学生活動
2022.04.01
城西国際大学国際交流学科では、学生がそれぞれの研究―テーマに即して、3年生から「国際交流演習」(ゼミ)に所属し、研究活動を行います。
2022年2月に行われた城西国際大学学会第21回学生研究活動成果発表会において、国際交流学科・市山ゼミによる研究「Japanese Immigrants in North and South America: identity and discrimination」が、口頭発表部門で優秀賞を受賞しました。
今回は、この研究に携わった市山ゼミ3年生の関口彩笑さん、清野歩紀さん、勝田大稀さんに話を伺いました。
―学生研究活動成果発表会での優秀賞受賞、おめでとうございます。まず研究の内容について教えてください。
勝田:アメリカ大陸に移住した日系人が第二次大戦前後にどのような経験をしたか、その後どのようなアイデンティティを形成したか、現在ではどのような状況に置かれているかについて研究してきました。
清野:なかでもブラジル、ペルー、アメリカ合衆国の3か国を取り上げ、日系移民1世2世の経験を中心に研究を行いました。また現在の状況については、アジア系住民に対するヘイトクライムなどを取り上げました。
―研究の結果、どのようなことがわかりましたか?
勝田:国によって状況は様々でした。合衆国では「敵」として扱われ強制収容所に入れられ苦しい生活を強いられました。ブラジルでは日系人社会が「勝ち組」と「負け組」に二分され、その対立が国全体に影響を及ぼし、後の差別にもつながってしまっていました。ペルーも合衆国と同様、収容所に入れられ、移住前に思い描いていた生活を送れない日々が続きました。しかし、過酷な経験をしたという点では共通していました。
―ゼミではどのように研究を行いましたか?
清野:4年生の先輩と合同で研究を行いました。
関口:テーマごとにグループに分かれて、それぞれの分野で研究を進めていきました。
―研究活動で印象に残っていることを教えてください。
関口:横浜にあるJICAの海外移住資料館を訪問した際に、インターネット上で見ていた資料の実物に接したときは「本当にあったんだな」と実感することができました。
―この研究を通じてどのようなことを考えましたか?
勝田:日本人なのに海外に移住した日系人のことをよく理解していなかったことをあらためて思い知らされて、少し恥ずかしい気持ちになりました。
清野:私も、移民の存在は知っていてもその歴史の詳細、どんな生活を送りどんな差別を受けてきたかを知らなかったことに恥ずかしさを覚えました。これは私たち日本人が知っておかなければならないことだと思いました。
関口:日系人の経験では、移住前の約束と違うなどとても理不尽な経験をしていることも多く、憤りを感じることもありました。一方、移住先で日系人の方々が苦労してコミュニティを形成していく過程は、これから日本社会がグローバル化していくうえでひとつのモデルになり得るものだと思いました。
―この研究はこれからも続けていくんですね?
清野:はい。あと1年ゼミ活動をする時間がありますので、これまでの研究テーマを引き継いでさらに深く調べていきたいと思います。
―具体的にはどのように研究を広げていきたいですか?
清野:私は、アンケート調査などを通じて、日本人の視点から見た海外の日系人移民に対するイメージや偏見について調べたいです。今年の反省として、研究のタイムマネージメントがうまくできず、やりたいテーマまでたどり着けなかった点がありましたので、次年度は、そこをしっかりやっていきたいです。
関口:私は、今年あまり深く調べられなかった日系移民のアイデンティティについて、できれば日系ペルー人の1世2世の方にインタビュー調査を行いたいです。また、この研究ではいくつかのグループに分かれて研究を進めてきましたが、それぞれの研究成果を他のグループと共有する機会が少なかったのが反省点です。来年はこの点をうまく調整していきたいです。
勝田:私も同感です。その結果、グループ間で研究に差が生じてしまったように思います。次年度はグループの間でコミュニケーションを取りながら差が生じないようにマネージメントしていきたいです。さらに、この研究で学んだことを、日本に住んでいる日本人特に若い世代に広く伝えていきたいです。
関口:それは私も同感です。
清野:私も、日系人の歴史や経験を知ることができた者として、それを広めていかなければならないと思っています。
―とても素晴らしい研究活動ですね。次年度の発展を心からお祈りしています。