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在学生座談会・国際文化篇「異文化を学ぶということ」

  • 国際人文学への招待

 国際文化学科には、韓国語や中国語、ドイツ語、英語などのほかに、文学、社会、歴史の教員も大勢います。国際文化学科の学生は、3年生になるとそれぞれの教員のゼミに所属し、就職活動を並行して卒業研究に取り組んでいきます。今回は、日本史のゼミを受け持つ長尾先生と、文学や社会のゼミに所属している3年生の伊藤愛莉さんと高野有未さんにお話を伺いました。

 

国際文化学科を選んだきっかけ

長尾 まず、お二人が国際文化学科を志望した理由を教えてもらえますか。

伊藤 私はもともと語学を勉強したくて。実家から通える範囲で、英語以外にも韓国語か中国語が勉強できる学校がいいなと思って探していて、ここを見つけました。国際交流学科にしようかちょっと迷ったんですけど、交流だと英語のほうに集中するのかなという印象があって、オープンキャンパスに来て、楽しそうだったのでここに決めました。

高野 私は、高校で世界史が楽しくて、それで海外に興味を持って。留学は短期でだったら行きたいなと調べていて。地元が新潟なんですけど、関東に行きたくて。あと、高校の先生にもお前のやりたいことができるんじゃないかとこの大学を勧められました。調べてみたら海外にも行けるし、語学も学べるし、歴史とか文化も学べるぞということで、ここにしようと思いました。私も交流と迷ったんですけど、交流の就職先を見たら、空港のスタッフで働く人が多いということで、それだと自分の目指すものとちょっと違うのかなと思って、どちらかというと自分は文化寄りかなと思いました。

長尾 就職先に関しては、確かに交流だと空港とかホテルとかが多いですかね。

伊藤 文化って空港は少なくないですか?

長尾 そうだね。全くいないわけではないけど、文化だともう少し傾向が多様だからね。特定の業界に強いとかではないけど、みんなが最終的に自分の興味をしっかり見つけて、資格も取って、そこに就職を決めているところがありますね。

 

留学と海外研修

長尾 伊藤さんが台湾に留学しようと思ったのは1年生で中国語をとったからですか?

伊藤 1年の春学期に中国語と韓国語をとってたんですけど、先生からどちらか一つにしないと大変だよと言われたので、秋から中国語に絞りました。そのときは中国語のほうが少人数で、対話するレベルで授業をやっていて楽しかったので。
 留学はしたいなと思っていました。日本中国文化交流協会大学訪中団というのにも参加したんですけど、留学は最初中国の方で考えていて。中国だと交換留学の行先は一つじゃないですか。

長尾 北京外語大ですね。あそこは結構高い成績が求められるからね。

伊藤 はい。学部全体でも交換留学を目指すとなると狭き門で、枠が学部全体で一人とかで。そのとき、交流学科でも英語の成績がすごくよい人がそこを希望していると聞いて。それじゃ難しいかなと思いつつ、とりあえず申し込んでみたら、私費のJEAP留学ならばチャンスもあるよと言われたんです。けど、お金がかかるし、交換留学を希望していたので断念して。

長尾 留学生の選考のときに中国語だけでなく英語の成績も聞かれるからね。

伊藤 そうなんですよ。ただ、せっかく勉強したから留学はしたいと思っていたら、台湾なら半年間行けるという話も聞いて。台湾だとちょっと言葉は違うかなという不安はあったんですけど、台湾研修で行った大学でもあったので、先生からも勧められて、それで台湾留学を決めました。

長尾 なるほど。実際行ってみたら何とかなった。字とかは簡体字と繁体字で違うけど。

伊藤 まあそうですね。ちょっと違うんですけど、聞き取ってもらえました。一応通じるという感じです。最初に行ったときは不安でしたけど、もう一人友達が一緒だったので、協力して。心強かったですね。それから友達も増えたし。

台湾留学中の写真

 

長尾 送ってもらっていた留学ブログの写真も楽しそうだったからね。そのときに出来た台湾の友達とはいまでも連絡を取りあってる?

伊藤 してますね。この間、親と台湾旅行に行った時にも連絡をくれました。

長尾 高野さんがドイツ研修に参加したのは、世界史からヨーロッパの方に興味を持って、それでドイツ研修に参加したんですか。

高野 はい。

長尾 ドイツ研修、実際に行ってみてどうでした?

