検索
メニュー
メニュー

一旅一見(5)ポルトガルから見るオーバーツーリズム

  • 一旅一見

一旅一見
 



(5)ポルトガルから見るオーバーツーリズム
 
リスボンで目にした落書き

 Mass Tourism=Human Pollution(マスツーリズム/大規模で過剰な観光=人間による汚染)。このような落書きが、昨年の夏にポルトガルの首都リスボンを旅していた際に目に入りました。私もその「汚染」に加担しているといった罪悪感を覚え、ぎょっとしました。
 ポルトガルは、比較的治安が良く、物価も安い。アズレージョと呼ばれる装飾タイルに彩られた建物が美しく、魚介を煮込むカラプラーナ鍋や、バカリャオと呼ばれる干し鱈(「ブラジルの食文化の源」編でも紹介されています)を使った料理が有名で、グルメの国としても知られています。そのため、欧州だけでなく、世界中から多くの観光客がこの太陽輝くバカンスの地を訪れます。一方、オーバーツーリズム(観光客が収容許容人数を超え過剰に混雑してしまう状況)は、ポルトガルの観光の大きな課題でもあります。
 夏のリスボンは、どこも人、人、人。オーバーツーリズムが深刻であることがうかがえます。特に、観光客だけでなく地元住民の貴重な移動手段であるトラムの混雑ぶりは、東京の朝の通勤電車のそれに匹敵します。リスボン有数の観光名所であり、世界遺産でもあるジェローニモス修道院は、入場券を求める長蛇の列ができ、夏は3時間待ちが当たり前だそうです。
 これを受け、ポルトガルの政府観光局は、2027年までに持続可能な観光立国を目指すと宣言しました。地域住民の生活の質を阻害することなく、自然環境を保全し、同時に経済的発展を目指すところがポイントです。京都や富士山など、オーバーツーリズムはもはや日本にとっても他人事ではありません。持続可能なツーリズムへの意識こそ、これからの観光の担い手を新しい世界へと導いてくれることでしょう(観光学部教員 柴崎)。


アズレージョ


アズレージョが施された建物


貴重な観光の足であるトラム


トラムの停留所の人だかり


ジェローニモス修道院前の行列


修道院の内部


修道院に伝わるレシピで作られたパステル・デ・ナタ(エッグタルト)は大人気