模擬患者とは

模擬患者とは

定義では、「ある疾患の患者の持つあらゆる特徴(単に病歴や身体所見にとどまらず、病人特有の態度や心理的・感情的側面にいたるまで)を、可能な限り模倣するよう特訓を受けた健康人」とされています。日本では通常、医療系学生や医療従事者のコミュニケーション教育において、「生きた教材として患者役を演ずる人」のことを言います。

模擬患者のことを「SP」と言うことがあります。これはSimulated Patient(模擬患者)の頭文字"S"と"P"をとって略した表現なのですが、また同じSPといっても、Standardized Patient(標準模擬患者)を指す場合もあります。通常は、模擬患者と標準模擬患者の両方の意味でSPと言っています。両者は活用する目的や性質が若干異なりますが、基本的には前述した定義で説明されます。

模擬患者の役割

  • 面接者(学生や医療従事者)が行う医療面接の相手をつとめます。
  • ある疾患をもつ患者を想定したシナリオにそって演技をします。
  • 面接者の言葉や行動によって、その患者としてどう感じたかを学生に伝えます(フィードバック)。

薬学教育への参加

最近、医学部、看護学部などの医療系学部で模擬患者参加型教育が取り入れられるようになりました。薬学部も例外ではありません。本来なら薬学生さんは本物の患者を相手に医療面接のトレーニングを積めればよいのでしょうが、それは現実的ではありません。ですから我々のような模擬の患者が学生さんの練習台となっているのです。

薬学部における模擬患者参加型教育では、薬剤師役の学生さんが模擬患者を相手に服薬指導を行い、医療面接技能やコミュニケーション能力をトレーニングします。