まる行:SDGs未来都市として脱炭素化社会を目指す地域の観光インフラづくり (神奈川県横浜市の取り組み事例紹介)

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行政が施行する地域政策や政策に伴う整備がどのように運用されているのかということを、行政職員の方々にご紹介いただく自主ゼミ「まる行(行政の行なっている地域政策まるわかり研究会)(以下、まる行)」を9月9日に実施しました。
この自主ゼミは、各地域の行政が主として取り組んでいる課題に即したテーマを取り上げ、担当者よりお話を伺います。今回は、「SDGs」をテーマとし、横浜市温暖化対策統括本部 SDGs未来都市推進課の職員の方々に、お話しいただきました。
「SDGs」とは、Sustainable(持続可能な)、Development(開発)、Goals(目標)の略で、2015年にニューヨーク国連本部において行われた国連持続可能な開発サミットにおいて採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」です。このアジェンダ(課題)において、「誰一人取り残さない」ことが謳われ、17 の持続可能な開発目標が定められました。
横浜市は、この目標に沿って内閣府が定めるSDGs未来都市として認定されています。そこで、今回の自主ゼミでは、横浜市で行っている「SDGs」に即した環境に配慮したまちづくりに関わる事例をご紹介いただき、観光に応用していくにはどうしたらいいかを考える機会とさせていただきました。観光学部からも8名の学生が参加させていただきました。

 
SDGsに関わる取り組みを社会実装する仕組みについて学ぶ



○ 観光学部3年 青柳 翔太
今回、横浜市役所の職員の方に講演をしていただき横浜市がSDGs未来都市としてどのような取り組みをしているのかについてお話ししていただきました。
私が所属している金子ゼミでは、夏休み期間中を利用し、横浜市と同じくSDGs未来都市として認定されている北海道上士幌町において、「電動車椅子の観光利用に関する実証実験」を実施しました。
上士幌町で脱炭素社会の実現に向けた取り組みや自動運転バスの実証実験を行った際のお話などについてうかがっていたので、今回の自主ゼミは、私たちのゼミの学びに繋がる貴重なお話を聞く機会となりました。

とくに、横浜市では、私たちが上士幌町で実証実験を行った際に利用したWHILLという次世代型電動車椅子をシェアリングサービスとして事業化しようと考えているとのことで、私たちと親和性の高い取り組みを現実に行っていることに驚きを隠せませんでした。しかも、事業化に向け、実際に、みなとみらい21地区で無料貸出の実証実験を実施しているとの話や2019年から5回にもわたる実証実験を繰り返しているという話には驚かされました。
そのため、横浜市は、わたしたちの研究に先駆け、多くのノウハウや課題も持っていました。そこで、私たち金子ゼミでこの自主ゼミに参加した学生たちは、電動車椅子のシェアリングサービスを実装させるために検討していたことをお話しさせていただくとともに、互いに課題としていることの情報を共有させていただきました。
例えば、電動車椅子を貸出す場合、「貸出範囲をどのように設定し、その範囲から出てしまう場合の管理はどうすればいいのか?」など、シェアリングサービスを考える上での課題になってくる部分についても質問させていただきました。そのこともあり、とてもタメになる自主ゼミとなりました。また、本当に、自分達が行なっている活動が、世の中で必要とされているのだということを実感しました。

最後になりますが、今回、横浜市役所職員の方々にご講演していただいた内容を参考に、よりよいゼミ活動にしていけたらと考えます。

 
高密度地区におけるオンデマンドバスの利用に関わる実証実験のモデル図
 


○ 観光学部3年 坂田 凜太郎
今回の自主ゼミでは、横浜市温暖化対策統括本部SDGs未来都市推進課の職員の方々から、その取り組みについてお話いただきました。
私は、金子ゼミのメンバーとして、北海道上士幌町において「電動車椅子の観光利用に関する実証実験」を行なっています。今回、横浜市の方々からご講演いただいたお話の中には、私たちのゼミ活動同様、電動車椅子を健常者に日常利用してもらうための取り組みのお話もあり、とても興味を持って聞くことができました。

ただ、お話を聞く中で、私たちと目的(健常者への電動車椅子の普及啓発という点)は同じなのですが、夏の実証実験で行った上士幌町で検討すべき課題とは大きく異なっているのではないのかと感じました。その背景には、やはり横浜市が人口密度の高い大都市であるという説明があったことが理由として挙げられます。
例えば、横浜市を紹介する際には、地方社会に比べ、きれいに道も舗装されている写真が多く紹介されます。今回のお話でもそうした写真により横浜市の風景が紹介されました。そうした写真を見ていると、電動車椅子で走行するには、ハードルが低いのだろうなと感じました。一方で、大都市ということもあり、道幅が広く交通量も多い地域だと感じています。そのため、簡単には、電動車椅子が反対車線に横断ができないことを理解しました。こうした状況は、乗車している人にとっては自由度が低いとも感じました。
そのこともあり、私たちが実証実験を行なってきた上士幌町とは、大きく異なる環境なのだと話を聞きながら実感しました。ただ、どちらが電動車椅子の利用に適しているのかという比較はできません。一長一短なのではないのかとも思いました。

話は変わりますが、以前、私がみなとみらいを訪れた際、駅から主要観光スポットが離れており、歩くには不便だと感じたことを思い出します。バスに乗るほどの距離でもないわけです。ただ、景観はよく、中華街から赤レンガ倉庫への道程はとても素敵だったことを思い出します。そう考えると、電動車椅子のようなスモールモビリティで走行することに適している環境なのではないかと考えながら話を聞いていました。横浜市でも私と同じように考え、WHILLの利用促進を図るため、実際に赤レンガ倉庫周景をモデルルートとした実証実験を行なっていたそうです。ただ、実際の利用者が少ないとのことで驚きました。
実際のところはわかりませんが、このお話を聞いて感じたことは、やはり「健常者にとっては、電動車椅子に乗車するハードルは高いのではないのか?」ということです。システム的に問題があるというよりも、障がい者のものというイメージが染み付いているからなのでしょう。また、同様のスモールモビリティLOOP(電動キックボード)のような手軽さがないことも課題かもしれません。どこでも乗り捨てができる乗り降り自由なインフラ整備が整っていないことが原因ではないでしょうか?

以上が、今回のお話を聞いて感じたこととなりますが、今回の自主ゼミは、上記のような課題解決のためにも、「わたしたち大学生に何ができるのか?」を考えてみるいい機会になりました。上士幌町だけではなく、こうした大都市における電動車椅子の観光利用に関する方法も考えていかないと、これからのインバウンド観光に対応していけないと思ったからです。

 
2022年度におけるエコモビリティ(電動車椅子など)のシェアリング実証実験MAP