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韓国研修2024 ④:韓国の世界遺産に行ってみることでわかること

海外研修

2024.09.14

昨年度に引き続き、観光学部では、8月24日から29日までの6日間、韓国での研修プログラムを実施しました。

本研修は、学生たちは実地で観光資源・産業・文化などについて体験的に学びました。実地体験をすることで、専門教育や海外長期留学への志向を高めることが狙いです。

研修プログラムでは、「(1) 海外協定校との交流」、「(2) 観光関連交通機関への乗車」などを経験しながら、「(3) 世界遺産」や「(4) 伝統文化の現代的な活用事例」、「(5) 研修国独自の観光ブランディング事例」について、視察を通して学びます。

今回は、韓国の「(3) 世界遺産」にどのようなものが認定されているのかということを視察しましたので、学生の声を介して紹介します。

昌徳宮の入り口にあたる敦化門前で記念撮影

○観光学部4年 賞 壮壮
韓国研修二日目は、青瓦台の観光を終えて、昌徳宮へ行きました。今回視察したこの昌徳宮は、韓国の重要な文化遺産であるとともに、ユネスコの世界文化遺産にも登録されています。

ソウルのツアーガイドを担当してくださった方の話では、この昌徳宮は朝鮮王朝の五大宮殿の一つで、朝鮮王朝の「第二の正宮」だと呼ばれているとのことでした。「第二の正宮」というのは、隣に復元されている景福宮という古くからある宮殿が戦火で焼失した後に使われていた歴史的に価値のある宮殿だからだそうです。

また、この昌徳宮という宮殿は、他の宮殿とは異なり、自然環境との調和が取れた設計で有名だそうです。とくに、「後苑」や「秘苑」と呼ばれる庭園は、多くの観光客が記念写真を撮りに訪れるとのことでした。私たちが行った際も、その敷地内で韓国の伝統衣装を纏った家族が記念写真を撮っていました。ツアーガイドの方の話では、家長の方のお祝いだとのことでした。

ちなみに、今回の視察では、昌徳宮の中の三つの建物を解説してもらったのですが、その中で、私が一番印象に残っているのは、やはり仁政殿という正殿です。仁政殿を眺めていると、当時の韓国の公使が野外でひざまずいていたことがわかります。また、仁政殿の建物の内部を覗き込むと、1900年代に入り仁政殿が改修されたときに設置されたシャンデリアとカーテンが見てとることができます。仁政殿だけでなく、「こうした韓国の伝統的な宮殿にも近代化の波が押し寄せた」ということをツアーガイドの方が紹介してくれました。

仁政殿の見学の後も、昌徳宮内を視察したのですが、太陽の日差しの強い日で暑く感じることもあったのですが、宮殿の周りには各所に回廊が設けられていて、そこで休憩を取ることができました。とても、回遊するのに快適に設計されていたので、驚きました。ただ、ツアーガイドの方からは、「こうした日差しのある日は暑いから、夜景の方が壮観で美しいのでお勧めです」と教えてもらいました。今度、ソウルに来ることがあれば、夜景を見に訪れてみたいと思います。

昌徳宮・仁政殿のシャンデリア

伝統衣装を纏った韓国人家族を背景に記念撮影

○観光学部3年 岩渕 桜蒼
韓国研修四日目。私たちは、三日目の午後、ソウルから釜山に移り、初の釜山の視察を実施することになります。その初日は、ホテルの前でバスに乗り込み、釜山を出発し、慶州にある「仏国寺」、「東宮と月池」という世界遺産の視察に向かいました。

私たちは、三日間を終え、相当疲れが溜まっていたせいか、道程は、バスの中で睡眠をとって現地に向かいました。そのため、途中の景色を見ることはできなかったのですが、山に囲まれた中を通過して最初の訪問地である仏国寺に辿り着いたとのことです。

この仏国寺は、世界遺産に認定されている韓国を代表する寺院として広く知られています。私たちが行った当日も、欧米系の観光客が多く訪れていました。

本殿に至る手前に、二つの門を潜るのですが、そのうちの一つの天王門には、仏法を守護する四天王が邪悪な気を取り払うために睨みをきかせており、思わず視線をそらしてしまう程の鋭い眼力でした。そんな門を通り抜け、本殿に向かうと韓国の採食豊かな本殿があります。

その中にある極楽殿には、金色に塗られた猪のような豚の彫像がありました。釜山でのツアーガイドの方から「触ると幸せが訪れる」とのお話を聞いたので、金運向上を願って撫でてきました。ちなみに、日本の十二支と同じような考え方が韓国にも存在するそうです。ただ、「日本の猪にあたる年は、韓国では豚」だとのことでした。しかも、「豚は縁起物」とされ、貯金箱にもなっているようです。日本で売られている豚の貯金箱はここに由来があるのでしょうか?

