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「夏至に思うこと ─ 旧暦考(1)─」

  • コラム「環境と社会」
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今年の6月21日は、北半球で、一年のうちで昼の時間が最も長く、夜が最も短くなる日です。私たちは、この日のことを「夏至」と言いますが、この言葉からイメージするのは「真夏」ではないでしょうか。しかし、6月と言えば、雨がしとしとと降り続く梅雨の季節。この梅雨が明けて、やっとぎらぎらした太陽の照り輝く夏がやってくる。つまり、私たちにとって、6月はまだ夏ではないのです。

ここで、ちょっと視点を変えてみましょう。6月21日というのは、太陽の運行をもとに作成された暦によって、日にちを数えたものです。日本には、かつて、これとは異なる暦が、広く、そして永く使われてきました。それを、私たちが使っている暦(註)に対して、「旧暦」と呼びます。これは、「太陰太陽暦」のことで、月の1年(354日)と太陽の1年(365日)の差である11日を工夫して、月と太陽の両方の運行を取り入れた暦です。そして、夜空に輝く蒼い月を観察することによって、今日が何日であるかがわかる、とてもシンプルな暦だと言えます。月を見ることができない新月ならば1日、満月ならば15日です。「三日月」とは、3日の月のことなのです。

さて、この暦によると、6月21日は、5月8日になります。5月というと、私たちは「春」をイメージしますが、高校の「古文」で習った古代の「月」によると、「春」は、1月から3月、「夏」は4月から6月になります。つまり、5月は暦の上では「真夏」なのです。今年は涼しい日が続いていますが、じとじとと雨が降り続き、蒸し暑く、「不快な」この季節は、確かに「夏」なのです。

また、漁業における魚の行動パターンは、月の運行によって引き起こされる潮の干満に関連しているそうですし、農業における作物の育成との関連も指摘されています。

このように、千年以上の長きに渡って、この国で使われてきた「旧暦」は、単なる忘れ去るべき過去の遺物では決してなく、実は、自然のバイオリズムに合った暦として、再認識すべきであると思います。

(註)私たちが使っている暦は、「太陽暦」と呼ばれ、太陽の運行を基準にしたものです。これによると、一年は365.2425日とされ、4年に一度、2月を29日として、暦と太陽の運行の誤差を修正しています。

(引用・参考文献:新村出 編著『広辞苑 第五版』岩波書店、2008年1月/松村賢治『旧暦と暮らす』ビジネス社、2002年11月)

「環境社会学」担当 名本光男