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韓国研修2024 ②:韓国における文化資源の現代的な活用事例を視察

海外研修

2024.09.10

昨年度に引き続き、観光学部では、8月24日から29日までの6日間、韓国での研修プログラムを実施しました。

本研修は、学生たちは実地で観光資源・産業・文化などについて体験的に学びました。実地体験をすることで、専門教育や海外長期留学への志向を高めることが狙いです。

研修プログラムでは、「(1) 海外協定校との交流」、「(2) 観光関連交通機関への乗車」などを経験しながら、「(3) 世界遺産」や「(4) 伝統文化の現代的な活用事例」、「(5) 研修国独自の観光ブランディング事例」について、視察を通して学びます。

今回は、「(3) 世界遺産」にはなっていないが、文化財や文化的遺構をどのように「(4) 伝統文化の現代的な活用事例」として再利用し、「(5) 研修国独自の観光ブランディング事例」として創り上げているのかということを視察した学生の声を紹介します。
 

○ 観光学部1年 闫 子桢
研修二日目、私は先生やクラスメートと一緒に、韓国ソウルの北部にある青瓦台(韓国語: 청와대)に行きました。青瓦台は、韓国の大統領が住む宮殿として 1991 年に建設されました。そして、完成以来、大統領の執務室と居住地として利用されてきました。それだけでなく、朝鮮半島の歴史的過程を見守る存在でもありました。

そうした貴重な建築が、現在の韓国政権により、2022年5月10日以降、一般客への公開を踏切、韓国における重要な政治的シンボルから有名な観光名所へと変わりました。その機能を一部だけ見せるのではなく、施設の中身自体を別の場所に移動し、青瓦台を公開することとなったとのことです。

ちなみに、この青瓦台という名前は、韓国の伝統的な建築様式と現代政治の融合を象徴する建物の屋根に使用されている青いタイルに由来しているそうです。その青い瓦屋根を使った大統領官邸の施設の上には、北岳山。また、それらを背景に、景福宮やソウルのダウンタウンを望むロケーションがとても気持ち良かったです。

私たちは本館と呼ばれる大統領官邸しか見学していないのですが、他にも、春秋閣、秘書官室、迎賓館など、それぞれの建物が見学できるようになっています。

青瓦台の前にある撮影スポットで記念写真

歴代の韓国大統領について学ぶ様子
 

ソウルでのツアーガイドを担当してくださった方のおかげで、私たちも韓国の政治史や文化を学ぶ機会となりました。他の方々は必要に応じて、青瓦台でガイドを頼んでいるとのことでした。こうしたガイドがいることで、観光客にとっても、韓国の歴史や文化、近代化の過程をより深く、そして、身近なものとして理解することができるので、施設に専属のガイドがいることはいい試みだと思いました。

ただ、「政権が変わると見られなくなるかもしれない」という噂も聞き、貴重な機会を得たと同時に、少し残念にも思いました。
 

○ 観光学部4年 周 佳毅
韓国研修の2日目、ソウルでのツアーガイドの案内で、私たちは歴史と現代が交錯する場所、旧ソウル駅を訪れました。この建築は、赤レンガと花崗岩による白いラインの「辰野式」と呼ばれるレンガ積みを採用している日本にも縁の深い建築です。この元・駅舎の建築は、辰野式の開発者で東京駅のデザインを行った辰野金吾の弟子に当たる塚本靖のデザインだからです。ちなみに、ソウル市では、この元・駅舎だった場所を保存し、現在は、現代美術の展示場として使っています(市が保存しているのか、民間が保存しているのかは、今回の視察では聞き取れませんでした)。

まず、受付を済ませ、駅のメインホールに足を踏み入れると、壮麗なドームと広々とした空間が目に飛び込んできます。私たちが視察した際にホールで展示されていた『Imagined Worlds』という動画作品が、またその壮麗さを何倍にも増して見せてくれました。

また、展示のため部屋は暗かったのですが、その暗闇の中でも私の目を奪った床に敷かれたモザイク模様のタイルや四方に今でも残る木彫や金属装飾が、この建築が建設された1920年代当時に私たちをタイムスリップさせてくれました。当時の繁栄と活気が今でも感じられる空間です。

かつての待合室も、現在は展示ホールに改装され、様々な芸術作品や歴史的資料が展示されていました。こうした視察を通して、私は、歴史的建築物が単なる過去の遺産ではなく、現代文化との融合を通じて現在の観光に新たな生命力を与えることを学びました。このような改装は、歴史を尊重しながらも、現代社会の文化的ニーズを満たすものであり、非常に意義のある利用方法だとも感じました。

そして、将来、ツアーコンダクターの仕事に就いた際には、こうした歴史的価値を正確に伝えられるようになりたいと思いました。
 

旧ソウル駅を俯瞰する

旧ソウル駅の見学ツアーに参加する様子
 

○観光学部1年 岡村 大輝
私たちは、五泊六日に渡り韓国研修に参加しました。そのうち、最初の二泊三日をソウルで過ごしました。ソウルでの研修では、美術館や博物館で文化財に触れる機会が多かったので、その報告をします。

まず、韓国研修二日目に行った、Leeum Museum についてお話しします。

この施設は、世界的に有名なサムソングループの創設者である李 秉喆 (イ・ビョンチェル) さんが生前に残した美術作品など約15,000点が収蔵されているそうです。私たちのソウルのツアーをガイドしてくれた方のお話では、「博物館にもないようなものも展示されている」とのことです。一企業の美術館なのにすごいなと驚きました。そんな収蔵品の一部が展示されており、私たち観光客でも見られるようになっています。ただ、私たちは、説明を聞かないと、その展示されている物の価値や内容がわからないので、音声配信のデバイスを借りて日本語音声で内容を聞きながら展示を見ました。

ちなみに、館内は、壁紙を黒に統一していたり、作品への光の当て方を工夫されていて、韓国の有名な粉青沙器や白磁に集中して見ることができました。おかげで、どの作品もその素晴らしさを理解することができました。
 

展示空間以外も楽しめるようになっている美術館

国立中央博物館クラスの資料展示が並ぶ Leeum Museum を見学
 

次に、韓国研修三日目には国立中央博物館にも行ったのでこちらもご紹介します。

ここは、館内に入るとすぐに高さ13.5メートルの石塔が目の前に現れ、迫力がすごく驚きました。また、この博物館も展示物の見せ方にこだわっており、映像などで展示解説を流すなど様々な工夫がされていました。

とくに、印象に残っている展示物は、金色の大きな大仏です。その中でも、大仏の手の組み方が日本と違うところに私は注目しました。これは、韓国ならではの組み方だと感じました。また、天井に小さな電気ライトが無数に吊るされており、空間が幻想的になっていたことも印象的でした。
 

韓国の古代から近代に至る歴史を学ぶ国立中央博物館の展示

歴史を楽しく記憶に残す方法も学ぶ
 

こうした展示そのものの工夫だけでなく、Leeum Museum も国立中央博物館も私たちを飽きさせない色々な工夫があり、驚きました。日本では見たこともない技術だと感じました。こうした言語がわからない私たちが資料見学をする際にも飽きさせない工夫が必要なのだと感じました。私が目指している旅行業における仕事においても、人を飽きさせない技術が必要という点では同じなのかもしれません。