交通機関が果たす役割とその時代による変化 ー正確な知識を身につけ分析力を養うー

  • シリーズ・新型コロナ時代の観光事情
  • SDGsへの取り組み

冠雪の浅間山に向かって伸びる上信越自動車道(富岡IC付近)

 一時は観光客の姿が全く見られなかった全国各地の観光地に、GoToトラベルキャンペーンの影響もあって、賑わいが戻ってきました。中でも混雑が目立つのが高速道路です。電車やバスなどの公共交通機関の密閉空間を心配する旅行客は、家族やグループ以外の人に触れる機会が少ない車での移動を選ぶからです。10月下旬の休日の高速道路は、大型連休や年末年始並みの混雑となったところが珍しくありませんでした。
 このように、観光と高速道路は、コロナ禍の状況下で一層関係が深まっています。
 本学の観光学部には、この高速道路の事情に詳しい教員がおり、インターネットのオンラインメディアで高速道路に関する連載記事も執筆しています。日本最大級のビジネスニュースサイトである「東洋経済オンライン」で月に1~2度掲載される「佐滝剛弘の高速道路最前線」という連載です。
 直近では、近年増加している、世界遺産の登録地へ直行する便利な高速バスの最新事情を紹介しています。

?「世界遺産の観光に高速バスが便利な理由」

 この記事の中では、昨年秋から運行を始めた京都と和歌山県の高野山という二か所の世界遺産を直接結ぶバスの利便性や、広島駅と島根県の石見銀山を結ぶ高速バスなど、一般にはあまり知られていない便利な路線の状況や開設された背景などを分析しています。
 
京都駅前に停車中の高野山行き高速バス

 日本では、鉄道が新たに開業するというのは、一年に一度あるかないかのビッグニュースですが、高速道路は全国各地で毎月のように新たな区間が延伸されています。そして、開通した高速道路には新たな高速バスが運行されるようになり、その価格の安さや利便性から、次第に乗客が鉄道から高速バスへシフトするという状況が各地で起きています。
 例えば、本学のある千葉県鴨川市と東京を行き来する場合、東京湾アクアラインが開通する前までは、JR外房線の特急を利用するのが一般的でした。ところが今では、東京駅や渋谷駅からアクアライン経由で鴨川市に直行する高速バスが充実し、乗客がバスへとシフトするようになりました。バスは、安房鴨川駅が終点ではなく、その先、鴨川シーワールドや亀田総合病院まで路線を伸ばしているため、観光や治療・診察目的の利用客には、大変便利な交通手段となっています。
 また近年、地方の百貨店の撤退が相次いでいますが、その背景のひとつにあるのが便利な高速バスにより買い物客が近県の大都市に流出しているという現象です。
 これについても、東洋経済オンラインの記事で次のようにまとめています。

?「百貨店「大量閉店」の陰にある高速バスの進展-県外への移動を便利にした高速バスの功罪」

 「観光を学ぶ」ためには、旅行そのものや旅行業界について学ぶだけでなく、こうした交通機関が果たす役割やその時代による変化についても、正確な知識を身につけ分析力を養うことが必須です。
 本学部では、こうした観光とその周辺領域のダイナミックな変容などについても学べるチャンスがあります。