植物は土壌中に根を下ろして植物体を支持し、自らの成長に必要な養分を土壌中の水分から得ています。また、土壌表層の落ち葉や動物の遺骸等有機物は、土壌動物や土壌微生物により、分解されて最終的には無機化されていきます。
植物は、無機化された土壌中の養分を吸収して、体内で再び有機化し、植物体を形成していきます。このように、植物や動物等の生物が地球上に生存していく上で、土壌の存在は必要不可欠な環境条件を創り出し、生態系ピラミッドの底辺を構成しています。さらには、地球温暖化を防止するための「炭素循環」にも深くかかわっています。
本学部では、『土壌・肥料論』の講義を通じて、土壌が長い年月を経て生成されていく過程、国際的な土壌型の分布とその構造、土壌中に生息する土壌動物やバクテリア等の微生物が果たしている多様な生態系における「分解者」としての役割と炭素循環・窒素循環に果たしている環境保全・調節機能、植物の生育に果たす役割、植物の栄養素の土壌から植物へ供給されるメカニズム等を多角的に学んでいます。
さる10月10日(金)には、公共事業等の現場で樹木等の植栽や緑化のための土壌分析を専門に行っているコンサルタント会社のクレアテラ(株)から臼井研究員に来学いただき、東金キャンパス内の西門近くの樹林内において、土壌の硬度試験、透水性の良否を判断する透水性試験を行うとともに、約1m四方の穴を掘り、土壌の断面調査を行い、土色に基づく土性※の判定、火山灰土の可否判定等を実地に指導していただきました。
机上だけでなく、フィールドに出て、実地に土壌の断面構造や土性、硬度等についての調査、判定方法を学ぶことで、植物生育に必要な土壌の基本的な役割についての理解を深めていきます。
(文責:鈴木)
当日の土壌の試験・調査の様子を以下に紹介します。