学部学科
2026.02.25

写真左から、二宮教授、森藤教授、林教授
看護学部看護学科、福祉総合学部理学療法学科・福祉総合学科は、2026年4月に1つの新学部「健康科学部」として新たな一歩を踏み出します。 その健康科学部について、現在の看護学部看護学科長の二宮 彩子教授(以下、「看 二宮」)、福祉総合学部理学療法学科長の森藤 武教授(以下、「理 森藤」)そして福祉総合学部福祉総合学科の林 和歌子教授(以下、「福 林」)に、魅力や特徴、学生の雰囲気などをインタビューしました。

看 二宮:私は訪問看護師をしていた経験があり、そこで多くの介護職や福祉職そして理学療法士の方々に大変お世話になってきました。そのときに大切だったことはやはり直接顔を合わせること、そして相手を知ることであり、自分自身を知ってもらうことでした。このようなことが健康科学部になることによって、学生たちが自然にできるようになることが素晴らしいと思います。その結果、医療の質も確実に上がり、学生の強みにもなると思っています。自分自身でなんでもやろうと思わずにそれぞれ適切なこと、それぞれの専門性に頼るということも大事だと思います。困ったときに誰に頼んだらいいのかを確実に知るため、そして自分自身の専門性を使ってもらうためにも「多職種連携」を学ぶことはとても大事なことだと思っています。3つの学科が集まり健康科学部になることによって、学生たちが自然に交流を始め、活発なディスカッションを行うことで友達もたくさんできて楽しい雰囲気になることを期待しています。
理 森藤:理学療法学科はスポーツをやっていた経験のある学生が多いです。活発で元気な子たちが比較的多いですが、しっかり物事を考えて慎重に行動する学生もいますし、さまざまです。ですが、一貫して当てはまるのはリハビリテーションに関わる仕事なので、人と関わることが好きで、まじめで優しい学生が多い学科です。
福 林: 福祉総合学科は人と関わることに関心のある学生が多いです。どのような動機で福祉の学びを選んだのかという質問に対しても、これまで誰かに助けられたり、もしくは助けたりしたことでなにか感謝をされたり、もしくは助けることができず悔しい思いをしたり、という学生の話をよく聞きます。学科のなかでイベントや行事をやるときも、声をかけると快く助けてくれる子たちが大変多いです。そういった心持ちの優しい活発な学生が多い学科です。
看 二宮:看護学科も、皆、優しくてまじめな学生が多いです。演習中に例えばだれかが具合が悪くなり、ちょっとふらふらっとしたときでも、みんな一斉に「大丈夫?」と声をかけたり、どこかで具合が悪くなっている学生がいると、「先生、○○さんが、、、」とすぐに声をかけたりしてくれます。みんなで協力する優しさを持ち合わせた、人が大好きな学生が多い学科です。

理 森藤: 看護学科、福祉総合学科、理学療法学科が一緒にワンチームになることですね。お互いの職種が支え合って対象者様、患者様を支えるということを学生のうちから自然とできる環境になっていくと思います。すでに、多職種間連携教育の中で一緒に合同授業を実施し、それぞれの職種を実際に知るためディスカッションを行なっています。通常は働きだしてから詳しく知っていくことを、学生のうちからそれぞれの職種の特徴を知ることができるというのは、働きだしてからのアドバンテージになると思います。
それから本学は国際大学ですので、英語以外も含めた語学を学べる環境が整っています。加えて海外研修などの機会があり、学生のときから、さまざまな考え方や文化、多様性に触れることが健康科学部のアドバンテージになっていくのではないかと考えています。
福 林: 健康科学部の共通するキーワードとしてウェルビーイングという言葉があります。ウェルビーイングは、人々の生活の幸せや健康な状態を指します。この幸せというもの一つを考えても、人が何を幸せとするかは十人十色です。その多様性を理解する上で、国際的な感覚を学べる環境というのは、大変大きいと思っています。自分の生活では当たり前のことや、私たちの常識では全く考えられないことが他の国々や地域に行き、文化を知ることによって、固定概念であるとかステレオタイプ的に偏った考え方から解き放たれると考えています。そうすることでより広い視野を持って他者を理解することができると思っています。
本学の環境は、国際的な視点を学ぶ上でも大変恵まれています。例えば、留学生が多いという点です。授業で接することもありますが、それ以外に、サークル活動でも留学生と一緒に活動しているという話を聞きます。ある学生から、ニュースや報道などで知る国々の学生と接したとき、その国の実生活者としての意見や、ニュースでは知ることができない別の側面があるということを聞いたそうです。それによって報道にとらわれない、バランスの取れた考え方を学ぶことができたそうです。
そのような経験は、健康科学部の学生に必要な他者の幸せを理解する力が大変役に立つと思っています。健康科学部の学びの中には様々な病気や障がい、生活の苦しみなどに直面している方々に寄り添わなければいけない場面があります。その時に、自分の常識の範囲では考えられないような苦労や環境についても想像や共感できる力を、この国際的な環境で学ぶなかで、育っていくと考えています。
理 森藤:理学もそうですけど、看護も留学生は少ないですよね。そういったところで留学生とディスカッションができるというのも、学内で国際性をより身に付けられる。我々にとってはありがたい環境になるのではないかなと思います。 また、授業以外で教員が関わっていないところでも、学生同士が自然と交流できる機会が増えていくと期待しています。
看 二宮: 大学卒業後、社会に出たときにも医療者としても多国籍の方と一緒に仕事をしますし、日本人以外の方とも自然に関わることができますね。

