国内研修(No.2)四万十川の源流部に立ち、「地域の創生」について考える!

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平成27年度の国内研修の後半は、8月26日から29日まで、日本一の清流と言われる、四万十川源流域に位置する、豊かな自然に囲まれた愛媛県鬼北町で実施しました。

8月27日(木)「持続可能社会形成のための不断の努力」

鬼北町での研修プログラムは、8月27日(木)からはじまりました。

研修に先立って、甲(こう)岡(おか)鬼北町長からの「鬼北町へようこそ!鬼北町は豊かな自然に囲まれてはいますが、人口減少の流れの中で、町の今後の方向性については、過疎化や高齢化が進行し、待ったなしの厳しい現状にあります。皆さん方は、未来の日本を背負っていかなければなりません。今回の研修では、鬼北町の現状について、自らの目で見聞を広め、これからの4年間の学びを通して、将来の日本、そして地方のあり様に、具体的に提言できるようになってほしいと期待しています。」との挨拶をいただきました。

甲岡 鬼北町長より激励の言葉をいただきました

その後、鬼北町環境保全課の山下さん、近藤さんから、町の自然環境と産業の概要についてのお話を伺いました。特に町内の高齢化、過疎化に伴う農業をはじめとする諸産業の衰退と後継者不足は大きな問題となっている点をお話いただきました。また、その解決のため、本年度より導入された「地域おこし協力隊」が鬼北町にも導入され、他地域より移住した彼らの「外から目線」による施策が期待されているとのことでした。

午後からは、環境保全課の坂本さんに案内いただき、地域の産業振興のために設置された道の駅「日吉夢産地」および「森の三角ぼうし」を案内していただきました。それぞれの道の駅では、各農家が独自に栽培した農作物の委託販売が実施され、中には年商1000万円の方もいるとのことでした。しかし、その農産物を提供してくれている農家の高齢化、後継者不足等の問題により、農産物の販売にも支障をきたしつつあるとのことでした。

地域経済が衰退する現状にあっても、持続可能な地域づくりを進めていくための努力を傾注している様子を知ることができました。

道の駅「森の三角ぼうし」の松本支配人に地域の特産品についてうかがう学生たち

その後、町内を貫流する河川の水質浄化を実現するために生産している、環境浄化微生物「えひめAI-1」の生産現場を見せていただきました。ここで生産されている「えひめAI-1」は、町内で無料配布され、その他、水田耕起時の濁水が河川に流入することを防止するための対策に活用されています。

河川浄化のために生産されている環境浄化微生物「えひめAI-1」生産現場を視察する学生たち

8月28日(金)「日本一の清流を維持するための努力-四万十川-」

午前中は、鬼北町の町名の由来となった鬼ヶ城山系に入り、荒廃しつつある森林の現状を、身をもって知るため、踏査しました。

日本の森林は、国産材の低迷により手入れがされなくなり、林内環境が荒廃しつつあるとのことは、研修事前授業で聞いていたものの、実際に森林内に立ち入ってみると、スギ、ヒノキ等が植えられた山が、人の手が入らずに放置されていたり、伐採木もそのまま放置される等、衰退が進み、数々の地滑りの跡も散見されました。

山林伐採後に放置され、荒廃した斜面に愕然とする学生たち

午後からは、鬼北町内を貫流する広見川が、高知県四万十市で流入している、四万十川本流を視察させていただきました。あいにくの台風の影響で四万十川が増水して濁ってしまったため、簡易水質調査等は実施できませんでしたが、その水量の多さには圧倒されました。

豊富な水量を誇る四万十川

今回の鬼北町の研修では、同町が山間部に位置するという地理的に不利な条件にあるがゆえに、人口減少や高齢化に伴う地域衰退の潮流の中で、四万十川の清らかな流れを維持しつつ、地域創生に真剣に取り組んでいる地域の方々の不断の努力を垣間見ることができました。