教員活動
2026.10.18
城西国際大学 健康科学部 理学療法学科および大学院では、スポーツ理学療法、運動機能、高齢者の転倒予防、地域リハビリテーションなど、幅広い領域の研究に取り組んでいます。2026年10月に神奈川県横浜市で開催された「第45回関東甲信越ブロック理学療法士学会」において、本学大学院生1名と理学療法学科の教員2名が研究成果を発表しました。今回発表したのは、大学野球選手の腰痛と身体の動きの関係、腰痛に対する運動プログラムの効果、高齢者の姿勢とバランス機能の関係についての研究です。城西国際大学理学療法学科では、臨床やスポーツ現場で生じる疑問を研究につなげ、その成果を再び教育や実践の場へ還元することを大切にしています。
大学院生:磯 尚樹
発表演題:「腰痛を有する大学生野球投手の立位回旋運動時の体幹および股関節可動域の特徴」
野球の投球や打撃では、体幹や股関節を大きくひねる動作が繰り返されます。こうした身体の使い方は、野球選手に生じる腰痛とも関係している可能性があります。磯さんは、腰痛のある大学野球投手と腰痛のない投手を対象に、立った状態で体をひねる際の動きを3次元動作解析装置を用いて詳しく分析しました。その結果、腰痛のある投手では、投球する腕と反対側の股関節をひねる角度が小さいことが分かりました。この研究は、野球選手の腰痛を「腰だけ」の問題として捉えるのではなく、股関節を含めた全身の動きから評価する重要性を示すものです。スポーツ現場におけるけがの予防やパフォーマンス支援にもつながる研究として、今後さらに検証を進めていきます。
教員:中尾 英俊
発表演題:「大学野球選手の腰痛に対する異なる運動介入の効果:パイロット研究」
大学野球選手にとって腰痛は、競技活動やトレーニングを続けるうえで大きな問題の一つです。本研究では、腰痛のある大学野球選手を対象として、異なる2種類の運動プログラムによる効果を検討しました。比較したのは、体幹を中心としたトレーニングと、高い強度の運動と休息を繰り返す高強度インターバルトレーニング(HIIT)です。20週間の運動プログラムを実施した結果、いずれのグループでも腰痛の軽減がみられました。今回は少人数を対象とした予備的な研究ですが、今後は対象者を増やし、それぞれの運動方法が腰痛や身体機能、競技活動にどのような影響を与えるのかについて、さらに検証していきます。城西国際大学理学療法学科では、スポーツ選手のけがに対し、症状だけでなく、身体機能や動作、トレーニング方法まで含めて科学的に検証するスポーツ理学療法研究を進めています。
教員:竹内 弥彦
発表演題:「高齢者における外乱誘発ステッピング反応の時間特性と脊柱形態との関連」
人は大きくバランスを崩した際、とっさに足を一歩踏み出すことで転倒を防ごうとします。この反応は「ステッピング反応」と呼ばれ、高齢者の転倒予防を考えるうえで重要な身体機能の一つです。本研究では、高齢者と若年者を対象として、立った状態で外から力が加わった際に、後方へ一歩踏み出す反応を分析しました。その結果、高齢者では、一歩を踏み出す反応にかかる時間と脊柱の形態との間に関連がみられました。高齢者の転倒リスクを考える際には、単純な筋力やバランス能力だけではなく、姿勢や脊柱の状態を含めて身体を評価することの重要性を示唆する研究です。城西国際大学理学療法学科では、スポーツ選手だけでなく、高齢者の健康維持や転倒予防についても研究を行い、幅広い世代の健康を支える理学療法の発展を目指しています。
城西国際大学大学院では、理学療法学科の教員それぞれの専門性を生かし、スポーツ、身体運動、高齢者、地域リハビリテーション、AI・ICT、理学療法教育など、多様な研究テーマに取り組むことができます。大学院生は、研究テーマの設定や研究計画の立案だけでなく、対象者の測定、データ分析、研究成果の解釈、論文作成、学会発表まで、一連の研究プロセスを経験します。教員がそれぞれの専門分野から継続的に研究活動を支援し、大学院生が自ら疑問を持ち、科学的に検証し、その成果を社会へ発信する力を養います。今回、磯さんは初めて学外の学会で研究成果を発表しました。発表に向けて準備と練習を重ね、当日は限られた時間の中で自身の研究成果を伝えました。発表後には4名の参加者から質問が寄せられ、研究内容について活発な意見交換が行われました。学会で専門家から意見を得ることは、自らの研究を客観的に振り返り、次の研究へと発展させる貴重な機会となります。
理学療法は、患者さんやスポーツ選手の身体を評価し、治療や運動を行うだけの学問ではありません。
「なぜ痛みが起こるのか」
「なぜ同じ競技をしていても、けがをする人としない人がいるのか」
「なぜ高齢になると転びやすくなるのか」
「どのような運動が、より効果的なのか」
こうした臨床やスポーツ現場で生じる疑問を、科学的な方法によって明らかにしていくことも理学療法の重要な役割です。城西国際大学理学療法学科の特徴の一つは、スポーツ選手から高齢者まで幅広い対象について、身体機能・動作解析・運動介入など多角的な視点から研究できる環境にあります。また、研究成果を学会や論文として発信するだけでなく、そこで得られた知見を大学の授業や実習、スポーツ現場、医療・地域での理学療法実践へとつなげていくことを重視しています。
城西国際大学理学療法学科・大学院では、これからも「教育」「研究」「臨床・スポーツ現場」を結びながら、理学療法の新たな可能性を探究していきます。