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福岡・大分で観光の最前線を学ぶ

ゼミ活動

2023.09.26

 佐滝ゼミナールでは、毎夏、学生たちが「旬」な観光地を選び、学生自身で訪問先や交通機関、宿泊施設などの旅程を組み、実際に現地で研修する「リアルツーリズム・イクスピアリアンス・イン・サマー」を実施しています。
 今年は、3年生8人がそれぞれ希望する研修地域のプレゼンをし、ディスカッションや投票を重ね、最終的に北部九州(福岡県・大分県)で実施することに決まり、9月10日から4日間、福岡市、太宰府市、北九州市、そして別府市を訪れました。

 初日は、羽田空港から福岡空港へのフライトでしたが、福岡空港の混雑で到着が遅延。コロナ前の便数に戻り、滑走路1本のみで、しかも市街地にあるため拡張も困難という福岡空港の弱点の洗礼を受けました。午後は、バスで太宰府に移動しましたが、天満宮の門前も境内も国内外の観光客でにぎわっている様子に圧倒されました。境内では天満宮ガイドサービスの会の解説員のガイドを聴きながら参拝、その後、宝物館で天満宮顧問(前の権宮司)の方から、太宰府の観光戦略やコロナによる影響と回復状況などについて具体的なお話を伺いました。

太宰府天満宮の前権宮司から、太宰府観光の概要についてレクチャーを受ける

 2日目は近年観光地としての整備が進む「海の中道」地区に出向き、国営海の中道海浜公園やマリンワールド海の中道を見学、ここでも多くの家族連れや主にアジアからの外国人観光客が楽しんでいる様子が伝わってきました。その後、博多湾を横断する観光船で福岡市の再開発の象徴である「ももち地区」へ移動、福岡タワーや複合エンターテインメント施設BOSS・E=ZO・FUKUOKAなどで都市型の観光地の様子を体感しました。夜は中洲で福岡グルメも堪能しました。福岡市は、交通の至便さにより九州一円から若者を集めてさらに発展しているだけでなく、韓国や台湾などアジアからのインバウンドも大勢訪れており、交通機関の表示やアナウンスも国際化が進んでいるなど、興味深い見学先でした。

「マリンワールド海の中道」のエントランスにて

博多に来たらやっぱり「博多ラーメン」

 3日目は、北九州市の門司港エリアへ移動、近年急速に観光地化が進む門司港レトロ地区の見学及び対岸の山口県下関市と連携をしながら観光戦略を練って実行に移す着地型の観光組織「海峡都市関門DMO」を訪問し、事業のお話を聞くとともに1時間近く質疑の時間も作っていただきました。

国重要文化財に指定されているJR門司港駅をバックに

「門司港レトロ」地区の旧門司税関(1912年竣工)

関門海峡を望む会議室で、「海峡都市関門DMO」スタッフにヒアリング

 4日目は、わが国の温泉観光の嚆矢ともいえる施策を次々と打ち出し、今も斬新なアイデアで多くの観光客をひきつける別府市で、地獄めぐりなどの観光地を視察、ここでも様々なインバウンド対応の仕掛けを肌で感じました。ランチにはとり天など別府の郷土食に舌鼓を打ち、午後、大分空港に移動。夕方の便で夜景がまばゆい羽田空港に戻りました。残暑が厳しく、突然の雷雨に見舞われたこともありましたが、事前に立てたプランをほぼ遂行し、多くの学びを持ち帰ることができた貴重な研修でした。

別府・血の池地獄の前で

<参加した学生の声>

【阿部心寧】
 行き先の決定から、行程表の作成、航空券・宿泊施設の予約、福岡県や大分県についての事前学習など徹底的に準備を進めて臨んだ研修だったが、いざ研修が始まると飛行機の遅れや天候に左右され、行程表どおりに進まず、うまくいかないこともあった。そのような時に、ゼミの仲間と相談し、臨機応変に対応することで、無事に3泊4日の研修を終えることができた。キャンパスを遠く離れた場所での研修は、普段、大学の講義を受けているだけでは分からないことが多く新たな発見ばかりで、この研修を通して「学生主体」で取り組むことにやりがいや達成感を感じ、とても良い経験になった。

【安東翼】
 この研修では自分が行ったことのない地域がどのような問題に直面し、その現状をどう打開するかの解決策の出し方を学んだ。このゼミのスタイルは、実際に現地に赴いてこの目で見て自身の新しい発見と経験を見つける活動が主眼となっていて、学生にとって必要な力を得られる機会だと感じた。私にとっても学生生活で一番の思い出となった。

【阿部ななみ】
 同じJRでも、博多駅には外国人専用のカウンターがあったり、著名なデザイナーがかかわった目立つ外観の列車が走っていたり、蓄電池で非電化区間も走れる最新鋭の電車(愛称、DENCHA)が導入されているなど、現地に行ってみないとわからないことが多く、発見の連続だった。そんな中でも最大の収穫はゼミの仲間の良いところを知れたこと、今後のゼミ活動がより楽しくなると確信した。

【張美琳】
 4日間の研修は、予想を超える充実したものだった。訪問した観光地や名所、そして地元の食事により、新しい文化や価値観に触れることができた。初日の太宰府天満宮では、ガイドサービスの会の解説員と天満宮の顧問の方から、新型コロナウイルスの影響について説明を受けたことが印象的だった。最初の1年から2年間は厳しい時期があったものの、現在では約90%回復し若者らでにぎわっている。しかし、お年寄りの訪問者が少なくなっているのが課題で、そのために高齢者向けの歴史の講演会を行うなど、努力を重ねていることを知り、教室やインターネットだけでは学べない現地の実情を知ることができた。