展覧会概要

大衆の人気を集める歌舞伎役者を描いた役者絵は、浮世絵のはじまりから続く最も重要なジャンルです。芝居番付や版本挿絵にあきたらない人々の要求に応え、元禄(1688〜1704)後期に鳥居清信が特定の芝居に取材した一枚摺版画を売り出し、役者絵が誕生します。鳥居派は荒事の所作を「ひょうたん足・みみず描き」という手法で捉えて人気を得て、錦絵以前の役者絵を独占しました。やがて多色摺の錦絵が完成すると、勝川春章、一筆斎文調らによって役者の容貌を描き分ける似顔表現が登場します。さらに、勝川派は細判の続物を始め、楽屋姿を描くなど、役者絵のレパートリーを広げました。そして寛政期(1789〜1801)に、東洲斎写楽の作品でおなじみの役者似顔をクローズアップした「大首絵」が流行し、役者絵の主要な表現となります。江戸後期には、歌川派の絵師の活躍により、続物のワイドスクリーンや様々な趣向をこらした揃物など、多彩な展開がみられました。

このたびの展覧会では、鳥居派、勝川派、写楽、そして幕末最大画派となった歌川派の作品によって、役者絵の流れをご覧いただきます。あわせて、楽屋や稽古中の素顔を描いたもの、追善のため出版される死絵など、いろいろな趣向の役者絵を紹介します。江戸のファンたちを魅了した役者絵の数々をお楽しみください。

役者絵ポスター

チラシ制作
メディア学部メディア情報学科4年 三木雄馬

関連企画

■ 講演会

5月23日[土]午後1時20分〜2時50分

「愛しい初期役者絵の世界」

武藤純子氏(清泉女子大学講師・国際浮世絵学会理事)

図書館3階プレゼンテーションホールにて

*聴講無料/要予約

 

■ ギャラリートーク(当館学芸員による展示解説)

5月9日[土]、5月16日[土]午後1時30分〜