2008.9.30(火)〜10.18(土)
水田コレクション浮世絵名品展
 特集=役者絵

江戸時代の庶民にとって娯楽の場といえば、歌舞伎小屋のある芝居町と遊里の二大歓楽街でした。浮世絵版画の中でも、大衆の人気を集める歌舞伎役者を描いた役者絵は、浮世絵のはじまりから今日まで続く、最も重要なジャンルです。

江戸庶民にとって役者の似顔絵は、現代でいえばアイドルスターのブロマイドのようなものでした。それまでの芝居番付や版本挿絵にあきたらない庶民の要求に応え、元禄後期(18世紀初頭)に鳥居清信が特定の芝居に取材した一枚摺り版画を売り出し、役者絵が誕生します。鳥居派は荒事の所作を「ひょうたん足・みみず描き」という手法で捉えて人気を得、錦絵以前の役者絵を独占しました。やがて多色摺りの錦絵が完成すると、勝川春章、一筆斎文調らにより、役者の容貌を描き分けた似顔表現が登場します。勝川派は細判の続物を始め、また楽屋姿を描くなど、役者絵のレパートリーを広げました。寛政年間(1790年代)には、大判錦絵による「大首絵」が大流行します。この役者似顔をクローズアップした半身像は、東洲斎写楽の雲母摺の大首絵シリーズが刺激となり、以後役者絵の主要な表現となりました。江戸後期には、歌川豊国ら歌川派の絵師の活躍により、大判続物のワイドスクリーン、様々な趣向をこらした揃物と、多様な展開がみられます。

このたびの展覧会では、水田コレクションの9点の写楽作品のうち3点を出品いたします。関連して、歌舞伎役者が演技を終えた後、隈取(化粧)をした顔を絹や紙に押しあてて写した押隈も展示いたします。鳥居派、勝川派、写楽、そして幕末最大画派となった歌川派の作品によって、役者絵の展開をお楽しみ下さい。

背景は《九代目松本幸四郎の松王丸押隈》

新藤茂氏 講演会
2008年10月4日[土]13:30〜15:00
演題:「写楽と国周〜役者絵鑑賞の先入観〜」
講師:新藤茂氏(東京工芸大学大学院講師・国際浮世絵学会常任理事)
会場:図書館棟3階プレゼンテーションホールにて *参加無料/要予約
講師プロフィール:
1947年浦和市に生まれる   
1971年東京理科大学理工学部数学科集合論専攻卒業
1971-96年数学科教諭として、川崎市立富士見中学校ほかに勤務
現在、東京工芸大学大学院、早稲田大学エクステンションセンター、東京理科大学公開講座、神奈川大学エクステンションセンターで講師を務めるほか、歌舞伎座筋書表紙の役者絵解説などを担当
著書:『五渡亭國貞 役者絵の世界』、共著『三代目澤村田之助』、共著『図説「見立」と「やつし」 日本文化の表現技法』ほか

ギャラリートーク(当館学芸員による展示解説)
10月11日[土]、18日[土]、いずれも14:00〜

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