高野 日本と風景が違うことに驚きました。あとは、すごく憧れていて、行ったらもっと好きになるかなと思って参加したんですけど、ドイツがダメってことでは全然ないんですけど、私には日本が合ってるんだなということに気付きました。

長尾 私の専門の明治時代に留学した人でもそういう事例がありますね。期待値が高過ぎて…という。

伊藤 私もヨーロッパは行ったことないけど確かに期待値は高い。

高野 自分は日本が好きで、日本の良さがわかったというのはあります。

長尾 でもそれは行かないとわからないことだからね。

高野 はい。でももちろんドイツにもまた行きたいんですけど。

伊藤 私も就活終ったらケルン大聖堂とか行ってみたいです。

高野 すごい大きかったです。

伊藤 街並みもおしゃれだし写真見ると本当行ってみたい。

ドイツ研修にて

 

国際文化演習(ゼミ)について

長尾 ちょっとゼミについても雰囲気を聞いていいでしょうか。遠藤ゼミは今本を読んで文献要約をしていると聞いたんですけど。

伊藤 それは春学期の授業内容ですね。私は春学期の間に留学していたので、戻ってきてから夏休み明け、秋学期の冒頭にやったんです。先生が指定した社会学入門の本を読んで発表しました。いろいろなテーマに分かれているんですよ。暮らしとか衣服とか食の文化とかのトピックがあって、それについて読んで自分で要約するという課題をやりました。
 秋学期になってからは、卒業論文で自分が書きたいテーマを決めて、先行研究を1つ選んで、読んだ本をまとめて発表しています。授業では、それを聞いて、先生や学生みんなでアドバイスし合うんです。それで学期の最後に、3000字くらいで卒論の最初の章のレポートと全体の流れを書き出すという課題が出ています。

長尾 テーマは、遠藤先生に聞いたんだけど、伊藤さんはファッション雑誌のことをやるの?

伊藤 韓国人の子がファッション雑誌のことをやった回があって、私も雑誌を買ったりし て読むので、色々アドバイスしていたら、先生から「伊藤さんもそのテーマいけるんじゃない?」って言われて。雑誌全体だと幅広いので、そのなかの化粧の文化とかをまとめてみようかなと。年代によってキャッチコピーが異なったりもするじゃないですか。現代のコスメとか男性用コスメとか。

長尾 面白そうだね。雑誌の歴史は奥深いんですよね。

伊藤 私はファッションのなかでも化粧とか。あと、モデルさんに決して外国人を使わない雑誌について、それは何故なのか、みたいなことをやろうかなと思ってます。

長尾 卒業研究でこういうことをできるっていう話は、この記事を読んでくれる受験生も絶対知りたいと思う。

伊藤 ずっと何にしようかと思ってて。興味あることはこれから決めようと思ってたら、ゼミの議論で盛り上がったので。ファッション雑誌全体は既にやっている子がいるから、私はそのなかの広告とか化粧品のことにたどり着きました。それなら外国との比較もできるかなと。実は明日発表なんですけど。ダメって言われたらどうしよう。

長尾 大丈夫だよ。

伊藤 ダメって言われたら美容整形とかも入れようかと思います。
 

さまざまなゼミがあります。

 

長尾 大森ゼミでも3年生はそろそろみんな卒論のテーマを決めているんですか。高野さんはどういうことをやるの?

高野 ドイツと日本の働き方の違いについてやろうと思っています。

伊藤 ドイツって早く仕事終わるって聞くよね。

高野 ドイツでは決められた時間内にどれだけ仕事ができるかが重視されていて、日本だと長くやればやるほど評価されるみたいになっていて。何でこういうことになっているのか、歴史的に調べてみようと思っています。

長尾 文学のゼミでも、卒論では文学以外のテーマをやってもいいんだね。普段は先生の専門に近いアメリカ文学のこととかもやっているの?

高野 春学期は先生が用意した英語のテキストをみんなで読んできて、それについてどう思うかを話し合っていました。秋学期は、卒論のテーマを決めて、それに関するブックレポートを毎週1人ずつ発表しています。

伊藤 先生のゼミは何やってるんですか?

長尾 日本の歴史を素材にして、やっぱり文献の要約と、あと歴史史料に慣れてもらうために史料の読解をやってますね。どうしても明治時代の古い言葉で書かれた史料を読まないといけないので、岩倉使節団の記録『米欧回覧実記』というのを読んでいます。これは 一応現代語訳もあるので。その合間に卒論のテーマ発表をしている感じかな。
 でも二人とも卒論の準備しっかり進めていて、うちのゼミももっと焦った方がいいのかと今話を聞きながら思っているところです。

伊藤 大丈夫ですよ。結構早くない?!って思いながらやってますよ。

高野 早いよね。

長尾 教員としては、みんな初めてのことだし、またこれだけの文章を書くのは大半の人が生涯に一度きりだから、後悔しないように、ギリギリでやるより計画的にやってもらったほうがいいなというのはありますね。何でって思うかもしれないけれど、卒論と就活はバラバラのことではなくて、うちのゼミでは広い意味の自己分析だと思ってやってくださいって言ってますね。

