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安房キャンパスでの学びの成果を共有 4つのゼミの代表が地域観光振興への取り組みを発表

学部学科

2022.02.14

観光ツアーを企画実施して、得た成果を発表する山本剛ゼミ生

観光ツアーを企画実施して、得た成果を発表する山本剛ゼミ生

山間部の観光開発に取り組んだ内山達也ゼミの発表

山間部の観光開発に取り組んだ内山達也ゼミの発表

鰹節が土地の名産になった歴史について、会場からの質問に答える柴﨑小百合ゼミ生

鰹節が土地の名産になった歴史について、会場からの質問に答える柴﨑小百合ゼミ生

電動車いすで観光地を移動する実証実験を報告する金子祐介ゼミの代表

電動車いすで観光地を移動する実証実験を報告する金子祐介ゼミの代表

安房キャンパス(千葉県鴨川市)で地域観光について学んだ学生たちが、その成果を披露する発表会を1月26日に開催しました。食、自然、移動手段など、さまざまな観点からの観光振興策の実践報告に地元の方々から多くの質問や感想が寄せられ、鴨川への思いを改めて共有し合いました。

発表会は鴨川市、鴨川市教育委員会、観光学部の共催で実現しました。長谷川孝夫市長、鈴木希彦教育長をはじめとする関係者の方々が同キャンパスで直接見守る中、オンラインによるライブ配信で、市民の皆さまにも視聴いただきました。

山本剛助教のゼミ生代表、水野宏昭さんと藤井陽菜子さん(ともに3年)は、地域が主体的に観光資源を発掘し、域外からの集客につなげる「着地型観光」の実践例を発表しました。JR安房鴨川駅周辺のランチマップを作成して配布したり、一般参加者を募ってのハイキングを開催したりといった取り組みはいずれも好評だったものの、収益を確保するには至らなかったことを説明。チーム力や企画力を身に着けるとともに、新たな課題も浮かび上がったことを報告しました。

山間部に位置する清澄・四方木地区の活性化に取り組んだ内山達也ゼミは、同地区を舞台にしたアドベンチャーツアーを企画しました。電動アシスト自転車「E-BIKIE」を利用して地区内の自然を堪能してもらう内容で、2017年度から続く地域との協力関係を活かした試みです。代表の宮澤光太さん、荒井勇向さん、馬澤さん、菊池大輝さん(いずれも3年)は「両地区の皆さんに協力いただき、交流できたことが一番の財産となりました」「観光地でしか学べない貴重な体験でした」と成果を実感すると同時に、「地域を持続させるためには人口を増やさねばならず、観光客誘致はそこに至る途中経過に過ぎないと感じました」「収益と得ること、価格に見合う価値を付加することの難しさを痛感しました」と、今後の学びにつながる気づきを得たことを発表しました。

柴﨑小百合准教授ゼミは、鰹節に適した鰹の漁獲地ではない南房総地域がなぜ鰹節の生産地になったのかを、歴史をさかのぼって調査しました。鰹の仕入れ先である西日本とのつながりが加工技術の向上をもたらし、「房総の鰹節」としてブランド化するに至ったことが分かるまでの道のりを、石嶺尚子さん、鳥山拓望さん(いずれも3年)が、さまざまな資料を示しながら説明。昔ながらの食材でありながらサスティナブルであることにも着目し、鰹節の魅力をアピールしました。

最後に、電動車いすを観光地での移動手段として活用する研究に取り組んでいる金子祐介助教ゼミが、新潟県上越市での実証実験の結果を報告しました。髙橋昴哉さん、前田奈央さん(ともに3年)、坂田凜太郎さん(2年)はまず、運転免許の早期返納促進策や、相次ぐバス路線の廃止などによって、高齢者が気軽に観光を楽しみにくくなっている状況を説明。公共交通を利用した観光を促進する手立てとして、電動車いすの活用を提案しました。電動車いすに対する固定概念の払拭、観光に適した機種の開発など、解決すべき問題もたくさんあるなか、「若者も利用することで普及を促進していきたい」と意欲を見せていました。

出席者やオンライン参加者からは、環境保全との兼ね合いに関する質問や歴史調査についての助言が各発表者に寄せられ、双方向の交流による新たな学びを得る場となりました。

最後に、世界各地で活躍する卒業生から寄せられたビデオレターが上映されました。「コロナ禍が落ち着いたら、必ずまた鴨川を訪れたい」と学生時代を過ごした地への熱い思いを込めたメッセージに、会場から温かい拍手が送られました。