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ツールド妻有に学ぶサイクルツーリズムを介した地域連携

プロジェクト

2023.06.10

観光学部では、昨年度に続き2023年度も地域にある企業「道の駅・みのりの郷東金」様(以下、みのりの郷)と連携し、サイクルツーリズムを主題としたプロジェクトを行う授業を実施します。

本授業の目的は、東金市の「地域の魅力発見」とその魅力を活かした道の駅を基点とした「観光イベントの開発」です。本年度も、東金市商工観光課からのサポートを受け、東金市におけるサイクルツーリズムの推進に向けた取り組みをしていきたいと考えています。

プロジェクト開始に伴い、新潟県・越後妻有地域の里山で行われている越後妻有トリエンナーレ『大地の芸術祭』(以下、越後妻有トリエンナーレ)で行われているツールド妻有チャリンコミュニティーアート(TOUR DE TSUMAR CHARINCOMMUNITY ART) (http://tdtsumari.info)(以下、ツールド妻有)を主催している伊藤 嘉朗 氏をゲストに迎え、オンラインでその活動概要や自転車の普及に寄与する周辺活動として行っている『渋谷自転車部』(渋谷のラジオ)の話などをお聞かせいただきました。
 

ツールト?妻有のコースを走る風景

ツールト?妻有の集合写真
 

授業に参加した学生の報告を介して、内容をご紹介させていただきます。


○ 観光学部2年 小溝 萌

今回、越後妻有トリエンナーレの中で、ツールド妻有というサイクルツーリズムイベントを実施運営している伊藤嘉朗さんのお話を伺いました。

話の冒頭に、「サイクルツーリズムイベントを芸術作品として開催することで、自転車を普段乗らない方へもサイクルツーリズムイベントに参加する動機づけとなった」という話があり、他イベントとの差別化やブランディング手法において、とても参考になりました。

ただ、ツールド妻有は、その成り立ちが、妻有越後トリエンナーレというアートイベントの一つとして開催されたもので、アート作品がまちの中にあることが前提でコースが設定されているように思います。そのため、東金市やその周辺の市町村でコースを作る場合には、地域の特徴や現代のニーズに合わせて考えるべきだと思いながら話を聞いていました。例えば、九十九里方面に行くのであれば、「釣り」や「海産物」など、自転車には関係のないようにも思える地域性を活かした部分は取り入れるべきだと思います。

他にも、地域とは関係のないことかのように聞こえるかもしれないのですが、アートとサイクリングという全く関係のないようにも思える取り組みを組み合わせることにより、誘客の動機づけをするという点では、最近、多くのところで話題になっているLGBTQの課題を取り上げイベントに盛り込んでもいいのではないのかとも思いました。他の授業でプライドパレードのことについて学んだことがきっかけです。こうしたことが、伊藤さんのお話くださった地域を活性化させる起爆剤になるのではないのかと感じたからです。また、経済波及効果の高い、地域にお金が落ちるような方法だとも感じたからです。そういった点では、地元住民にイベントをサポートしてもらうというお話も、地元の経済・コミュニティ、両面での活性化に繋がりとてもいい活動だと感じました。

ちなみに、「イベントを開催するにあたり、金銭面での課題はなんでしょうか?」といった質問を投げかけたところ、「一番お金がかかるのは、トイレの水道代などのインフラ整備の部分」という答えが返ってきました。予想していなかった答えだったのでとても驚きました。参加人数にもよると思うのですが、近隣の施設を借りるなどの方法を取っていけば、水道代等もかからず、イベントができるのではないのかとも感じました。とはいえ、住民に負担を強いるので、本当に悩ましい課題なのだなと改めて感じました。
 

伊藤さんからオンラインて?活動の様子を伺いました


○ 観光学部3年 井口 陽人

今回の伊藤嘉朗さんのお話の中で紹介されたツールド妻有は、2006年から開始され、すでに多くのサイクリストに愛される活動です。そのため、伊藤さんが、サイクリストの裾野を広げる活動として、パーソナリティを務めるラジオ番組『渋谷のラジオ』などのお話も魅力的ではあったのですが、ツールド妻有そのものに注いできた労力や年月、信頼などの積み上げたものに対するお話は、気付きが多くありました。最近では1,000人もの人を動員するイベントになっているという話にも驚きましたが、イベントコンサルを入れるのではなく、地域の人たちの協力の元でそのイベントが成り立っているということに驚きました。とくに、参加者のマナーなどが問われる地方社会において、毎回、トラブルなく無事にイベントを終えることができているとの話には奇跡的だとすら感じました。

ちなみに、私は幼少期から東金市の住民のため、東金市の生活環境においてこれは必要だと感じていることがあります。それは、東金市は車社会であり、車がないと正直生活は厳しいということです。「もし、そこに観光客がやってきたとしたら?」と考えると、「一時間に一本程度しかない電車やバスに頼りながら観光なんてできない」などと、私は考えてしまっていました。そこで、レンタサイクルなどの施設を作ったり、自転車で東金市を満喫できるコースをつくれば、少しは観光に寄与できるのではないのかと思っています。また、自転車を主な移動手段に使っている学生にとっても地域の新たな魅力の発見につながるではないかと思いました。

とくに、自然が多く、標高がそこまで高くない山のある、この東金市という地域は、九十九里海岸も近いので、山だけでなく海も楽しめるサイクリングコースが作れるとてもいい環境だと考えています。そう考え直すと、東金市という立地は、観光地として「少し贅沢すぎやしないか?」とも思うのは私だけでしょうか?

こうした環境があることを多くの人に知ってもらうためにも、インスタ映えする環境を探し出し、コースに盛り込みたいと思っています。そうした風景に誘われ集まってきた人たちを中心に地域を盛り上げ、「東金市には何もない」と思っている地域の人を伊藤さんのように巻き込めればと思っています。
 

渋谷のラシ?オ『渋谷自転車部』の配信風景

○ 観光学部1年 島田 知穂

私は、サイクリングは、ただ単に自転車をこぐだけというイメージが強くありました。

ただ、今回、伊藤さんからお話を聞いて、ツールド妻有は大地の芸術祭参加作品として始まったイベントだからなのか、妻有地域の自然の風景を楽しみつつサイクリングができ楽しそうだと感じました。とくに、サイクリングイベントがあることで、地元住民ではない人が、地域に多く訪れる機会ができ、さらには、地域のことを知ってくれる人たちが増えるきっかけとなることは非常に良いことだと感じました。

また、このツールド妻有を参考に、全国各地でも似たようなサイクリングイベントが広がり、自転車ブームがより広がればいいのにとも感じた。その一つとして、私たちの活動もありたいと思っています。

ただ、私は、大学一年生だと言うこともあってか、普段から大学に来ていても、大学の近傍にしか行く機会がなく、駅から離れた場所はまだまだ知りません。今回、伊藤さんの話を聞いて触発された私は、サイクリング活動を通じて、東金市や近隣の地域を巡ると同時に、魅力を発見していきたいと思っています。また、自転車に乗る習慣がある人が自分も含め少ないと思うので、自転車の楽しみ方や自転車についての知識を学び、周りの人に広めていきたいとも感じました。
 

地域の人たちに協力して貰っているエイト?ステーション