江戸時代屈指の娯楽であった歌舞伎見物。芝居小屋の屋根には櫓が掲げられ、看板がずらりと並び、入口では客を呼び込む木戸芸者の声が響きわたり、見物客の気分を盛り上げます。明け六つから暮れ六つまで(6~17時頃)上演される舞台を、庶民は桝席で、裕福な上客は桟敷席で、贔屓の役者に熱狂し、菓子や弁当を食べながら一日中楽しみました。
歌舞伎の人気にともない、役者の舞台姿を描いた浮世絵が飛ぶように売れました。似顔で表された役者絵は現代のブロマイドで、さらには楽屋や稽古中の素顔も描かれ、ファン心理をくすぐります。また、団扇にして携帯する団扇絵や、切って組み立てて遊ぶ組上絵、双六といったおもちゃ絵など、いわゆる役者絵グッズも人気を集めました。
このたびの展覧会では、役者の姿絵をはじめ、一大歓楽街であった芝居町のにぎわいや芝居小屋の裏方の様子を伝える浮世絵も紹介します。人々を夢中にさせた江戸の歌舞伎の世界をお楽しみください。
図版上より
勝川春章《二代目市川八百蔵の富士左近之助行家・四代目松本幸四郎の浅間左衛門照政》部分、安永2年(1773)、細判錦絵2枚続、当館蔵
歌川国貞《時世薄化粧》文政(1818~30)前期、大判錦絵、城西大学水田美術館蔵
三代歌川豊国(国貞)《白拍子桂木・難波村蜂衛門・幻長吉・浅倉当吾・女房お岑》嘉永4年(1851)、大判錦絵3枚続、当館蔵
三代歌川豊国(国貞)《三櫓稽古之大会》万延元年(1860)、大判錦絵5枚続、当館蔵
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