This page does not support translation languages. ×

ハンガリー研修 9日目(その1)

ハンガリー研修

2025.08.25

9日目:8月25日:プログラム:緊急時のケアテクノロジー/トリアージ(その1)

 まず、緊急時に用いられる POCT(Point of Care Testing:現場迅速検査) について学びました。POCTとは、病院の検査室に依頼するのではなく、患者のそばで迅速に結果を得られる検査のことを指します。具体的には、尿検査、妊娠反応検査、血糖測定、血液凝固検査、ABO式血液型判定、血液ガス分析などが含まれます。これらは一般的な検査に比べて高価なため主に緊急時に使用されますが、ハンガリーでは保険加入者に対して全額が保障されることを知りました。

 続いて、トリアージについて学びました。日本で最初に学んだのは「災害用トリアージ」だったため、当初は混乱しましたが、今回の授業で整理することができました。ハンガリーでは救急科が24時間365日開放されており、軽症者も多く受診するため、待機時間に カナダ式の5段階トリアージ(CTAS:Canadian Triage and Acuity Scale) を実施しています。これにより緊急度を判定し、優先度の高い患者から治療を行う体制が整っているとのことでした。なお、日本にもこれに相当する基準として JTAS(Japan Triage and Acuity Scale) があることを知りました。

 また、ABCDEアプローチ についても学びました。

A(Airway):気道確保
B(Breathing):呼吸確認
C(Circulation):循環評価
D(Disability):意識レベルの確認
E(Exposure):全身観察

 さらに、SAMPLE質問 についても整理しました。

S(Signs & Symptoms):症状・所見
A(Allergies):アレルギー
M(Medications):服薬
P(Past Medical History):既往歴
L(Last Oral Intake):最後に口にした飲食物
E(Events leading up to injury/illness):受傷・発症に至る出来事

 加えて、病院でのトリアージと災害時のトリアージの違い についても学びました。病院では必要な器具や人員が揃っているため最重症者から治療しますが、災害時には限られた資源でできるだけ多くの命を救うために、救命可能性の高い患者を優先するという考え方があると知りました。

 

K.U
 

講義の様子

講義の様子