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9月7日(月) ハンガリー留学 20日目 ハンガリーの救急・外傷医療とシミュレーション教育を体験

ハンガリー看護留学

2026.09.07

9月7日(月) ハンガリー留学 20日目 ハンガリーの救急・外傷医療とシミュレーション教育

 

軍事病院では、外傷科の部門長の案内で、ER(Emergency Room:救急外来)からICU(Intensive Care Unit:集中治療室)、観察室、術後の回復室など、外傷科部門全体を回りながら、救急・外傷医療の診療体制や看護について説明を受けました。

 命を救うための迅速な判断とチームワーク
外傷科では、ヘリコプターや救急車で重症患者さんが搬送されます。患者さんの到着前から医師や看護師が役割を分担し、すぐに治療を始められるよう準備していることが印象に残りました。ショックルーム(重症患者さんの初期治療を行う部屋)では、ABCDEアプローチを用いて患者さんの状態を確認します。ABCDEは、Airway(気道)、Breathing(呼吸)、Circulation(循環)、Disability(意識・神経学的状態)、Exposure(全身の観察)の頭文字で、命に関わる問題から優先して対応する方法です。必要に応じて超音波検査やCT(Computed Tomography:コンピューター断層撮影)検査を行いますが、状態が不安定な場合には、検査を待たずに手術室へ移動することもあります。限られた時間の中で優先順位を判断し、チームで動くことの大切さを実感しました

 ICUからリハビリテーションまで
ICUでは、重症熱傷(重いやけど)の患者さんに特殊なベッドを使用するなど、状態に合わせた治療環境が整えられていました。また、重症患者さんにも早期からリハビリテーションが行われており、命を救うだけでなく、その後の回復や生活まで見据えた支援が印象に残りました。理学療法科では、磁気や超音波を利用した治療、ストレッチ、プール治療などが行われていました。プール治療では、水の浮力や抵抗、水圧、温かさを利用し、関節への負担を減らしながら運動できます。今回のプールは温泉水ではありませんが、センメルワイス大学の附属施設には温泉を利用したリハビリテーション施設もあり、ハンガリーの温泉文化が医療にも活かされていることを知りました。

 科学的根拠に基づく医療と救急処置
続いて、センメルワイス大学のErkelキャンパスで、EBM(Evidence-Based Medicine:科学的根拠に基づく医療)や救急処置に関する講義を受けました。EBMの講義では、PICOを使って臨床で生じる疑問を整理しました。PICOは、Patient/Population(患者・対象集団)、Intervention(介入)、Comparison(比較)、Outcome(結果)の頭文字で、患者さんに何を行い、何と比較し、どのような結果を目指すのかを整理する方法です。気管挿管や骨内穿刺(骨内アクセス:Intraosseous access、IO)についても学びました。気管挿管は、口から気管にチューブを入れて、呼吸のための空気の通り道を確保する処置です。骨内穿刺は、静脈からの点滴が難しい場合などに、専用のドリルを使って骨の内部に針を挿入し、薬剤や輸液を投与する方法です。科学的根拠だけでなく、患者さんの状態や医療者の技術、施設の環境も考慮して判断することが大切だと分かりました。

 実際の現場を想定したシミュレーション教育
講義の後は、救急対応のシミュレーション教育を体験しました。マネキンを使った蘇生訓練に加え、実際の救急車や、事故現場・自宅を再現した演習室もありました。以前の授業で、ハンガリーではシミュレーション教育が積極的に行われていると聞いていましたが、実際の現場に近い環境で繰り返し練習できる設備を目にし、その充実ぶりを実感しました。