ハンガリー研修
2024.09.02
ハンガリーの軍事病院で、脳神経系救急医療について学びました。特に、脳溢血、虚血性脳梗塞、脳出血の診断方法と治療方法について詳しく話を聞くことができました。ハンガリーでも日本と同様に高齢者が増加傾向にあり、生活習慣の影響から脳疾患の患者が多いそうです。このため、ハンガリーでは保育園の子供たちにも脳疾患の早期発見を目的としたチェックリスト「BE FAST」を教えているとのことでした。
「BE FAST」は、以下の症状を早期に確認するためのアクロニム(頭文字)です:
・Balance(バランスの喪失)
・Eyes(視力の変化)
・Face(顔の片側が垂れ下がる)
・Arms(腕の片側が上がらない)
・Speech(言葉が不明瞭)
・Time(すぐに救急車を呼ぶ)
日本でも少子高齢化が進行していることを考えると、この取り組みは日本でも導入する価値があると感じました。
また、ERの現場では非常に忙しい環境であるため、医師が不在の場合には看護師が採血や心電図検査を行うことがあると聞きました。これにより、診療の時間が短縮され、結果的に患者の命を救う可能性が高まると考えられます。
次に、心血管センターにて心疾患に関する講義を受けた後、病棟の見学を行いました。ハンガリーはヨーロッパにおいて心臓移植件数が第2位であり、心疾患がハンガリーの国民病のように多いことを知りました。
さらに、ハンガリーでは同性同士の病室にカーテンが設置されていないことが一般的で、その理由として、患者同士が会話を交わすことで不安を軽減させる効果があるという考え方や、病院におけるプライバシーの概念が日本ほど強くないことが挙げられていました。一方で、日本ではプライバシー保護や個室空間の確保が重要視されているため、カーテンを用いて個人の空間を作ることが一般的です。この点においても、文化や国柄の違いが顕著に表れていると感じました。
NATO軍に参加していた看護師からは、戦場での活動について話を伺いました。また、「岩の病院」として知られる第二次世界大戦中に使用された病院も訪問しました。この病院は洞窟内に作られており、戦時中には収容人数を超える患者がここに押し寄せたそうです。戦後には原爆対策設備が増築され、その背景には日本の広島と長崎に投下された原爆の影響があったとのことです。原爆がもたらした恐怖を改めて認識し、戦争の悲惨さを痛感させられる訪問となりました。
A.T
救命実習
心血管センター
白衣を着て院内見学
岩の病院にあるポスター