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2020年3月ご卒業されるみなさまへ

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みなさま、ご卒業おめでとうございます。みなさんをこの世の新たなる働きへと送り出す時は、門出を祝う日ながらも、新型コロナウィルス感染症(coronavirus disease 19 (略称 COVID-19))による感染拡大がついに世界中のだれもが罹患する可能性のある状態、パンデミックになったと言えると世界保健機関が3月11日に発表していくばくもない日のこととなりました。

さまざまな予防措置を講ずる中で、卒業生、学部教職員一同ともに集まり、異例ながら、学部単位で卒業式を挙行できましたことに、苦難の中にも大きな幸いを覚えるものであります。

みなさんが学ばれた環境の学び、とりわけ環境社会学においては、すでに1990年代においても、保険によって埋め合わせることのできないほどのリスクが世界大に広がっていることが明らかにされていました。その中には、病原媒介生物による感染症の分布が地球温暖化によって変移・拡大する可能性も早くから示唆されていました。

思えば、産業社会は、リスクを賭けて将来の利益を求める群像からなる社会として、収益極大化を追求する世界大の競争への参加と平行して、失敗した時の埋め合わせとしての保険制度を発展させることとともに、進展してきました。そうした産業社会構造が、20世紀末になって、原子力発電所過酷事故など人間のコントロールを越えた巨大技術の暴走や、最先端医療でも容易に克服できない感染症の爆発的拡大や、さらには、地球温暖化など、人間の生存基盤を根底から覆す、国境を越えた補償不可能なリスクを抱え込んでいることが明らかになってきました。パン(すべての)デーモス(ひとびと)にわけへだてなくふりかかるという状況はすでに20世紀末の問題として、環境社会学によって明らかにされていたことでした。これに加えて世界規模の経済危機や、世界規模の経済格差と分断がもたらす国内に生い育つテロも、その後の出来事から、この世界が抱える国境を越えたリスクに加えてもよいでしょう。

いまこのとき、卒業されるみなさんは、こうした世界の現実に目をつぶることも、悲観することも、ましてやアパシーに陥る必要もありません。みなさんがこの環境社会学部で学ばれたことをこの世の盾として、この世界の最前線に立って奮闘してください。理科系文科系といった旧来の枠組みを越えて様々なアプローチからこの社会の難問に応えるこころみをこの4年間、学んでこられたことに、誇りをもって、ひるむことなく、たじろぐことなく、たゆまず、いま人類に立ちはだかる多くの難問に対して、立ち向かっていかれることを、ともにこの世界に生きて協働する友として、切に祈り願います。「強く雄々しくあれ。」

環境社会学部学部長代行
瀧 章次

卒業生との記念写真