ノルウェー交換留学報告 ベルゲン大学(まとめ)

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交換留学報告<東金キャンパス・松田さん(千葉県匝瑳高等学校出身)>

留学の動機

高校一年生の時にノルウェーでは国民が高い税金を払う代わりに、学費と医療費の無償化や年金制度の充実など、国が責任を持って国民の世話をする制度があることを知りました。ノルウェーのように国からの支援が手厚く住みやすい国は、貯金がそれほど多くなくても生活に困ることなく、失敗を恐れずに新しいことにチャレンジしやすい国であること、また、残業は一切せずに決められた時間内で仕事をこなし、家族との時間を大切にするという、日本と働く意義が大きく異なる働き方であることに感銘を受けました。それと同時に、ノルウェーでの働き方はまさに私が求めている働き方で、海外で起業したいと望んでいる私にとって可能性がある国であると思い、大学の交換留学でノルウェーへ行きたいと思うようになりました。

留学にむけて準備したこと

ビザや留学先の学校への申請手続きは国際教育センターの担当の方がとても親身に対応くださりました。私は必要な書類を用意するくらいで、とてもスムーズに手続きができたことを感謝しています。出発は8月でしたが、4月下旬から手続きの準備を始めて学校への手続きが全て終わったのが7月上旬でした。ビザは書類を提出してから許可が下りる書類が自宅に届くまで約2ヶ月かかったので、早めに申請した方が安心だと思いました。

また、私は皮膚が弱くて毎日多くの薬を服用しているので、留学中に困らないようにするために、同じ薬のストックを病院にもらいに行きました。薬を多く持っていくと、空港で荷物の検査をされる場合もあると聞いたので、英文のお薬手帳を印刷して手荷物で持っていきました。また、虫歯や親知らずなどの歯の治療は留学前に終わらせた方が良いと思います。私は留学中に親知らずが見つかって、途中で日本に帰国して抜きました。現地の歯医者で見積りしてもらったら、1本抜くと20万円近くかかるといわれました。

勉強面では、少しでも現地の生活に馴染めるようにするために、留学前に初級レベルのノルウェー語を勉強しました。ディスカッションの授業で自分の意見を英語で主張できるようTOEFLの単語帳を買って、アカデミックな英単語を増やせるように勉強していました。

現地で学んだことの中で印象深いこと

ベルゲンでの働き方が日本よりも進んでいたことです。平日のお昼にベビーカーを押している多くの男性、朝6時から午後3時で仕事が終わる現場工事、タトゥーが見える洋服を着て授業をしている大学教員、高確率でトラムの車掌さんが女性であることなど、日本にはない光景をたくさん見ました。毎週日曜日はどのお店も閉まっているので、日本にいるときよりも自由な時間が多かったです。課題やイベントが日常的にあった日本での生活と違い、今まで以上にのんびりしている自分はこのままでいいのかと考えさせられて、時間を有効的に使うことを心がけました。残業せずに決められた時間内で仕事をこなし、仕事よりも家族と過ごす時間を優先するという働く意義が日本と大きく異なることは本当のことでした。

また、新たに発見したことは、男女差別がほぼないに等しい現状です。工事現場で男性と同じ仕事をこなす女性を街中で多く見たり、男女共用トイレのみの施設が多いことが挙げられます。3月8日の国際女性デーでは大雨だったにも関わらず約3000人がベルゲン市内でマーチが行われ、小さい子どもからお年寄りの世代までの男性と女性たちが、女性の身体と人権を守ろうと訴えていました。小さい町にも関わらず、本当に多くの人がすべての女性と社会の幸せを願い、ボードを手にしながら行進していた光景を見て、衝撃を受けました。「もし日本だったらこんなに多種多様な人たちが集まるだろうか、日本で男女平等の権利を目指すためにどうすればいいのか」色んな思いが頭をよぎり、これから私も考えていかなければならないことだと感じました。

新型コロナウイルスの影響

ノルウェーでは3月に入ってから感染者が出始め、その時は日本よりも感染のスピードが速かったため、その一週間後からノルウェー内の全ての小学校から大学までが立ち入り禁止になりました。授業はすぐにオンライン授業に切り替えられたので、授業に関しては不便なくいつも通りの授業でした。オンライン授業では城西国際大学と同じように、ライブ形式の授業と動画配信型の授業の2つの方法で、授業が行われました。期末テストは全てレポート課題になり、昨年の秋学期に受験したことがある方法で慣れていたので、助かりました。

ノルウェーでは3月中旬にロックダウンを発表したので、その次の日に日本に帰国しました。私は2週間の自宅隔離だけで済みましたが、中には乗り継ぎ先で日本行きの飛行機がキャンセルされてしまって数日間空港泊をした人や、日本でコロナウイルスが流行ってきた時期に帰国し、地方に住んでいる友達は公共交通機関を使えず家まで帰るのが大変だったという話を聞きました。

留学前には思いもしなかったパンデミックによって留学生活が予定よりも早く終わってしまい、現地の友人たちに直接お別れの挨拶もできず、少し残念な気持ちですが、ノルウェーでの留学生活に悔いはありません。

留学全体の感想

私が留学したベルゲンは日本と治安が変わりませんでした。現地でパトカーのサイレンを1回しか聞いたことがなく、街はいつも静かでゆっくりでした。物を取られたり、いきなり声をかけられることもなかったので、日本と同じような感覚でした。なによりベルゲン市内の景色がとても綺麗で、暇なときには山に登ったり街を散策することが現地で一番好きなことでした。日にちが経つにつれて現地の生活に慣れてくるのですが、それでも小さな発見がいくつもあり、やりたいことも増えて毎日楽しかったです。

今回の留学が私にとって一番長い海外滞在期間だったため、生活するうえで私自身が日頃の生活で優先したいことも気づきました。食べ物と医療制度です。特に医療制度については、ノルウェーでは一人一人にホームドクターがいて、病気になったらまずその人に訪問診察をしてもらいます。そこで医者に許可をもらったら指定された病院に行けることになるのですが、予約をしてから診察まで1週間以上かかります。これは少しマイナス面の感想となってしまいますが、身体が弱い人にとって住むにはすこし厳しい面もあるなと思いました。日本のように診療時間内であればいつでも自分が行きたい病院に行って診てもらうことが普通ではないと留学してから初めて知りました。

今後の抱負

大学入学時の目標であった留学があっという間に終わり、留学後の現在は就職活動に向けて準備を始めています。将来やってみたいことが増えたので、少しずつ近づけられるよう頑張りたいと思います。そして留学先で身につけた自由時間の有効活用、自発的な行動をこれからも続けていきます。

 

通学時の景色

街の景色

夜景

雨上がりにかかる虹