2003.4.15(火)〜5.10(土)
水田コレクション 浮世絵は楽し2
役者絵

江戸時代の庶民にとって娯楽の場といえば、歌舞伎小屋のある芝居町と遊里の二大歓楽街でした。量産可能な浮世絵版画によって、大衆の人気を集める歌舞伎役者を描いた役者絵は、浮世絵のはじまりから今日まで続く、最も重要なジャンルです。
江戸庶民にとって、役者の似顔絵は、現代でいえばアイドルスターのブロマイドのようなものでした。それまでの芝居番付や版本挿絵にあきたらない庶民の要求に応え、元禄後期(18世紀初頭)に、鳥居清信が特定の芝居に取材した一枚摺り版画を売り出し、役者絵が誕生します。鳥居派は荒事の所作を「ひょうたん足・みみず描き」という手法で捉えて人気を得、錦絵以前の役者絵を独占しました。やがて多色摺りの錦絵が完成すると、勝川春章、一筆斎文調らにより、役者の容貌を描き分けた似顔表現が登場します。勝川派は細判の続物を始め、また楽屋姿を描くなど、役者絵のレパートリーを広げました。寛政年間(1790年代)には、大判錦絵による「大首絵」が大流行します。
この役者似顔をクローズアップした半身像は、東洲斎写楽の雲母摺の大首絵シリーズが刺激となり、以後役者絵の主要な表現となりました。江戸後期には、歌川豊国ら歌川派の絵師の活躍により、大判続物のワイドスクリーン、様々な趣向をこらした揃物と、多様な展開がみられます。
このたびの展覧会では、水田コレクションの9点の写楽作品のうち3点を出品いたします。鳥居、勝川、写楽、そして幕末最大画派となった歌川派の作品によって、役者絵の豊かな展開をじっくりご覧ください。

関連イベント
松木寛氏 2003.5.10(土)
第5回講演会
演題:「写楽と蔦屋重三郎」
講師:松木 寛(まつき ひろし)氏
講師プロフィール:
東京都美術館学芸員
1947年仙台市生まれ
東北大学文学部大学院修士課程修了

主著:『蔦屋重三郎―江戸芸術の演出者』(日本経済新聞社、1988年、講談社学術文庫、2002年)、『御用絵師 狩野家の血と力』(講談社選書メチエ、1994年)

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