環境社会学部3年生が、夏休み期間を利用して、環境ビジネスを実践している企業などで現場体験をする「インターンシップ」の実習(10日間)に取り組みました。「インターンシップ」では、環境ビジネスの現場を学生自らが身をもって体験し、今後の就職活動等への取組みに向けての応用力を培いました。
「インターンシップ体験記」の第5回目は、岩手県の株式会社企業農業研究所「中洞牧場」で研修した学生2名のレポートをお送りします。
環境社会学部3年 渡辺 蒼梧
研修先
私は、岩手県下閉伊郡岩泉町にある、株式会社企業農業研究所の中洞牧場で8月13日から23日までの11日間、足立くんと2人で研修を行ないました。
研修内容は、主に3種類の仕事でした。
まず、搾乳、哺乳、牛舎の掃除、牛追いなどの牛の成育や生活に関する仕事の手伝いです。写真は、搾乳室ですが、ここで、朝と夕方の2回、搾乳を行います。搾乳室と牛舎は隣接していますので、二箇所に分かれて作業をすることもありました。
二つ目は、間伐作業です。牛の放牧のためにも、山を守るためにも必要な作業で、自然を守るためには、人間が自然に手を加えて、できるだけ長く山や林をいい状態にするという二次自然の実践だと思いました。
研修中、夕方の搾乳までの時間は基本的には敷地内の山の木の間伐をしていました。この作業は新しく牧草地を作るための作業で、私たちは、伐採した木を燃やす作業を担当しました。
伐採した後は、上の写真のような美しい野シバの牧草地になるのですが、この写真のようになるには数年かかります。ですから、間伐しなければ牛も自然もいい環境にはならないということを知りました。地味な作業の積み重ねが、山地酪農を支えているということだと思います。
三つ目は、排水口の清掃作業です。作業の内容としては敷地内の排水口の設置と排水口の掃除などです。この作業も、酪農にとっては不可欠の作業ですので、時間をみつけては作業を続けました。
新たな発見や認識、刺激を受けたこと
研修前、酪農というものは、牛舎で牛を飼い、その牛に配合飼料を与えることで搾乳の量を増やすものだと思っていました。しかし、今回の研修を通して、牛舎に牛を閉じ込めずに自然の中で伸び伸びと生活させ、同時に山も守るという山地酪農が、牛にとっていかに良い環境であり、そして自然にとっても良いものであるかを知ることができました。
上の写真のように、全ての牛たちが穏やかに日々過ごし、伸び伸びと生活していました。牛の優しい顔にここでの暮しがいかに安らぎを与えてくれるかがよく現れていると思います。そうした環境で育った牛からとれる中洞牧場の牛乳は、だから新鮮でおいしいのだと確信しました。
今後の学びに向けて考えたこと、役立ったこと
私はこの研修の中で、社員の方たちと色々な話しをする機会に恵まれました。話を聞く中で、今回の研修は社会を知るほんの小さな体験だということに気づきました。もっと色々な企業に行って研修をすることが自分のためになり、就職活動にもプラスになると感じました。ただ、そういう機会をこれから1年と少しの間に作ることができるかどうかは大きな課題です。
研修を終えた今、大学生の今でしかできないことをするべきだと考えるようになりました。これからもいろいろなことに対して、積極的にチャレンジしていきたいです。またデスクワークだけでなく、体を動かして自然を相手にする仕事の大切さを知り、自分に向いているのではないかと思うようになりました。
環境社会学部3年 足立 翔平
研修先
私は岩手県下閉伊郡岩泉町で山地酪農を営んでいる株式会社 企業農業研究所 岩手中洞牧場で研修を行いました。
研修は8月13日から8月22日までの10日間で、実習内容は、主として、昼は牛を放牧させる土地を広げるための間伐作業、朝晩は牛舎での搾乳でした。
新たな発見や認識、刺激を受けたこと
この牧場では、かつて日本で行われてきた酪農のスタイル「山地酪農」による伝統的な酪農を行っています。
山地酪農とは、牛を牛舎に入れずに、季節・昼夜問わず山に放牧する酪農方法です。牛は野芝を食べて山を駆け回ることで健康に育ち、山に生える草はほとんど牛が食べてくれるので山の管理にかかる費用も削減することができます。環境社会学部の環境保全・活用の考え方に合致すると思いました。
今後の学びに向けて考えたこと、役立ったこと
牧場長の中洞正氏は、酪農だけでなく現在の社会の在り方、人間の生き方に対しても深い考えを抱いており、酪農についてのこだわりを語りスキルを教えながら、中洞氏のそうした考え方・生き方について仕事の合間や前後に話していただきました。私は、酪農だけではなく、中洞氏の考える社会の在り方や人の生き方についての考えも後世に伝えていきたいと思いました。