伊藤 難しい。
 

就職活動のこと

長尾 就職のことについて、今の考えを聞いてもいいですか。もう就職説明会にも参加したりしてるのかな。

伊藤 私は、元々事務を希望していたんですけど、この間就職フォローアップの講座を受けたんですよ。そうしたら講師の先生から、営業を勧められて。私は営業のノルマとか厳しそうで大変そうだなと思っていたら、その先生からは営業のなかにもルート営業とか、色々あるからって言われて。BtoB企業とか、メーカーとか自分のところで商品開発しているところが良いんじゃないかって勧められたんです。人と話すのは嫌いじゃないし、それなら営業もいいのかなと。

長尾 なるほど。

伊藤 ただ営業っていうだけだと職種がありすぎて。興味があるのは化粧品なんですけど、調べていったら、自分の会社が化粧品を開発していて、ドラッグストアとか百貨店に卸している商社っぽい仕事が見つかって、それが最近いいなあって思っています。今は、インターンシップより説明会に行きたくて。インターンシップを見ているとどういう化粧品を開発するか話し合おうみたいなのが多くて、まだ参加していないんです。エントリーも始まっていなくて、調べて良さそうなものをお気に入りに入れてます。あとは、合同説明会には行きました。私、好きなことを仕事にするという発想があんまりなかったんですよ。

長尾 それには考え方がいろいろあって、好きなことを仕事にしないとつらいっていう人もいるし、嫌いになり過ぎなければいい、仕事は仕事って割り切って、むしろプライベートが充実していればいいっていう人もいるよね。

伊藤 難しいなと思って。私はすこし漠然と考えていたんですけど、でも自分で探さなきゃいけなくなったときに、それだと検索のしようがないので。興味があることを考えたほうがいいよって言われて、今辿り着いたのがそこですね。化粧品業界は説明会に行ってよさそうだったら受けようかなと考えてます。

長尾 いけそうだよ。

伊藤 いけますかね。

長尾 うん。この間読んだ本にも体力があるし、一般論として若い人はだいたい営業に向いているという話が書いてあった。

伊藤 営業って、化粧品じゃなくて、例えば食品でも靴でもいいんですけど、車はそんなに詳しくないかなあ。

長尾 確かに商品知識が求められるから、ある程度興味がある分野のほうがいいよね。高野さんは広告関係に興味があるって聞いたけれど。

高野 そう思って広告代理店を探してたんですけど、伊藤さんと一緒に同じフォローアップを講座を受けたんですよ。私は営業とか、物を売ったり、言葉でコミュニケーションとったりして仕事するのができないタイプだなと自分で思っていて。アルバイトで接客してたときから苦手意識があって。でも、講師の人に、人に対する印象はすごく良いし、お客さんに対する対応も上手にできると思うから営業もできるよと言われて。

長尾 うん、できそう。

高野 そうですか。それを聞いて、営業にも興味が湧いてきたところです。新しいことに挑戦するのは苦手なんですけど、割と決まっていることをマニュアル通りきちんとこなすことなら自分もちゃんとできるかなと。

長尾 ルーティンも大切な仕事の一部だし、マニュアルもそれを繰り返していくなかで改善することができるからね。

高野 そうですね。それで、営業も自分でできるのかやってみたいなと思ってきて。営業を経験して仕事の基本的な力を身につけたら、最終的にその会社の広報の仕事とかに就きたいなと思って探しています。

 

異文化を理解することの意味

長尾 これから就職活動が本格化していくわけですが、お二人がいままで学科で勉強してきて、就活につながっている部分というか、授業や先生との話で、聞いてよかったことや経験してよかったこととかはありますか?難しいかな。

高野 大森先生の授業で、最近まさにそういうことがあったんです。異文化を学んでどう活かすかということについて、私はあまりわかっていなくて。日本と海外の文化の違いを知ることは好きだったんですよ。

長尾 うん。

高野 だけど、それだけじゃ意味がないなと思う瞬間がだんだん出てきて。そうしたら授業でちょうどその話題になって。そのときに大森先生がおっしゃっていたことが、私もその通りだなって思えたんです。
 例えば、日本では、ラーメンは音を立てて食べるのが普通じゃないですか。だけど海外ではそれが嫌だという国の人もいる。でもそれは、どっちが正しいとか間違っているとかではなくて、答えがない。違うけどどっちも正しいんだっていうことですよね。いい悪いの違いは、見る場所によって違う。文化だけじゃなくて他のものも、違う視点から見れば、新しい見方ができる。色んな異文化を学ぶことによって、違う視点から見る能力がつく。大森先生は、ご自身が異文化を学ぶことで、色々な視点から物事を見ることができるようになったという話をされていて。自分でもそれを意識して異文化を学ぶようにしたら、もっといろんな視点から物事が見られるようになってきたんですよ。
 だから文化を学んで比べるっていうだけじゃなくて、目的をもって勉強して、それを未来につなげていくっていうことができるようになってよかったです。

