絵が動いたり、変わったり、飛び出したり、音が鳴ったりする「しかけ絵本」。18世紀後半にイギリスで誕生した子ども向けのしかけ絵本は、19世紀には印刷技術の向上や児童書専門の出版社の登場、様々なしかけの発明によって黄金期を迎えます。穴から覗いて奥行のある風景を見せるピープショー、観音開きで舞台上の物語が展開する劇場型、プルタブや回転盤による変わり絵、開くと絵が立ち上がる立体構造など、手の込んだ絵本が出版されました。20世紀になるとアメリカでポップアップ絵本が量産され、さらに1990年代以降はペーパーエンジニアの活躍により、絵が多方向に重層的に立ち上がるなどポップアップの技術が高度化していきます。
このたびの展覧会では、武蔵野美術大学美術館・図書館コレクションより、18世紀から20世紀までの欧米のしかけ絵本を展示し、その歴史と技巧を紹介します。また、体験コーナーでは現代のしかけ絵本を手に取ってご覧いただけます。ページをめくるたびにワクワクする、驚きに満ちたしかけ絵本の世界をお楽しみください。
左上より、
『Little Red Riding Hood(赤ずきん)』Dean & Son、1855年頃
Lothar Meggendorfer『The City Park(都市公園)』復刻版、The Viking Press、1981年(初版1887年)
『Seaside Fun(海辺のたのしみ)』Dean & Son、1896年
Frederic Edward Weatherly『Peeps into Fairyland(おとぎの国を覗き見る)』Ernest Nister、1896年頃
以上、武蔵野美術大学美術館・図書館蔵、撮影:佐治康生