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人との交わりの向こうにある「交流の創造」を目指して(中川正臣)

  • 教員メッセージ

2019年3月に行われた大学生訪韓団で団長を務めた韓国語コースの中川正臣先生に、訪韓団参加を通して感じたことを語っていただきました。
JIUで韓国語を学ぶ人、これから国際文化学科を目指す人、みなさんに読んでいただきたい文章です。



 

 2019年3月18日から28日の間、公益財団法人日韓文化交流基金と大韓民国教育部国立国際教育院が主催する大学生訪韓団第2団(以下、訪韓団)の団長という大役を務めさせていただきました。この訪韓団は、日本全国の様々な大学(短大も含む)から学生38名が選抜され、首都ソウルや地方都市の大学、機関などを訪問し、日韓交流を通じた相互理解と社会づくりに貢献することを目的としています。

 11日間のハードスケジュールの中で、学生は様々な地域で、様々な人々に出会います。それは、日韓の大学生や教員、ホームスティ先のホストファミリー、訪問先(ホテル、公共施設、お店など)の人々などです。この出会いは、訪韓団に参加したからこそ実現できるものです。しかし、私は、「人と人とが出会い、交わること=交流」とは考えていません。閉ざされた空間で、限られた人のみが行う交わりは、次なる交わりが期待できないからです。私は交流を「人と人が交わり、外に流れ出ること」と定義し、人と人との交わりが次なる交わりを生み出していく学びを「拡張型交流学習」と呼んできました。この訪韓団における交流学習も閉ざされた一部の人々の間で終わるのではなく、その交流をSNSなど世に発信し、拡張したり、他の訪韓団と縦横のつながりを実現するなど、拡張型交流学習の1つだったと思います。

 従来の教育では、個人が知識やスキルを身に付け、将来的にその知識やスキルを活かすことを目的とする、所謂、個体能力主義の立場をとってきました。この立場を訪韓団のような研修に置き換えると、教員(職員や主催者側を含む)は学生に何かを教えたり、与える側であり、学習者はそれを受け取り、蓄積する側です。一方、近年、台頭する社会文化的アプローチという考え方では、教員の役割は学生とともに社会参加する場を創り出していくことにあり、その社会参加をよりよいものにしていくために、あるコミュニティへ参加の仕方を変えていくことを学習と見なします。私自身、拡張型交流学習や状況的学習論を研究する教育研究者として、JIUでの教育実践と同様、訪韓団でも学生とともに社会参加の場づくりをしていくことを心に決め、訪韓団がよりよい社会づくりに貢献することを強く願い、参加を決意しました。

 その結果、学生たちは、私が思い描いたもの以上に質の高い成果を残してくれました。一例を示すならば、学生は交流を通じて様々な疑問や葛藤を持ち、これまでの自身の人とのかかわり方を振り返り、新たな交流を模索するなど、交流を拡張・発展させていこうとする姿が数多く見られました。また、訪韓団内の日本人同士の交流においても、よりよいコミュニティ形成のために自分たちの役割を再認識し、またその参加の仕方を試行錯誤しながら変え、実践していく姿を垣間見ることができました。訪韓団における学生の変容の詳細については日韓文化交流基金のSNS等で数多く発信されているため割愛しますが、韓国語や英語を学ぶ、現地の人々と接し文化に直接触れる、韓国に関する知識を増やす、ホームスティを体験するなどの個体能力主義を土台とする学習は、個人の短期留学でも十分可能かと思います。しかし、人とかかわり、そのかかわり方について仲間とともに模索し、実践し、振り返り、次なる交流につなげていく学習は、訪韓団のような協働でしか成し遂げることができない社会参加と言えるでしょう。

 私は、創造的で、内省的で、協働を重視する交流こそが、次世代を担う大学生に求められていると考えています。そしてその向こうには、学生たちが自ら交流を創り出していく「交流の創造」が待っています。是非、国際文化学科の皆さん、そして本学への進学を目指す皆さん、訪韓団に挑戦してください。

 

大学生訪韓団 Instagram:https://www.imgrumweb.com/hashtag/大学生訪韓団

日韓文化交流基金ホームページ:http://www.jkcf.or.jp/

日韓文化交流基金 Facebook:http://www.jkcf.or.jp/youth/2018daigakuseihoukan_boshu/?fbclid=IwAR2xtHEGE75NAIpbYNLJuL3w5mEkPLgCMI7wAGRRijD2DiwwOk-0hIFaIIk