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教員インタビュー 長尾宗典(日本史)

  • 国際人文学への招待


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「日本文化」の複雑さと向き合いながら、一人一人が自ら調べ、思考する力を

――研究テーマについて教えてください。

高山樗牛(1871~1902)と姉崎嘲風(1873~1949)などの人物を中心に、近代日本の思想と文化(美術や文学、宗教など)について研究してきました。


――どのような関心から、その研究をしようと思われたのですか。

明治時代の思想について勉強したいなと思っていたのですが、色々な哲学者や文学者たちが「日本文化」の特徴について盛んに議論しながら、しかも簡単に結論が出ていないことに興味を持ちました。

伝統的な価値観にしても、「日本的」とされる美意識にしても、調べれば調べるほど、自明なものはあんまりないんだなとわかってきて、それで「日本」について考えた人物の著作を読みながら、自分なりにこの問題を考えてみようと思ったのだがきっかけです。


――他にも、関心をお持ちのことはありますか。

JIUに来る前には図書館で働いていたこともあって、日本の図書館の発展の歴史や、雑誌などのメディアの発達と読者の関係についても考えています。


――図書館に勤めていたんですね。

はい。JIUにも水田記念図書館という立派な図書館があるので、国際人文学部で学ぶみなさんにもどんどん活用してほしいし、授業でもうまく使えるといいなと思っています。


――授業ではどの科目を担当されていますか。

学部では現在、「文化交流史(日本:欧米)」と「日本文化論」などの講義を担当しています。また秋学期には「日本の歴史」なども担当する予定です。


――「文化交流史(日本:欧米)」では何を教えられていますか。

幕末期から明治・大正にかけて日本から海外に渡った留学生の歴史を取り上げています。

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――「日本文化論」ではどのような授業をされていますか。

明治維新から戦後にかけて書かれた日本文化論の本を取り上げ、岡倉天心や新渡戸稲造といった著者の人となり、本が書かれた時代背景などの解説をしています。留学生の受講者も多いです。


――授業でとくに強調されていることは何ですか。

いわゆる「日本文化」について考えるとき、揺るがない一つの特徴は何なのかという点に関心が向きがちだと思うのですが、「日本文化論」の講義では時代によって論じ方がかなり変わっていくことを知ってもらいたいなと思って話をしています。


――ちょっと複雑そうですが、学生たちは難しいとは言っていませんか?

確かにそういう感想が増えるのですが(笑)私の経験から言っても、まずはその複雑さ、難しさと向き合うことが、多様な文化を学び、考えていく上での大事な最初の一歩になるのではないかな…と考えています。


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授業で取り上げられた日本文化論の本の一部。学生はこれらの本を友人に向けて紹介する課題に取り組む。


――国際文化学科の特色を教えてください。

言葉の読み書きと言ってしまうと、どんな分野でも必要な能力なのですが、国際文化学科では、1年次からその点を特に丁寧にやろうとしていると思います。私もいま1年生向けの「基礎演習」という科目で、日本語によるレポートの書き方の指導をしていますが、じっくり文献を調べたりして、本やインターネットに書いてある情報を鵜呑みにせず、クリティカルに分析・思考していく態度を養うことをより重視しているのかなと思っています。


――JIUや国際文化学科のよいところを教えてください。

高校から大学に進学したばかりの学生が順調に大学生活に慣れていけるように、アドバイザー制度などを積極的に取り入れていて、教員の面倒見がすごく良いというのは、大きな特色だと思います。

また、留学生たちと一緒に、世界の様々な文化と比較しながら日本のことを学べるというのは非常に大きなメリットなのではないかと思います。教えながら、私も日々発見があります。


――最後に学生の教育についての抱負をお願いします。

教育のなかで大事にしたいなと思っていることが、三つあります。

一つめは、出来るだけたくさんの本に接する機会を作ること。図書館員だった経験を活かしつつ、授業の中でも面白かった本や、読書が苦手という学生が少しでも苦手意識を克服できるようなノウハウ、私自身の読書体験などを伝えていきたいなと思いながらやっています。

二つめは、現地に足を運んでみること。これは留学して海外の文化を学ぶことと同じくらい、日本史の勉強でも大切なことと思っています。

それから三つめは、思考の前提となる“調べる力”です。
文化を学び、それを継承・発展させていくのは決して簡単なことではありません。疑問を感じたら、すぐにわかった気にならないで、とことん調べてみること。そうして大学4年間のなかで積んだ経験は、きっと自分の世界を広げることに役立つはずと信じています。

国際人文学部の先生方は、熱心で丁寧に教えてくださる先生が多いので、わからないことはどんどん教員に聞きにきてください。

 

<略歴>群馬県生まれ。筑波大学大学院人文社会科学研究科歴史・人類学専攻単位取得退学。博士(文学)。2007年4月から2018年3月まで国立国会図書館勤務。2018年4月から城西国際大学国際人文学部国際文化学科に着任。専門は日本近代史、思想史、メディア史。著書『〈憧憬〉の明治精神史』(ぺりかん社、2016年)など。