こどもたちのモダンライフ 1920-30年代児童雑誌の原画展

展覧会概要

[ あこがれのモダンライフ ] 

 1920〜30年代(大正中期から昭和初め)は、こどもを取り巻く環境や暮らしも変わりました。都市部の中間階層は、西洋スタイルを取りいれた和洋折衷の文化住宅に住み、こどもたちは洋服を着るようになります。玩具は三輪車やセルロイド製のお人形さん、おやつはチョコレートやクッキー。そして、動物園や遊園地などの新しい娯楽施設、海水浴やクリスマスといった楽しいイベント…そのような理想のモダンライフを象徴するものが児童雑誌に描かれました。このコーナーでは、山の手のこどもたちを明朗に描いた『コドモノクニ』の岡本帰一、お洒落な少年少女で表紙を飾った『赤い鳥』の清水良雄をはじめ、『子供之友』の竹久夢二、川上四郎、本田庄太郎らの原画から、約90年前のハイカラな暮らしをみていきます。

竹久夢二《つみくさ》

竹久夢二《つみくさ》
『子供之友』1915 年 3 月号
インク・水彩・紙、24.1×31.4cm、婦人之友社蔵

岡本帰一《ツツジガサイ

岡本帰一《ツツジガサイタ》
『コドモノクニ』1927 年 6 月号
インク・水彩・紙、23.0×35.2cm、ちひろ美術館蔵

清水良雄《なはとび》

清水良雄《なはとび》
『赤い鳥』1932 年 6 月号
水彩・紙、25.0×23.0cm、ちひろ美術館蔵

[ 詩と物語 ]

 この時代、北原白秋や小川未明など著名な詩人や作家が、こどもたちのために良質な詩や童謡、物語を児童雑誌に発表し、おもに西洋画を学んだ画家たちが挿絵を手がけました。竹久夢二の柔らかい色彩のメルヘンな作風、村山知義の洗練されたデザイン感覚、武井武雄の洒脱で大胆な構成、深沢省三の愛らしく擬人化された動物などが、お話の世界を魅力的に彩りました。また、竹久や武井など、絵とともに詩や童話を創作した画家もいます。このコーナーでは『子供之友』の原画を詩や物語と一緒にお楽しみください。

竹久夢二《ゆきのよる》部分

竹久夢二《ゆきのよる》
『子供之友』1925 年 2 月号
インク・水彩・紙、22.5×34.0cm、婦人之友社蔵

本田庄太郎《つばめ》

本田庄太郎《つばめ》
『子供之友』1924 年 4 月号
インク・水彩・紙、25.0×36.7cm、婦人之友社蔵

深沢省三《毛を染めかえたお猫さん》

深沢省三《毛を染めかえたお猫さん》
『子供之友』1934 年 3 月号
インク・水彩・紙、21.2×38.0cm、婦人之友社蔵