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韓国研修2025④:韓国の知識と体験による歴史教育スタイルについて学ぶ

海外研修

2025.10.10

2025年度も、観光学部では、8月21日から26日までの6日間、韓国での海外研修プログラムを実施しました。(本年度は、本学の福祉総合学部の学生たちと一緒にプログラムを実施しています)

本研修における学生たちの目的は、「実地で観光資源・産業・文化などについて体験的に学ぶ」ことにあります。「実地体験をすることで、専門教育や海外長期留学への志向を高める」ことも狙いです。

研修プログラムでは、「(1) 海外協定校との交流」、「(2) 観光関連交通機関への乗車」などを経験しながら、「(3) 世界遺産」や「(4) 伝統文化の現代的な活用事例」、「(5) 研修国独自の観光ブランディング事例」について、視察を通して学びます。本年度は、この五つの学びを前提に、釜山(プサン)から韓国に入国し、安東(アンドン)という世界遺産群の広がる地域、そしてソウルを巡ります。

今回は、前回に引き続き、ソウル市内で保存・活用されている文化財や未来に残すべき遺産として、ソウル市が行っている「(4) 伝統文化の現代的な活用事例」や「(5) 研修国独自の観光ブランディング事例」について、学生の声を介し紹介します。どのように、そうした文化や遺産を観光客に提供しているのかということを、外国人の目線で確認し、その内容の意義と課題について考えてもらっています。

○ 福祉総合学部4年 末永実紅

私たちは、韓国研修4日目にソウルにある国立中央博物館を訪れました。館内は、韓国の歴史的な品々が多く展示されており、韓国の人々で賑わっていました。そうした人々を楽しませるために、入口付近には写真を撮れるスポットや、映像を通して歴史を学べるコーナーもあり、工夫を感じました。また、案内ロボットが巡回していて、どの国の人でも見学しやすい環境が整えられていると感じました。3階には、昔の人物に自分の顔を合成できる体験コーナーや、人物について詳しく調べられるタッチパネルもあり、楽しみながら学ぶことができます。

ただ、そうした施設の充実した環境にも目をひかれたのですが、保育士を目指している私にとっては、子どもの団体見学の多さが印象的でした。子ども5~6人に先生らしき人が1人付き、先生はマイクを使って説明を行い、子どもたちは受信機を通してその先生の音声を聞いているとのことでした。ガイドの方から聞いた話だと、小学校受験や中学校受験を控えた家庭のために、塾が行っているプログラムだそうです。5歳くらいから、そうした準備をしている家庭が増えてきているとのことでした。

ヘッドホンを介して先生の話を聞いている子どもたちの様子

話は戻りますが、そうした子どもたちが美術館の広い場所に座って説明を受けている様子も見受けられました。子どもが、飽きずに学べるよう工夫されています。そこでは、子どもたちはプリントにメモを取りながら、タブレットで実際の画像を確認しつつ説明を受けており、本物の作品と画像を照らし合わせることで理解が深まるのだろうと側から見ていて思いました。また、子どもたち自身も興味をもった展示を写真に撮っており、主体的に学ぼうとする姿勢が見られたことが印象に残りました。

国立中央博物館の床に座って塾の先生の話を聞く様子

今回の韓国での研修を通して、韓国の博物館や美術館は歴史を学ぶ場であると同時に、多様な来館者の学びに配慮した工夫が多く取り入れられていることを知ることができました。

国立中央博物館で見かけた子どもたちへの展示物の案内方法を旧ソウル駅で実体験

○ 観光学部2年 瀧川 雅人
私たちは 5 泊 6 日の韓国研修の五日目に、韓国の伝統衣装である韓服などを体験しました。日本では女性用のチマチョゴリ(チマ=スカート、チョゴリ=襦)は有名ですが、男性用の韓服もありパジチョゴリ(パジ=ズボン)と呼ばれています。また、この体験では、王様の着る袞龍袍(コルリョンボ)というものも着ることができます。
今回、私は、黒と金の煌びやかな模様が入った韓服を着ました。最初は、昔の人は、重い服を着ているんだろうなと勝手に思い込んでいましたが、実際に身につけてみると思っていた以上に動きやすく驚いたことが最初の印象です。
こうして着用した自分の姿を鏡で見ると、そこには普段とまったく異なる自分がおり、新鮮な気持ちになりました。最初は多少の恥ずかしさもありましたが、豪華なデザインの衣装を着ているうちに、自然と背筋が伸び、歴史的な場所にふさわしい装いだと感じることができるようになりました。

王様を囲んで景福宮の前で記念撮影

そして、皆が衣装に着替え終わると、近傍にある韓国を代表する城・景福宮(キョンボックン)に向かいました。私と一緒に韓国研修に参加した女性陣は、色鮮やかなチマチョゴリを着ており、その姿が建物としっくりと合い韓国の伝統美をより際立たせていることに驚きました。そのこともあってか、衣装を着て景福宮を歩くと、ただ観光するのとは異なり、まるで過去の時代に入り込んだような感覚を覚えました。

都会の中心に残る景福宮とのコントラストに驚きました

ちなみに、写真映えもするので、仲間と撮影を楽しんでいると、他の観光客に声をかけられ、交流が生まれたことが印象的でした。衣装を通して、その場の雰囲気に自分自身を重ね合わせることで、韓国の歴史や文化、伝統をより身近に感じることができたと感じています。
最後になりますが、今回の体験を通して、衣装は単なる観光地の商売ではなく、その国や地域の文化を理解する大切な手段であると実感しました。パジチョゴリやチマチョゴリを着用した経験は、私たちにとって韓国文化を深く学ぶ貴重な機会となり、観光そのものをより充実した体験にしてくれました。

いろいろな国の人が足を止めて王宮守門将交代儀式を見学する様子