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学部長代行メッセージ

  • 学部の特色

「都市に生きる人は田舎に生きる人ほど知性が足りておらず、また富める国に生きる人は貧しい国に生きる人ほど知性が足りていない。」これは、聴講した学生がノートに残した、イギリス、スコットランドの倫理学・経済学に通じたアダム・スミス(1723-1790)の講義における言葉です。同講義では、労働がどんどん単純なものに分割されていくことにより、ますます相互に依存しあうことが強まる商業社会では、人間の考えは広い視野を失ったせまいものになり、単純な労働で足りるので、教育も軽んじられると嘆いています。

これらの考えが、アメリカ合衆国独立の年、1776年に書かれて、その後のイギリス、アメリカの政治経済に強い影響を与えて来た書物『諸国民の富』の著者その人の言葉だと思うと不思議な思いにかられます。この歴史的名著では、よく知られている通り、分業社会では、人はそれぞれ私利私益を追求していれば、目に見えない手が働いて、みんなは幸せになれると語られているからです。この考え方は今も世界に強い影響を与えていると言ってよいでしょう。

ところが、そのような考えでその後発展してきた、みんなが幸せであるはずの世界では、戦争やテロリズムばかりでなく、遺伝子組み換え食品や地球温暖化や本来自然界にはない化学物質、核物質など、目に見えないリスクも広がっています。ではこれらは誰が作り出したのかと問えば、みなどれも、幸せになろうとした人間が自ら社会的に作り出したものだと答えざるを得ないでしょう。

このような、皮肉ともいうべき、人間の生存基盤の危機を明らかにしてきたのは、他ならぬ環境社会学( environmental sociology; Umweltsoziologie)はじめ環境に関わるさまざまな学問です。現代を生きる地球上のすべての人に課せられているこうした危機的状況において、本学部、環境社会学部(英語の名称、Department of Social and Environmental Studies)は、2010年に生まれました。アダム・スミスが講義で語ったように広い視野に立って全体を見晴るかす学問が現在求められているのです。わたしたちは、千葉の緑豊かな農業中心地域にあって、アジアはじめ世界のさまざまな国々の学生が学ぶ、総合的国際大学の一員として、さまざまな学びやフィールドワークによる自己探求を通して、この地球規模の問題の解決にチャレンジして行きます。

本学部に集われるみなさまには、ぜひ世界市民の自覚を持って、みずみずしい、豊かな知性と共感力とを培い、しなやかに、粘り強く、ひとりひとりの賜物を十二分に発揮されることを心より祈り願います。

環境社会学部 学部長代行 瀧 章次

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