面白く作って役者さんに拾ってもらえたら最高に嬉しくて達成感を味わえるよ」と教えていただき、自分なりに拾ってもらえそうなところを考えながら試行錯誤しました。案が完成するまでに助監督さんに何度も何度も直しをしてもらい、美術部さんには期限まで延ばしてもらってやりました。
セットで英勉監督といざ撮影に入ると本当にあっという間に終わってしまいました。撮影初日は、初めての現場だったので、様々なスタッフさんの邪魔だけにはならいよう心がけるのが精一杯でした。しかし日数をこなしていくうちに自ら率先して声を出して手伝いに行けば仕事はあるということに気がつき、「演出部」の枠にとらわれずに色々な仕事をしました。カメラのコードをさばいたり、照明さんのお手伝いをしたり、タレントさんへのちょっとした気配り・お茶だしやお弁当配布・ゴミの始末などなど。どれもこれも初めての体験だったので、楽しい半分要領の悪さが出てしまい、凹んだりしました。が、積極的にお手伝いすることで、知らなかった専門用語を教えていただけて、得るもののほうが断然多くてやる気が沸いてきました。そんなやる気になっていたときに役者さんがわたしの作った免許証に触れながらお芝居しているのを観て、助監督さんの言っていた通り、達成感と感動が沸き、泣きそうになりました。これが楽しみなのだ!と実感した瞬間でもありました。 撮影で使われたカレー
最後になりましたが、こんな楽しいし経験や勉強になる場を提供していただきました東北新社クリエイツさん、何も出来ないわたしを受け入れて下さった監督をはじめ多くのスッタッフの方々に心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
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