環境社会学部では、環境問題を抱える地域社会が抱える環境課題について実践的に学ぶため、毎年度、愛媛県鬼北町でフィールドワークとして「環境社会国内研修」(担当:名本准教授)を実施しています。フィールドに出て、自然と人間が共生し、豊かな自然環境と調和のとれた地域社会を創生していくために、過疎化や高齢化がどのように影響しているか、どのような手立てが必要とされているか等について、自らの目で見て、地域の実情に触れ、自ら考えることにチャレンジします。
研修地について
研修地の鬼北町は、愛媛県南予地方の町であり、2005年(平成17年)1月1日、広見町と日吉村が合併して誕生しました。地理的には、四万十川の上流、広見川流域の中山間地帯に位置し、鬼北盆地とその周辺の山間部からなっています。町の面積は241.88 km?、人口は10,750人(推計人口、2015年10月1日)です(図1、図2)。
町の中を日本一の清流と言われる四万十川(※1)の支流である広見川が貫流しており、極めて豊かな自然が存在する一方で、町内の高齢化(図2)、過疎化に伴う農業をはじめとする諸産業の衰退と後継者不足は大きな問題となっています。
鬼北町での研修では、このような厳しい現実に直面しながらも、鬼北町が、町内を貫流している広見川が流入している、日本一の清流とよばれる四万十川の水質浄化のために、大変な努力をしていること、地域の活性化に向けて、地域の自然環境に適した「きじ肉」の生産と販売を全国展開する一方で、道の駅「日吉夢産地」および「森の三角ぼうし」での特産品の販売を積極的に展開している姿に直に接することによって、教室の中だけでは決して得ることのできない、貴重な体験を積むことができました。
この地域が持続可能な社会であり続けるためには、地域の自然環境活用に関する新たなアイディアが必要と思われます。そして、このような課題発見と解決のプロセスは、Act Locally(地域で実践)に環境課題に取り組む「学部での環境の学び」の基本的な視点と基礎力を培うことに役立ちます。