ハンガリー看護留学
2026.08.28
今日はハンガリーの軍事病院を見学した。まず印象に残ったのは、病院内で使われている搬送ロボットです。2006年に導入され、現在は2台が稼働しています。食事や薬などを運ぶために使われており、コンテナをロボットに乗せるとWi-Fiを利用して目的地まで自動で搬送されます。コンテナには届け先の病室などが書かれていて、病院内の57か所に届けることができます。病院内は6つの区域に分かれており、ロボットには人を感知するセンサーも付いています。ロボット自体の重さは約100kgあると聞いてとても驚きました。ほかにも、カプセルで薬を送ることができる機械があります。その機器は多いときは400~500個/日のカプセルを運び、検体検査の箱にも届けているそうです。病院の業務を効率化するために、かなり早い時期からロボットが導入されていることが印象的でした。
外来病棟では、23種類の専門分野の病気を担当しており、医療関係者は101名、そのうち医師が51名います。ハンガリーでは、まずかかりつけ医院を受診し、そこで解決できない場合に外来へ紹介されるという流れになっています。一般的な外来患者は、診察や治療を受けた後、その日のうちに帰宅します。外来で働く医師は専門医で、研修医は診療を担当しないという点も日本との違いだと感ました。 専門科には、紹介状が必要な場合と、必要ない場合があります。眼科、皮膚科、耳鼻科、外傷外科などは紹介状がなくても受診できますが、予約が必要であるとの説明でした。予約は専門科によって異なり、2週間後、1か月後、場合によっては2か月後になることもあります。1つの専門科だけでは解決できない場合には、別の専門科へ紹介されます。それでも外来で解決できない場合は、次の段階として入院することになるそうです。
呼吸器科も見学しました。ここは紹介状が必要で、看護師は5名いました。そのうち3名が呼吸器アシスタントの資格を持っていました。病院全体から患者を受け入れており、今年1月には新しい機械も導入されたそうです。呼吸器科では、呼吸困難の原因が喘息やCOPDなどによるものかを調べています。呼吸する前と後の数値を比較したり、β刺激薬によって気管支を広げた後の変化を確認したりする検査を行います。また、運動前後の呼吸状態を調べ、運動によって喘息が悪化するかどうかを確認することもあります。喘息やアレルギーの判断にも関わっており、免疫科やリウマチ科からの患者も受け入れています。特に循環器科から紹介されてくる患者が多いと聞きました。
今回の見学で特に興味深かったのが、ハンガリーの電子医療記録システムでした。ハンガリーでは自分の診断結果がわかるアプリがあります。電子的な医療情報システムがあり、医師は患者の検査結果や処方に関する情報などを確認できます。患者自身も自分の医療情報を確認することができます。これは他の医療機関で行った検査結果なども共有されるため、同じ検査を何度も受ける必要がなくなるというメリットがあります。また、電子処方箋を利用すれば、紙の処方箋を持っていなくても薬局で薬を受け取ることができます。さらに、かかりつけ医院の電話番号や近くの診療所なども確認できるため、患者にとって非常に便利なシステムだと感じました。
日本との違いとして特に印象に残ったのは、診察中の医師と看護師の役割です。日本では医師が患者と話しながらパソコンに入力している場面をよく見ますが、今回見学したハンガリーの病院では、看護師がパソコンへの記録を担当し、医師は患者と向き合って話をすることが普通だと聞きました。呼吸器科では患者さんと約20分診察しています。コミュニケーションを大切にしていることが伝わってきました。 今回の見学を通して、ハンガリーの病院では、ロボットによる物品搬送や電子医療記録など、医療現場の効率化を進めるためのシステムが積極的に導入されていることが分かりました。一方で、医師は患者との会話に時間を使い、看護師が記録を担当するなど、人と人とのコミュニケーションも大切にされていることが印象に残りました。日本とは異なる医療システムを実際に見ることができ、とても貴重な経験になりました。 文責: S.S