SDGsテーマに30周年記念講座「Lecture Series」開催 未来を担う人材育成など議論

30周年記念事業

2022.11.16

SDGs採択への道のりを、分かりやすく説明する赤阪清隆氏

ポストSDGsの時代に対応した人材育成について、取材経験を踏まえて語る橋田正城氏

会場で視聴した教員からは、さまざまな質問が

(左から)杉林堅次学長、赤阪氏、橋田氏、倉林眞砂斗副学長

創立30周年記念事業として展開している「Lecture Series」の一環として、「SDGsの先を見据えて-持続可能な社会における大学とその構成員の役割-」をテーマとしたシンポジウムを11月15日、東京紀尾井町キャンパスで開催しました。SDGs(持続可能な開発目標)の普及啓蒙に取り組まれてきた元広報担当国連事務次長の赤阪清隆氏を基調講演者に、朝日新聞東京本社マーケティング戦略本部ディレクター(SDGs担当)の橋田正城氏を特別講演者に迎え、持続可能な社会を実現・維持するために必要な人材をどう育成し、さらにその先の未来をどう築いていくかについて語っていただきました。本学の教職員の能力開発(SD・FD)研修としても位置づけ、これからの大学が果たすべき役割について各自で考える機会ともなりました。

基調講演のなかで赤阪氏は、2000年の国連ミレニアム・サミットにおいて採択された「MDGs(国連ミレニアム宣言)」から、2015年採択の「SDGs」に至るまでのプロセスと社会の変化について、分かりやすく解説してくださいました。MDGsが掲げた8つの目標のうち、貧困や初等教育の完全普及、マラリアをはじめとする疾病の蔓延防止などは達成できたものの「対象が限定的だったため、世界的な盛り上がりを欠いた」と赤阪氏は指摘。それを踏まえ、すべての国・地域が問題意識を共有し取り組める目標として、「誰ひとり取り残さない、持続可能で多様性と包摂性のある社会」を実現するために2030年を年限とするSDGsが設定され、2023年がその中間地点となることから「ポストSDGsに向けた協議がこれから本格化するだろう」と述べました。

赤阪氏は「貧困をなくす。持続可能なクリーンエネルギーを使えるようにする。スラム街をなくす。それらはすべて手段。こうした手段をある程度確保できたら、その先に我々は何を実現しようとしているのかを、考える必要がある」と問題提起し、「日本はレールが敷いてあるとしっかり対応できるが、ポストSDGsの時代の世界は、不安定で不確実な状態が続くことを想定しなければならない」という見方を示しました。その中で、高齢化や大気汚染対策、医療保険制度など、日本が世界に貢献できる分野を例示し、未来に向けた視点を提示くださいました。

続いて橋田氏が、SDGsを通じてビジネスと教育を橋渡しすることを狙い、朝日新聞社が伊藤忠商事と取り組んでいる「SDGsミライテラス」について紹介するとともに、記者の視点から見たSDGsについて語ってくださいました。朝日新聞社が2021年12月に実施した調査によると、SDGsということばの認知度は8割近くに及ぶものの、17の目標のうち関心のあるものが「ない」という回答が訳3割、SDGsに関する取り組みをすることを「考えていない」という回答が約半数を占めることに触れ、「政治的なことに対する無関心層が増えていたり、ものごとを考えない風潮があったりすることとも無関係ではないのでは。自分でしっかりものごとを自分で考える必要性を強く感じる」と橋田氏は訴えました。

質疑応答では、留学生が多い環境での学びのあり方についても、議論が展開されました。赤阪氏は「多くの留学生は積極的で、行動においてもイニシアティブを取る人が多い。日本的なやり方はなかなか意思疎通できない場面も多いはずで、留学生との交流は日本の学生の国際性を高め、ポジティブな影響を与えるのでは」と述べました。また橋田氏は「留学生の存在はバックグラウンドの違いを理解して想像力を養うきっかけとし、相手の立場に立ってものごとを考え、他者を思いやる力を涵養することにつながるだろう。多様性を包み込むような社会であるために、留学生との交流はますます重要になるだろう」と期待を込めました。

最後に杉林堅次学長が「理想の社会とは何か。どうすればそれに近づけるか。あなたには何ができますか、という問いかけをしながら、学生と向き合う必要があると改めて感じた」と感想を述べました。また、閉会の挨拶として、司会を務めた倉林眞砂斗副学長が「こうありたいという将来を担う若者たちを育てられるような教育をするため、学習の中身をしっかり見直したい」と会を締め括りました。