伊藤 すごい。

長尾 今の、ものすごく大事な話だと思います。私たち、大学名や学科名に「国際」ってつくから、どうしても国単位をイメージしちゃうんだけど、そもそも異文化って国と国だけじゃないんですよ。日本人同士の間でも、関東と関西とか、あるいは、男性と女性とか、属しているグループでも、文化というとちょっと大袈裟だけど、まさに視点の違いというのがある。
 片方が我慢して片方が正義っていうと窮屈になってしまうし、ジェンダーの授業が国際文化学科にあるのもきっとそういう理由なんだろうと思うんだけど、いろんな見方に立つということ。自分自身の一つの見方だけが絶対正しいということではなくて、一歩引いてみたりして違う見方があるんだということを理解することが異文化理解の上ですごく大切だということですね。
 大森先生が仰っていたのもこういうことでいいですか。

高野 そうですね。

長尾 それは、日本の歴史であってもそうで。過去と現在で考え方が結構違うし。日本の伝統みたいな話もそうだし。外国の文学は、違いがわかりやすいことが大きいけれど、日本の文学でも、読んでみると自分にない視点に気づくことはありますよね。こんな考え方もあったんだっていう。それがすごく大事なことだと思っていて…。なんだか今、高野さんの話を聞いて、ああ、結論出たなって感じですね(笑)

伊藤 素晴らしいですね。国際文化っていうか比較文化がそれに当てはまりそうですね。

長尾 最近だと多文化という言葉も使いますね。色々重なっている感じ。アイデンティティというのも実は多様で、自分のアイデンティティを探っていったら複雑だったりして、すぐ普通って言いたくなっちゃうんだけど、色んな文化を知って行くと、そんな簡単に普通っていえないなって感じがしてきますね。

 

幅広い選択肢のなかから選ぶ

長尾 最後にこの学科のよいところ、こんな人におすすめみたいなことがあれば。

高野 私は入ったとき何も決まってなかったんですよ。ヨーロッパは好きだったんですけど、そのなかでどの国が一番かというのはなくて。何となくぼんやりしながら入ってきて、入ってみたら選択肢が多かったんです。そのなかでドイツを選んでみたら、「あっ!これがいい」と思えたので、何となく入っても自分が好きなものが見つかりますよね。

伊藤 それはあるかもしれない。私も入ってからも交流に転学しようかと思ったこともあったし。でも文化に入って一年生で日本の文化とか学んだときに、私も日本の文化のこと知らないなと。英語とか喋れるだけではダメで、何にも知らないで海外とか行ったら恥ずかしいなって思って、そう思ってから、転学する気がなくなったんですよ。

長尾 幅は広くて選択肢が多いのが良さではありますよね。漠然とした興味でもいいから、そのなかから自分の好きなものを見つけていけばいいんじゃないかっていう。

伊藤 それは思いました。高校3年のときは自分は英語ペラペラになりたいっていうイメージがあって、今現在そうはなっていないけど、後悔していることはないし、半年間だけど留学も出来たし。そこで学べたことがすごく多かったなって。

長尾 さっきの高野さんの話でいうと、一つの見方で入学してみたら、用意されている選択肢が意外と多くて、そのなかで自由に自分のやりたいことを追求していったら結果良かったっていうことなんでしょうね。国際文化で学んだことで、伊藤さんのなかにもいろんな見方が入ってきた結果なんだろうね。

伊藤 あと、日本文化はこっちの学科の方が学べますよね。

高野 私もそれはすごく良かったです。

伊藤 一般常識も含めて、ちゃんと知らないとまずいなって。マナーとか。高校で教わらないことを。

長尾 知らないとそれ以上のことを自分でも調べてもいけないからね。

伊藤 喋れるだけじゃだめだなと。台湾行ったときにも思ったんですけど、アニメとか日本人以上に向こうの人が詳しいじゃないですか。こっちに来た留学生に何で来たのって聞いた時に、理由でアニメを挙げる人も多いので。

長尾 思いがけず素晴らしい結論も出て、今日は本当に貴重な話を聞けました。長時間ありがとうございました。

(情報は2020年1月取材時のものです)