看 二宮: 私たちは患者様、そして人を対象としている専門性を持っていますので、「コミュニケーション能力」というのはとても大事です。ここでいうコミュニケーション能力というのは、上手にお話をするということだけではありません。どちらかというと私は人の話を上手に「聞く」というのが大事だと思っています。いかに相手の気持ちをしっかり受け止めてお話を聞き、そしてニーズを引き出すかということ。それによって対象者のニーズに応えたケアができるようになります。同時に患者様は大変不安を抱えていらっしゃるので、その不安を少しでも和らげることができる、そのようなコミュニケーション能力をぜひ身に付けてもらいたいです。
福 林: 健康科学部で考える健康とは身体の健康だけではなくて、心理的な健康であるとか社会的に満たされている状態を指します。私は特に社会的に満たされている状態ということに対しての重要性を考えています。社会的に満たされているというのは他者とのつながりや、社会の中に居場所としての場があることや、役割を担っていることなどを指します。ある調査では、「栄養」と「運動」と「社会参加」の3つの要素と、死亡率を比較してみると、「社会参加」をするとしないとでは、死亡率に大きな差が出ているという結果が出ています。つまり、「社会参加」は、運動や栄養、食事と同じくらい健康と大きな役割を担っていることが分かっています。私の授業で福祉を学ぶ学生たちには、この社会参加の重要性というものを伝えています。人によって社会参加の仕方であるとか、他者のつながり方は異なると思います。しかし、どのような状態であったとしても、常に社会と関わる機会や、その方の興味のあることに触れる機会を作るなど、自ら望んで何かをしたいと思えるような、そういった役割を考えることの大切さを授業の中では伝えています。
理 森藤: 健康というのは心と身体が健やかな状態であることを指しますが、好きなところに行ったり、好きなものを食べたり、好きな人に出会ったり、そのようなことが自由にできることが幸せと感じられます。いま林先生からあったように社会的な交流があることが健康に大きく関与していると私も考えています。私も理学療法士ですので、身体の動き、動作を獲得することをサポートして社会参加を促していくということが仕事です。対象者全員の身体が元通りに回復するかという意味では、現実難しいところがありますが、社会全体で支えていかないといけないと思います。林先生がおっしゃっていたことと重なりますが、患者様に対してできること、理学療法士ができること、医療スタッフができることには限界があります。全ての人が健康になるには、社会全体で健康ということを支えていく必要があるのではないかと考えています。
看 二宮: 看護が対象としているのは本当にさまざまな人々であり、ライフステージもさまざまです。。私の研究テーマである看取りの側面から健康について考えてみたいと思います。人間は生まれてから死ぬまで健康が究極の願いであって、亡くなるそのときまで、少しでも健やかに生きていきたいという思いがあります。看取りにおいては、「尊厳を守る」や「穏やかに苦痛がなく」のようなキーワードが出てくると思います。健康というのは病気でないとか虚弱でないということももちろんですが、尊厳が守られ、人として大切にされ、穏やかな気持ちでいられること、それも健康の一つの要素だと思います。
理 森藤: まず教育の面ではもうすでに合同授業を行っていたり、多職種間連携教育で繋がったり、一緒にディスカッションをしたりと連携を進めています。さらにこれから合同授業をもっと増やしていきたいと動き出しています。海外研修に関しても、学科横断型でこれから作っていきたいと考えています。
教員間におきましては、すでに教育に加えて一緒に合同で研究をするということにも取り組んでいます。看護学科の先生と一緒に研究をしている理学療法学科の先生からは、自分たちでは考えることのできない視点が入ってくるので研究の幅が広がり、深めていくことができると話していました。
それから本学の大学院には健康科学研究科と福祉総合学研究科があります。福祉総合学研究科は設立から時間が経ち、多くの卒業生が活躍しています。しかし、健康科学研究科はまだ2023年に開設したばかりです。大学4年間学んできた学生が、健康科学研究科のカリキュラムにある特別研究を履修し、学部の卒業研究で取り組んできたことをよりブラッシュアップしていこうと健康科学研究科に進む学生がいます。これから、さらに増えていくのではないかと期待しています。
健康科学研究科、福祉総合学研究科の卒業生だけではなく、地域で活躍している医療人、それから福祉の現場で働いている方々も、現場での疑問を持っている方が数多くいると思います。そういったクリニカルクエスチョンをお持ちの方が本学の卒業生ではなくても、それを究明していく場が必要だと思います。大学周辺地域には、研究機関が多くないというのが現状なので、地域で働いている医療職、福祉の仕事をされている方々が、研究できる場を提供するということも本学の大きな使命ではないかと思っております。

福 林: これからの日本社会は健康科学の分野の健康や生活を支える専門性を持った人材が、ますます必要とされる時代になっていきます。健康科学部で学んだことは一時的な流行ではなく、将来にわたって社会のあらゆる分野で必要とされる力になります。医療分野や福祉分野はもちろん、固定概念に縛られず、さまざまな分野で活躍をしてほしいと思っています。これからの社会は、こうでなければいけないという一つのことに縛られるのではなく、例えばAIとかICTなどを使った分野と連携し、広い分野で活躍できると思います。若い皆さんには自分らしい視点、新しい発想で挑戦して、ぜひ医療や福祉の最前線だけではなく、さまざまな企業や地域、教育分野や研究分野などで活躍してほしいです。
健康科学部の学びは人のために力を尽くすことだけと思われがちですが、自分自身も成長して豊かになっていく学問です。健康科学部で身に付けた、人に寄り添える力や専門性を武器に社会を支えながら、自分の人生も豊かになってほしいと思っています。