釜山初の視察で疲れている様子「仏(佛)国寺」

縁起のいい金の豚を触っている様子

次に向かったのは、東宮です。新羅時代の王宮である月城の別宮跡です。その敷地の中には、月池と呼ばれる池が設けられており、三国統一を記念して造成された人口池だとのことでした。現在は三つの建物が復元されており、こちらも「慶州歴史遺跡地区」の世界遺産登録の中心施設となっているそうです。

また、「この施設は、国の慶事や来賓をもてなす際に宴会で使用された」と事前に鑑賞した解説動画に出ており、そのことを頭に思い浮かべながら見学しました。そのこともあり、「このような壮麗な宮殿の池に舟を浮かべて宴席をしたのか…」と思いを馳せることができました。

ただ、この月池からは、「王宮の宝飾品ではなく、実際の生活に使用されていた遺物が多く出土された」というお話を聞きました。そのため、宴席などの煌びやかな生活とは、少しかけ離れているのではないのかと思いました。その資料が、この施設の後に向かった国立慶州博物館内の月池館で見学することができるとのことでしたが、今回は、改修工事期間で見ることができなかったので残念です。

最後になりますが、これらの訪問を通じて、韓国の文化や歴史についての理解が深まるとともに、貴重な体験を得ることができたと感じています。

現存する韓国最大の木造橋を視察

世界遺産の一部を担っている月池を眺める様子

○観光学部1年 菊地 紗矢
私たちは、三日目に北村韓屋村を体験した後、KTXに乗ってソウルから釜山に移動しました。その翌日、釜山を基点に慶州に移動し、そこにある世界遺産群や韓国最大の木造の橋・月精橋を見ることとなりました。その一つとして、良洞民俗村(韓国語:양동망을)に赴きました。

この良洞民俗村は、500年前から現在まで続く、昔ながらの韓屋が点在する韓国有数の韓屋村です。韓国国内に韓屋村は7つありますが、その中でも一番大きいものがこの良洞民俗村です。良洞民俗村の中には韓国国内に現存する一番古い家屋が存在し、未だ住居としての役割を果たしています。他に類を見ない観光地となっています。

良洞民俗村の成り立ちは、冒頭にもあるように500年前まで遡ります。月城・孫(ソン)氏と驪江・李(イ)氏の二つの名家が互いに協力や対立を重ねながら現在までその形を残してきました。その文化的背景が評価され、2010年7月、世界文化遺産に登録されました。もともと、時の王が建てた99軒の家は現在では51軒しか残っていませんが、今でも350人が生活しているそうです。

今回は、そのうち「書百堂」と「観稼亭」を主として視察を実施しました。ともに、瓦葺き屋根の家で、両班 (ヤンバン)と呼ばれる華族が主に住んでいた家の形式をとっています。

こうした両班の家系は、優秀な人材を多く輩出しているとのことでした。朝鮮時代、現在の総理大臣の位にあたる領議政(ヨンウィジョン)という職に就いた人物を2名も輩出したそうです。今でも、この村出身で官僚になった人物は、「ソウルに住んでいたとしても、村に挨拶に来る慣習がある」とのことで、私たちが訪れる数日前にも来村していたそうです。

他にも、瓦葺き屋根の周りには藁葺き屋根の家が配されており、私たちが視察した際は、ちょうど藁葺き屋根の家は葺き替え作業をしているところで、遠目にその様子を見ていましたが、屋根の上に登っての作業は自分がやったらもれなく落ちるだろうなと思いながら見ていました。藁葺き屋根は、やはり定期的な交換などの細かい管理が必要になるようです。

こうした状況を視察して回ったのですが、坂が多く、村の中を移動するだけでも運動になりました。だからと言って、観光で訪れた際に大声を出さないでください。現在でも人が住んでいるので、「観光する際は、静かに!」がマストです。

月城「孫氏」の宗家「書百堂」を見学する様子

朝鮮時代の名臣・孫仲暾の邸宅「觀稼亭」を見学する様子