市長が選んだこの1点!
中田宏横浜市長が、コレクションから選んだこの1点!は、アントニオ・ベアトの《遣欧使節とスフィンクス》。アントニオ・ベアト(1820〜30年代-1906頃)は、幕末・明治期の日本の風景などを撮影したフェリーチェ・ベアトの弟と見なされ、自らもエジプトで写真館を開いた写真家です。本作は、幕府が、横浜開港の中止を交渉するため、外国奉行池田長発(ながおき)を正使としてパリへ派遣した使節団が、往路カイロに立ち寄ったとき、同地で撮影されました。外交の重要性に気づいた長発が、帰国後開国を進言しなかったら、2009年開港150周年を迎えるここ横浜は、現在の繁栄を見ていなかったかもしれません。
横浜美術館は、横浜が日本における営業写真館発祥の地の一つと位置づけられることから、写真術のはじまりから現代に至るまでの体系的な写真作品の収集に力を注いできました。現在当館で唯一の国の重要文化財指定作品も、写真技法の一つ、ダゲレオタイプによるE・ブラウン・ジュニアの《遠藤又左兵衛と従者》です。このコーナーにおいては、重要文化財作品を同時に展示し(保存上の観点からレプリカを展示)、横浜美術館における写真コレクションの魅力の一端を紹介します。
アントニオ・ベアト《遣欧使節とスフィンクス》
1864年 鶏卵紙
25.2×30.1cm
横浜美術館蔵(寄贈)