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OGから後輩たちへ(2):国際交流学科での学びを世界で活かそう

  • 資格・進路

令和2年1月15日(水)、国際交流学科2017年度卒業生の山口 萌さんが来校し、1年生対象の「基礎ゼミb(スタディスキル習得、キャリア形成のための必修科目)」にて、大学時代から現在までの経緯について語ってくれました。

※本記事は「OGから後輩たちへ(1):国際交流学科を活かして世界で学ぼう」の続編になります。

文責・三島 武之介 助教

 

国際交流学科で培ったコミュニケーション力を活用―青年海外協力隊員(1)

 山口さんは猛勉強の末、2018-19年度青年海外協力隊員として、パラグアイ共和国のイトゥルベ市役所青少年課に、2年間の任期で派遣されました。イトゥルベ市は、首都からバスで6時間もかかり、水道・電気・道路も未整備の僻地です。山口さんも一度、赤土の農道の上を自転車で通勤している途中で激しく転倒し、足から血が噴き出た(!)にもかかわらず、40℃もの熱気の中で自転車を引いて、3キロも歩いて帰った経験があると言っていました。現地の人々は、家畜を育て、半分は売りもう半分は食べるという自給自足の生活を送っていたそうです。

 1年目、山口さんは子どもたちに英語を教える活動に携わりました。スペイン語で英語を教えたとのことで、それだけでも相当に難しいことです。ですが更に、グアラニー語しか話さない子どもたちが通う小学校でも教えたそうです。さすがの山口さんもグアラニー語を学んだことはありませんでした。やむを得ずスペイン語で教えたそうですが、それが通じず、相当に苦労されたようです。

 そこで活きたのが、国際交流学科で懸命に培ったコミュニケーション力でした。山口さんは、在学中にコミュニケーション力とは語学力だけではないことを学んだと言います。たとえ言葉が通じなくとも、異文化を理解しようする姿勢をもち、相手の表情や仕草から内面をくみ取る力があれば、意思疎通はできるのだそうです。

 学生が一番楽しかったことを尋ねると、意外にも山口さんは通勤時間と答えました。その理由は、自転車を漕いで数キロを行く時間が一人でゆっくり考える暇を与えてくれたからでもありますが、極端に貧しい生活を送る子どもたちが、異邦人である自分に会う時間をこの上ない楽しみと期待して、ワクワクしながら待っていてくれているのが目に浮かんだからだそうです。

 

青年海外協力隊で身についた力―想像を現実にする創造力

 2年目、山口さんは、DV・虐待、若年妊娠、育児放棄などの社会問題に対し、現地の行政機関が効果的な予防策を行えていないとの問題意識に基づき、主に三つの活動に取り組みました。

 第一は、青少年課による学校巡回講演のコーディネートです。山口さん自身も生徒や保護者を前に講演しましたが、取り残された子どもがいなくなるように、みなで協力し合うことの大切さを訴えたそうです。

 第二は、青少年グループの基盤づくりです。学習意欲の高い子どもたちに、どのようにして自己実現を図るかを伝えるために、青少年グループ「光minbi(minbiは、輝くの意)」の基盤をつくりました。子どもたちが自分で映画館を開いたり、大自然の中でキャンプしたりする中で、リーダーシップ、協調性、目標達成力などを培うことを目指したそうです。また、情報から隔離された環境下にいるゆえに、経済的理由から進学に二の足を踏んでいる子どもたちに、奨学金情報を提供もしたそうです。

 第三は、表現力と創造力を育てるため、個人レッスンとして、週に1~2回ヒップホップダンスを子どもたちに教え、現地のお祭りでダンスを披露しました。子どもたちが家庭で十分なしつけを受けていないと思った山口さんは、日本の学校のように、挨拶や掃除の時間をつくり、子どもたちに礼儀作法などを教えたそうです。山口さんによれば、日本のしつけの文化は、海外でも高く評価されているとのことです。

 こうした活動を通じて、山口さんは、多少のトラブルにはビクともしない忍耐力はもちろんのこと、自分で思い描いたことを形にしていく仕事ができ、それを通じて創造力が身についた、と語ってくれました。

 一番心に残ったことは何ですかとの学生からの質問に対し、山口さんは、任地を去る日に開催された発表会で起こったことを話してくれました。子どもたちは、家族も大勢詰めかけている中で、将来の夢について語ったそうです。そこで、ある一人の女の子が、憧れの人として山口さんの名を挙げたそうです。

 

後輩たちへのメッセージー国際貢献の第一歩は、自分を大切にすること

最後に、山口さんは、1年生へのアドバイスとして以下の7つをおっしゃっていました。

 上述の通り、国際交流学科の海外プログラムなどを活用することで、山口さんは新しい価値観や考え方に触れたのをきっかけに、現在のキャリアを歩んできました。ですが、国際交流研修に応募したのもJEAP・交換留学に出願したのも、外ならぬ山口さんなのです。その意味で、彼女が「好奇心が人生を切り開く始まりです。どんなにささやかなものだったとしても、自分の興味や関心を追求してください。その際には、常に楽しむことを心がけてください。イヤイヤやるよりも、その方がずっと結果を残せます。そして、自分で自分自身に限界をつくらないでください。たとえ誰かがあなたには無理だと言ったとしても、自分だけは自分の可能性を信じて、常に成功するイメージを思い描いてください」とおっしゃったことは、とても印象的でした。 

 そして、海外経験の豊富な山口さんらしい、海外に出てキャリアを築く際の助言もありました。「海外では、ただ生活をするだけでも苦しい時があります。気持ちに余裕を失ってしまうと、他者に手を差し伸べられません。他者への優しさを忘れないためには、逆説的ですが、自分を労わり、自分を励ますことが必要です。習慣的に気持ちを整理整頓して、いつでも自分に求められるパフォーマンスを発揮できる精神状態にあるようにしてください。これはすぐに出来ることではありません。今からでも始めてください」。自己肯定感がとりわけ低いと言われる日本の若者たちにとって、セルフケアのススメこそ、最も大事なアドバイスなのではないでしょうか。

 今後は、Ethical fashionに関するソーシャルビジネスを通じて、引き続き国際協力に貢献したいと語る山口さんのメッセージに、学生たちも深い感銘をおぼえたようでした。