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「社会的な視点を大切に」鴨下一郎特命教授が医療・福祉従事者を目指す学生たちに講義

学部学科

2023.07.31

医療従事者を目指す学生にエールを送る鴨下一郎特命教授

質疑応答では学生たちが次々に手を上げ、質問していました

前衆院議員で心療内科医でもある鴨下一郎特命教授が7月21日、千葉東金キャンパスでの専門職連携教育(IPE)で授業を行いました。薬学部医療薬学科、福祉総合学部福祉総合学科・理学療法学科、看護学部看護学科で医療・福祉を学ぶ学生たちに向け、厚生労働大臣を務めた経験も踏まえた幅広い知見を伝えました。

今回の講義のテーマは「バイオ・サイコ・ソシオ・エシカルに医療を考える」で、鴨下特命教授はまず「身体的、精神的、社会的、そして倫理・哲学の4項目を常に念頭に置いてものを考えることが必要だ」と、テーマに込めた思いを語りました。

「身体的」には、ルッキズムや摂食障害などの問題と自分はどう向き合うのか、「精神的」には、ストレスやトラブルに見舞われたときの反応として、自責型(自分の責任と捉える)、他責型(人のせいだと思う)、無責型(誰のせいでもないと考える)という3タイプのうち自分がどれに当てはまるかと、鴨下特命教授は壇上から問いかけました。さらに「自分のアイデンティティを確立するのが学生時代」として、自分がどういう人間なのか、どういう人間になりたいのかをしっかり考え、方向性を定めることの大切さを説きました。

続いて、日本における社会保障給付費の推移をグラフで示し、医療・介護の給付金が急激に増加していることに言及。「この40兆円ほどの給付金によって運営されている職場で、これから皆さんは働くことになります。この限られた財源をどのように使っていくかは、皆さんの将来に大きく影響します」と、学生たちが目指している医療・福祉従事者を取り巻く社会状況を説明しました。さらに、軽度な不調は自分で手当てする「セルフメディケーション」や、医師の業務の一部を他の医療従事者に移管する「タスクシフティング」といった取り組み、デジタルヘルスやオンライン診療の普及によって、医療現場が変わりつつあることにも触れ、学生たちが視野を広げるためのヒントを示しました。

また、高齢者が健康を維持し元気に暮らせるまちづくりや、誰にもいずれは訪れる人生の最後をどのように迎えたいかを事前に示しておく「リビングウィル」などにも話を広げ、「医療のことだけではなく、社会のことも考える医療従事者になってほしい」と学生たちにエールを送りました。

学生たちからは「医療に携わってよかったと思ったことは」「どんなことを生きがいにすれば、精神的に健康でいられるか」と言った質問が寄せられ、鴨下特命教授は「末期がんの患者に在宅で治療を続けられる仕組みを整え、自宅で最期を迎えられるように手を尽せたこと」「自分のことを例に挙げると、医療改革など自分にしかできないことに取り組んでいるのが生きがいになっている」と、一つひとつに丁寧に答えていました。