新幹線開業に沸く都市の観光産業の現在と地域が積み重ねてきた歴史について考える ~ 長崎市と佐世保市での研修

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私たち佐滝ゼミの3年生は、9月11日~14日の4日間、長崎県で観光の最前線を学ぶ研修を実施しました。訪れた時期は、直前に西日本を代表するテーマパークである「ハウステンボス」が香港の投資会社PAGに売却されることが発表されたばかりであり、また9月23日に西九州新幹線の武雄温泉~長崎間が開業する直前という、まさに観光地の抱える課題について学ぶにふさわしいタイミングとなりました。また、観光地の状況の視察に加え、長崎市の観光戦略の司令塔となっている長崎国際観光コンベンション協会へも出向き、その取り組みについて詳しくお話を伺うなど、観光を支える企業についての理解を深める絶好の研修ともなりました。

ちなみに、研修先の決定までには、ゼミ生たちが全国からいくつもの候補を提案し、何度もプレゼンテーションを繰り返し、その中から投票を行いました。また、移動の交通機関、宿泊地、コースの選定もすべて私たち学生で行いました。
こうしたプロセスを経て決めた研修先で、学生たちが肌で感じた体験や学びについて参加者3人の感想をご紹介します。

 
佐世保市九十九島遊覧船をバックにゼミ生全員で記念撮影
 


○ 観光学部3年 田宮 聖捺
今回の長崎研修旅行の初日は、長崎県佐世保市にあるハウステンボスを訪れました。
9月に入り、私たちの大学のある千葉県内は涼しくなりはじめていましたが、長崎はまだ盛夏のごとき暑さでした。

園内に入ると、異国情緒たっぷりの街並みと咲き乱れる花々に圧倒され、非日常感を味わうことができました。まるで、本当にオランダの街に足を踏み入れたかのような気持ちになりました。
子ども向けの体験型アトラクションから若者向けのフォトジェニックな施設、大人向けの飲食施設など、老若男女問わず楽しめる施設が揃っているという印象を受けました。
さらに、一年を通してのイルミネーションやプロジェクションマッピングなど夜まで楽しめるイベントや装飾が用意されており、夜になっても園を離れがたい気持ちにさせる仕掛けにあふれていました。

ハウステンボスへの訪問では、株式会社エイチ・アイ・エス(H.I.S.CO.,Ltd.(以下、H.I.S.))から香港の投資会社に売却が決まったというタイムリーな時期と重なり、様々な視点から園内を見学することができました。私たちが訪れた時にはまだ買収が決まったばかりの段階でしたが、今後どのような変化が起きるのか関心を持ち続けたいと思います。
 

広大な敷地にオランダ風の街並みと風車が広がる景色を見学
 

○ 観光学部3年 早乙女 竣音

3日目の研修では、長崎市の出島ワーフという観光施設の一角にある長崎国際観光コンベンション協会で、担当者から長崎市の観光戦略などをうかがうとともに、意見交換会を設けていただきました。

まず、担当者から長崎市における観光戦略に関するお話を聞き、市の公式観光サイトの多言語化のほか、地域のブランディングにも注力しているのというお話が印象に残りました。長崎市には、永い間、外国への窓口だった歴史からもわかるように、多くの文化財が残っているほか、食文化や自然景観などの観光資源も豊富です。ただ、今回のお話では、その今までに評価されてきたものよりもなお「観光客に選んでもらえる」地域となるような努力が積み重ねられていることを知りました。
例えば、長崎市は、以前からまち歩きを前提とした観光に力を入れており、長崎弁でぶらぶらすることを表す「さるく」というキーワードで観光客にアピールを続けてきました。これをブランドとして定着させる活動も、「観光客に選んでもらえる」ための一つの活動だとおっしゃっていました。ただ、同時に、そのブランド化定着の成功の要因は「地元愛に溢れた市民がたくさんいること」だというお話はとても腑に落ちました。地域観光のブランド化に必要なものの一端を教えていただけたように思います。
 

長崎国際観光コンベンション協会で講話を聴講する様子


○ 観光学部3年 岩出 佳央理

この長崎研修旅行では、原爆の爆心地となった平和公園と原爆資料館を訪れました。また、キリスト教の受難を示す施設において、その歴史を体感することができました。こうした大学生として知っておくべき歴史的な事象について学ぶとともに、そのゆかりの地に立つことで様々なことを考える機会となりました。

3日目に訪れた長崎原爆資料館では、原爆の傷跡や生々しい被爆者の体験談の展示に触れ、核兵器の恐ろしさを目の当たりにしました。戦後生まれの国民が8割を超える現在、戦争を経験した語り手がいない時代が来る日もそう遠くはありません。ですが、私たち戦後世代が戦争の残酷さを語り継いでいくことが、改めて大切なのだと痛感しました。

4日目には、世界遺産となった「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」のひとつである大浦天主堂やキリスト教の迫害によって殉教した人々の足跡の展示を見学できる日本二十六聖人記念館を見学しました。
ここでは、キリスト教が、教徒による布教活動により多くの日本人の信仰を得たにもかかわらず、禁教令が発令されたことで弾圧されていくプロセスを学びました。また、信者となった人々がどのような想いで信仰を続けたのかということも学びました。私は、キリスト教の教会に入ったのは初めての体験でしたが、そこで宗教の大切さや人々の尊さも感じることができました。

この研修旅行では、観光地をただ回るだけでなく、事前に下調べを重ね、知識を身に着けた上で参加しましたが、様々な文化と歴史の入り混じるこの長崎を目で見て肌で感じられた体験は、座学として学ぶ経験とはまた異なり、とても良い機会となりました。
 

爆心地付近に建つ平和祈念像をバックに記念撮影
 
殉教の地に建つ日本二十六聖人記念碑と聖フィリッポ教会(西坂教会)