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「つながりを一本の線で表現」大学公式Tシャツをデザインした石川さんにインタビュー

学生活動

2023.03.13

Tシャツに込めた思いを話す石川桃さん

学生広報スタッフ 小林愛明(観光学部3年)

大学の創立30周年を記念し、国際人文学部国際文化学科韓国語コースで学ぶ学生たちが大学オリジナルTシャツ「わたしとキャンパス」を制作しました。一本の線で「人とのつながり」を表現したデザインで、昨年11月に開催された創立30周年記念式典でお披露目され、今年1月よりオンラインで販売を開始しています。デザインを担当した石川桃さんにインタビューし、Tシャツを制作することになったきっかけや、デザインに込めた思いなどを語ってもらいました。

まさかの1人からのスタート

石川さんによると、Tシャツの制作がスタートしたのは昨年の8月末ごろ。国際文化学科の中川正臣准教授がオープンキャンパススタッフに「大学のオリジナルTシャツを、一緒に作りませんか?」と呼びかけたのがきっかけだったそうです。スタッフの一人だった石川さんは「面白そう!」と、手を挙げましたが、この時立候補したのは石川さんのみ。出だしから厳しい状況でしたが、石川さんは中川先生と相談しながら、学生だけでなく、教職員なども巻き込んでTシャツを制作する「みんなでTシャツプロジェクト」を立案し、メンバー集めから準備を始めました。同コース3年の伊藤明日美さん、オープンキャンパスを運営している入試課職員、同学科の亀井みどり助教がメンバーに加わり、3か月後に行われる創立30周年記念式典での発表を目指し、作業にとりかかることにしました。

人とのつながりをイラストに

まずはどんなコンセプトにするのか、メンバーと話し合いを重ねていくなかで、ふと石川さんの頭に大学のキャッチコピーである『つながる大学』が思い浮かびました。そこで「つながるとはどういうことなのか考えたときに、自分は様々な人とつながって生きてきたということを大学で実感したことを思い出し、そしてこのことは自分だけではなく、みんなに言えることではないかと考え、人と人とのつながりをテーマにTシャツをデザインしよう」と思い、提案してみることにしました。

「人とのつながりを表現したい」と思ったのには、石川さんが大学で受けた多文化共生に関する授業が大きく影響しているそうです。「体に障がいをもっている方や、海外にルーツをもつ方など、自分とは異なる文化を持つ方が社会にはたくさんいます。一人ひとり育った環境が異なるので、自分と同じと思っていた人も自分とは異なります。でも、自分とは異なる人たちを受け入れられない、見てみないふりをする傾向が世の中にはあると感じています。同じ人間なのに、それは凄く悲しいことだと思うんです。でも、私自身も気づいていないだけで、同じことをしていたかもしれません。授業を聴くうちに、そんなことを強く考えさせられました」と石川さん。「あまりに難しい問題なので、私もまだ答えが出ていません。でも、いろんな人たちと一緒に生きている、つながっているということを、より多くの人に感じてもらいたいという思いを、このTシャツにも込めたいと考えました」

さまざまな人たちを「一本の線」で描いています

メンバーの賛同を得た石川さんはさっそく、イラストを作成してみました。学生だけでなく、車椅子を押す人、スポーツ選手、小さな子どもと遊ぶ人、キャンパスで働く清掃員や守衛の方々など、さまざまな人たちを描き、それを一筆書きのように一本の線で結びました。「絵を習ったことはなく、Tシャツのイラストも、高校生の時に描いたことがあるだけ」でしたが、伝えたい思いを込め、果敢にチャレンジしました。「描きたいもののイメージは頭にありましたが、なかなかうまく形にできず、本当に悩みました。看護や薬学、福祉、メディアなど、どの学科の学生なのか分かるようにして描きたかったんですが、いろんな要素を入れていくとまとまりがなくってしまうので、全体のバランスを考えて、シンプルにしました」

「登場人物」の絞り込みに続き、石川さんはさらなる工夫を凝らしました。「一筆書きは大学名の略称の『J』から始まって、『I』を通り、『U』で終わりますが、真ん中の『I』を『私(自分自身)』にかけて、目立つように大きめに描きました」。Tシャツを着た人に「このイラストに『自分』も描かれている」と感じてもらいたいという思いからです。約3カ月、試行錯誤を繰り返しながらイラストが完成しました。

日英韓の3か国語でTシャツのデザインについてスピーチ

昨年11月に開催した創立30周年式典で、Tシャツをお披露目する石川さん

完成したイラストを前面にプリントしたオリジナルTシャツは、多くの人に着てもらえるように人気の高い白と黒の2色で、フリーサイズにすることにし、制作会社に発注しました。納品されたTシャツをお披露目するのは、創立30周年式典のラスト。ステージ中央に立った石川さんは「自分の思いがどこまで会場にいる方々や生配信を見ている方々に伝わるか、本当に不安でした」と振り返ります。一緒に韓国語を学ぶ仲間とともに、日本語、英語、韓国語の3か国語でTシャツ制作の過程や込めた思いを語り、大きな拍手に包まれました。

Tシャツを手にした人たちの反応は「凄くかわいい」「ずっと着ていたい」と上々。式典と同時開催の大学祭で展示ブースを設けたところ、さっそくその場でTシャツに関する感想をもらったり、小さな子どもも着てくれたりと、人気を集めました。「このTシャツをどこまで受け入れてもらえるのか、お披露目まで本当に不安でした。出来上がってから、『もっとこうしたほうが良かったかな』と思うこともありましたが、喜んでいただけて本当に嬉しかったです」と石川さんは当時の様子を嬉しそうに語ってくれました。

まずは一歩踏み出すこと

オンラインでの本格販売に向け、同じ学科の友人が宣伝に協力してくれることに。モデルも友人が引き受けてくれました。ポスターを制作したり、SNSで情報発信したりして、みんなで一緒に取り組みました。今後はカラーバリエーションも増やし、より多くの人に着てもらえるようにする予定だそうです。「学生はもちろん、先生方、卒業生の方々、さらに大学関係者以外の皆さんにも着ていただき、『人とのつながりの大切さ』を共有したいです」と期待が膨らみます。

「最初は1人からプロジェクトを始めましたが、後からどんどん加わってくださり、たくさんの方が応援してくれました。まずはやってみること。一歩踏み出すことが重要だと感じました。」と、今回の経験を振り返る石川さん。今後は「韓国だけでなく、さまざまな国や地域から留学してきた学生をサポートしていきたいです。国内の高校にもいろんなバックグランドを持った学生がいるので、特に海外にルーツを持つ学生向けの広報もやっていきたいです」と、石川さんの「つながりの一筆書き」はまだまだ続きそうです。

オリジナルTシャツは以下のサイトで購入できます(フリーサイズ、税込み1,000円、別途送料がかかります)

インタビュー終了後に石川さん(右)と記念撮影