授業紹介(No.12)企業の環境への取組みの実態を知る

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企業の環境への取組みの実態を知る

本学部の講義「環境経営」(担当;福田順子教授)では、企業の環境保全・環境対応の実態を知り、理解を深めるために、企業の実践している環境報告書などをもとにレポート課題を学生たちに課しています。以下に、2年生の平山さんのレポートを紹介します。

リコーグループの『サステナビリティレポート2014』を読んで

環境社会学部 2年 平山真理花
(千葉学芸高校卒業)

本レポートは、(株)リコーから寄贈いただいた『サステナビリティレポート2014』について、1.リコーグループの環境に対する考え方、2.同社の取り組みの中で初めて知ったこと、3.企業にとっての環境、の3つの視点でまとめたものである。

私は、企業の環境報告書を初めて目にした。営利企業は利益の追求が第1で、環境を破壊する側だ、と考えていたが、読めば読むほど驚くべき内容であった。

講義の中で、企業を判断するにはまず企業理念を見ること、と教えられたので、同社の企業理念をチェックした。同社は、創業の精神「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」という三愛精神を基礎に、「信頼と魅力の世界企業」を目ざして「かけがえのない地球を守るとともに持続可能な社会づくりに責任を果たす」という経営理念が書かれていた。「貢献する」ではなく「責任を果たす」という言葉が印象に残った。

同社の環境経営の考え方は、「環境保全と利益創出の同時実現」であり、それに基づき、「省エネルギー・温暖化防止」、「省資源・リサイクル」、「汚染予防」、「生物多様性保全」の4本柱が示されていた。ITやソリューションビジネスの企業が生物多様性保全を柱の一つに掲げていることは不思議であった。しかし、原材料調達に事業活動全体の生物多様性への影響評価を数値目標で示し、ステークホルダー(利害関係者)と情報を共有して「森林生態系保全プロジェクト」を1999年からスタートさせ、「市村自然塾 関東」で子どもたちの農作業・共同生活を支援、といった具体的な内容を読んで、次第に納得した。

最も関心を持ったのは「BOP(Base of the Pyramid)プロジェクト」である。「BOPプロジェクト」は、途上国の貧困層の支援のためにインド・ビハール州の農村に入り、農民が事業を立ち上げる手助けをするプロジェクトである。同社の精神が環境保全と利益創出の同時実現であるので、現地の暮らしや実情を把握した上で、リコー製品を使った事業開発の支援をするのである。写真が好きな村人の「写真プリントショップ」、女性による女性のための日用品の店「ウーマンズショップ」の起業を支援し、農村部での収入向上と女性のエンパワーや自立支援を実現している。これらは、新しいビジネスモデル(環境保全・途上国支援とビジネスの両立)構築の試みとなっている。農村の経済的自立と、同社の利益創出との同時実現をこうした方法で実現することを知り、企業の大変さとすごさを実感した。その他、就学率の低いインドの子どもたちの教育を支援する「インド教育支援プログラム」にも力を入れている。

リコーグループは「世界で最も持続可能な100社」に10年連続して選出されており、今回の報告書も「カーボンフットプリント」マークを取得し「カーボン・オフセット」により作成されている。環境に対する意識の高さを知った。

これから企業研究や就職活動に向けて、何を知り、何を見なければならないか、1冊のサステナビリティレポートに教えていただいた。

(参考)

【株式会社リコーの概要】

  • 設立 1936年2月6日
  • 本社 東京都中央区銀座
  • 代表者 近藤史朗氏(会長) 三浦善司氏(社長)
  • 資本金 1,353億円(2014年3月)
  • 売上高 2兆1,956億円(同)
  • 事業内容
  • 画像&ソリューション(オフィスイメージ、プロダクションプリンティング、ネットワークシステムソリューション)
  • 産業分野(サーマルメディア、光学機器、半導体、電装ユニット等)
  • その他(デジタルカメラ等)
  • 従業員数 108,195名(2014年3月・連結)

リコーグループの環境経営の全体像

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出所:『リコーグループサステナビリティレポート2014』 68ページより

リコーグループのサプライチェーンにおける温室効果ガスの割合

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出所:『リコーグループサステナビリティレポート2014』 70ページより

BOPプロジェクト

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プリントショップ起業候補者への訓練 
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ウーマンショップ1号店の女性起業家

注:資料・写真は、株式会社リコー提供