近年、大都市の市街地部を中心に普及が進む都市緑化の手法として「屋上緑化」が注目されています。コンクリートやアスファルトで覆われた都市部にあって、建物の屋上や壁面を緑化することにより、都市の地表面被覆の状態を自然に近づけていくことが可能となります。
建物を緑化することで、大都市部の平均気温が郊外部に比して高温化する「ヒートアイランド現象」を緩和する他、良好な都市景観の形成、都市住民に身近な自然と安らぎの場を提供する等、都市環境の保全と改善に大きな役割を果たしています。
去る6月6日(土)に、中国や韓国からの留学生を含む30名余の学生たちが、学部で開講している講義「屋上緑化」(担当教員: 鈴木弘孝教授)の学外授業として、晴海トリトンスクエアの人工地盤上の緑化(中央区晴海)とJAビル屋上庭園「スカイガーデン」(千代田区大手町)を視察しました。実際に先進事例を自らの目で見ることにより、都市市街地部における屋上緑化の効用や使用されている植物の特性、最新の都市緑化技法について、理解を深めることができます。
以下に晴海トリトンスクエアでの学生たちの視察状況をレポートします。
商業施設のエリア。1階部には「水のテラス」、2階部の人工地盤上に「花のテラス」が広がる。
「緑のテラス」には、多種多様な樹木や草花で構成される。高木の下層部には、多様な種の低木類や日陰を好む草花類が、植栽され、管理スタッフによる緻密な管理計画の下で、植物たちが生き生きとした状態で生育している。
ガーデンを管理している住友林業緑化㈱の大川さんから、ガーデン内の植物種や維持管理上工夫を凝らしている点などについて、説明を受けました。中国や韓国からの留学生も参加し、日本の都市緑化の最新事情について、聞き入り、熱心にメモをとっていた。
ガーデン内の草花植栽の様子。ヘメロカリス(黄)、アスチルベ(濃桃)、アーカンサス(白穂)が見ごろとなっていた。土壌には、屋上緑化用に改良された軽量のビバソイル(東邦レオ(株))が使用されていました。軽量土壌を用いることで、屋上面への積載荷重の負荷を軽減し、樹木や草花の多様な植栽構成の基盤を構成していた。
「花のテラス」内。アジサイやラベンダーなどのブルー系の草花を基調に、青葉のギボウシやイソトマ(白)などが混植されたガーデン内の草花植栽。
「花のテラス」内。柏葉アジサイやマグノリア、ニチニチソウなどのホワイト系の植物を主体とするガーデン。斑入り葉のニューサイランが良く調和していた