学部学科
2022.12.23
理学療法士としての自らの経験を語る入谷守さん
学生の背中を借りて、肩甲骨の可動域について具体的に説明してくださいました
プロ野球チーム「千葉ロッテマリーンズ」で今シーズンから選手のリハビリを担当している入谷守さんが12月13日に千葉東金キャンパスを訪れ、福祉総合学部理学療法学科で理学療法士を目指す学生に向け講演を行いました。球団に所属するまでの経緯やプロアスリートをサポートする責任の重さなど、普段はなかなか聞くことができない話の数々に、参加した38名の1~4年生は興味深そうな表情で耳を傾けていました。
入谷さんは2020年に理学療法士の資格を取得し、病院でキャリアをスタートさせました。その職場で医師から紹介されたのが、千葉ロッテマリーンズでの仕事です。プロ選手のサポートに強い関心を抱いていたものの「まだまだ経験の浅い自分が通用するのか」という不安がまず、胸をよぎりました。しかし「こんなチャンスは二度とないので、思い切って飛び込むことにしました」とその時の心境を振り返りました。決意を固めた入谷さんは、入職までに不安を払拭しようと、手技の練習を毎日繰り返し、千葉ロッテマリーンズに移ってからも欠かさずに実行しました。その結果「それぞれの選手の症状に適した手技ができるようになり、自信も持てるようになりました」と話しました。
シーズン中の入谷さんは選手より先にグラウンドに入り、ケアの準備だけでなく、練習の手伝いも率先して行います。試合が終わるといよいよ入谷さんの出番。練習の時も試合中も各選手の体の状態を注意深くチェックし、その日のコンディションにあわせた治療を施します。「一日中動き回っている状況で、とにかく体力が必要です」と、実感を込めて語りました。そのうえで「専門知識、技術だけでなく相手に信頼してもらえる人間性が求められます」と、人の体に直接触れる職業ならではの大切な心構えに触れました。
続けて、入谷さん自身が実際に施術を担当し、怪我から復帰できた投手の事例を紹介してくださいました。投球動作が原因で肩を痛める「投球障害肩(野球肩)」の症状が起きてきたこの投手に対し、入谷さんがどのように原因を突き止め、改善へと導いたのかを、現場で用いている評価項目を紹介しながら詳細に説明し、理学療法士が果たす役割の大切さを学生たちに示しました。最後に入谷さんは「理学療法士の仕事は幅広い可能性にあふれています。人の人生を変えられる職業ではないでしょうか」と資格を目指す学生たちにメッセージを送りました。
講演終了後には入谷さんに質問しようとする学生の列ができましたが、入谷さんは一人ひとりに丁寧に対応くださいました。聴講した学生は「現役選手に対する怪我へのアプローチを聞ける機会は貴重で、とても参考になりました」と目を輝かせていました。