この度、環境社会学部4年の渡邉蒼梧君が、平成24年度のインターンシップ先としてお世話になった株式会社企業農業研究所から内定の通知をいただきました。渡邊さんから、この度の内定について報告が寄せられましたので、以下に紹介します。
環境社会学部4年 渡邉 蒼梧
環境社会学部の渡邉蒼梧と申します。私は、この度、中洞牧場を経営する株式会社企業農業研究所から内定をいただきました。中洞牧場は岩手県岩泉町を本拠地に、酪農と乳製品の加工、カフェの経営等6次産業化に向けた多角経営を行なってる企業です。中洞牧場では、『山地(やまち)酪農』というユニークな方法で乳牛を飼育しています。
山地酪農とは、山林や傾斜地に牛を放牧して、牧場内の草を食べさせ、沢水を飲ませるなど、牧場内を自由に運動させ、より自然に近い形で牛を飼育する方法です。近代的な酪農は狭い牛舎の中で牛を飼うため、病気にかかりやすく、抗生物質をはじめとする薬を注入する等人工的な飼育方法に依拠した酪農になっています。山地酪農では、牛は屋外で太陽を浴びながら、牛本来の生活行動をとり、健康に育ちます。また、牛が森林内の下草を食べることで、森林の管理も人手に頼らず、森林の保全にも役立ちます。
私が山地酪農や中洞牧場を知ったのは、環境社会学部で行っている「インターンシップ」という授業の中でした。私は、農業高校で酪農を勉強していたのですが、それまで山地酪農についての知識は皆無でした。「牛だけでなく森林も健全になる」という山地酪農に強く惹かれ、大学3年生のときのインターンシップ先として中洞牧場を選びました。インターンシップでは、牧場主の中洞正社長や社員の方から、山地酪農の方法と牧場での作業を実地に指導していただきました。インターンシップは、8月10日から22日までの10日間でしたので、夏の屋外での作業はきつかったのですが、牛達にストレスがないことや、牛が沢山いるのに悪臭やハエが全くいないことには、大変驚きました。また、牧場内で作業に当たっている社員の方々が、とてもいきいきと働いている様子を目の当たりにして、自分もこのような職場で働きたいと思うようになりました。
インターンシップから帰ってきてからの就職活動では、大手を含む一般企業にエントリーをしました。しかし、就職活動を続けていくにつれて、岩手の空の下でのびのびと暮らしていた牛たちのことを思い出すようになりました。中洞牧場のインターネットサイトを見ても採用情報はなかったため、先方からは採用予定はないと一度は断られてしまいました。
ところが、しばらくしてから、先方より面接試験の機会を与えていただき、私は、面接時に中洞牧場で働くことへの強い希望と意思を熱意をもって語りました。その結果、本当にうれしいことに、最後には、内定をいただくことがかないました。
就職するからには、山地酪農の技術を身につけるだけでなく、新鮮な牛乳から製造される加工品や牧場が六本木で経営するカフェとの相乗効果による新たなビジネス機会の拡大の他、牧場が立地する岩手県岩泉町内の森林保全や農村と都市との交流といった地域活性化に向けた新しい事業にも、仕事を着実にこなして、実践力を培いながら、積極的に取り組めるよう努力したいと思います。そのためにも残る学生生活ではアグリビジネス関係の授業をしっかりと受けて勉強したいと思います。また予定通りビオトープ管理士の資格も取得して、就職後の仕事に活かしたいと思います。
私の就職活動は特異な例だと思うので、後輩の皆さんにはあまり参考にならないかもしれません。しかし、(1)自分の興味を大切にして、(2)何かひとつ自信が持てるものを身につけることができれば、道は開けると思います。
環境社会学部の授業は、本当に幅広く学ぶことができるので、その中に必ずひとつは興味を持つ内容があると思います。私の場合は山地酪農だったのですが、それを掘り下げていけば、自分がやりたいことが見えてきます。後はそれを実現させるために、熱意をもって、トライし続けるだけです。私は、インターンシップでの経験をもとに、中洞牧場で働くことへの強い「思い(意思)」と「熱意」をもって、面接に臨んだ結果、内定を頂くことができたのだと確信しています。このことを、しっかりと胸に刻んで、これから社会人として社会に貢献できるよう、さらに精進したいと思います。