プロジェクト
2025.09.04
<番外編>ドイツとオーストリアのビール事情
この夏、ドイツとオーストリアのビール醸造所を視察してきましたので、2つの地域のビール事情をご紹介します。
まずは、ミュンヘンです。ミュンヘンはドイツ南部バイエルン地方の州都であり、言わずと知れた「ビールの都」です。世界最大規模のビールの祭典「オクトーバーフェスト」で有名で、9月後半から10月に開催される祭典には毎年約600万人が参加します。ミュンヘン市内には数多くの醸造所やビアレストランがあり、観光客が訪れるだけではなく、地域の人々の生活にもビールが根付います。
中でも珍しいのが、ミュンヘン空港併設されているビール醸造所とビアレストランです。このエアブロイ(Airbräu:空の醸造所)と呼ばれる施設は、世界で唯一空港の敷地内でビールを醸造しており、ビアホール内には醸造釜と熟成タンクがあり、無濾過のクラフトビールを旅の終わりと始まりに味わうことができます。まさにビールがミュンヘンの大きな観光資源であることの象徴のような存在です。この施設こそが、ミュンヘン空港が毎年「ワールド・トップ100エアポート」のランキング常連である所以かもしれません。
エアブロイのビアガーデン
エアブロイのビール
次に紹介するのは、オーストリアの東部アルプス山脈のふもとに広がるチロル地方のビールです。チロル地方は、美しい山岳風景と独特な伝統文化で知られる山岳リゾートで、ウィンタースポーツの聖地としても有名です。チロル地方の州都であるインスブルックの周辺にはたくさんの個性豊かな醸造所があります。
ここで紹介するのは、チロルでもっとも小さな醸造所Heyブリューイングです。Heyブリューイングは、地域の自然を生かした地域密着型の個性的なブルワリーで、インスブルックから南に位置する山間の小さな村フルプメスにあるガストホフ(Gasthof:1階がレストランで、2階から上が宿泊施設になっている宿)に併設されています。レストランとガストホフはご両親が経営され、ブルワリーは息子のフロリアンさんが運営しています。認定ビールソムリエでもある息子さんは、建築の設計事務所でコンサルタントとして活躍するかたわら、副業としてクラフトビール作りにも取り組んでいます。
Heyブルワリー(左の植物はホップ)
ガストホフの外観
醸造エリア
フロリアンさん(左)と、一緒にビールを作っているヤコブさん
こちらのブルワリーでは、敷地の湧水を使い、自家菜園で採れた果物や食材を副原料にした個性豊かなクラフトビールを少量限定醸造しています。ホップもご自身で育てています。この6月には菜園で収穫したアプリコットを副原料にしたビールを作ったそうです。私たちがビールの副原料として用いるプラムはアプリコットの親戚のようなフルーツですので、思わぬ共通点に驚きました。
アプリコットビールは非常に人気が高かったようで売り切れていましたが、その代わり、近くの渓谷の森で育ったカラマツの新芽と花を使って醸造したペールエールと、野生のベリー類と自家栽培のミントを使ったピンク色のサワ―ビールを販売していました。前者のペールエールは、2024年度のアルプスビール品評会で金賞を受賞した逸品です。ブルワリーのビールは、オンラインと対面で販売している他、1階のレストランでもおいしい料理と共に味わうことができます。
Heyブリューイングのクラフトビール
レストランはチロル地方の調度品で飾られています
おいしい料理と共にビールを味わえます
フロリアンさんにJIU観光学部のクラフトビール・プロジェクトを紹介したところ、地元の特産フルーツを使ったオリジナルクラフトビール作りと、産学官連携の取り組みを高く評価いただき、「ぜひ将来何らかの形でコラボしましょう」とのお誘いを受けました。近い将来、このプロジェクトがグローバルに発展する可能性を感じました。
この山からの湧水でビールを醸造しています
フルプメスの湧水はブランドのミネラルウォーターよりおいしいと有名です
私たちのプラムビールもお披露目が近づいてきました。先日祭醸造から、おいしいプラムビールが完成したとの連絡がありました。どうぞ私たちが丹精込めて作ったビールを召し上がりにいらしてください。
完成したプラムビール
<イベント出店予定>
ロッテマリーンズの冠協賛試合「城西国際大学DAY」
日時:9月28日(日)14時~(なくなり次第終了)
場所:ZOZOマリンスタジアム 球場外周特設ブース
オクトーバーフェスト(東金商店街連合協働組合 主催)
日時:10月25日(土)17時~(なくなり次第終了)
場所:東金市商店街旧道周辺
*その他、東金市内の取り扱い店舗などで限定販売
<関連HP>
Hey ブリューイング
ガストホフ・グローベンホフ