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観光ゼミナール ~電動車椅子の観光利用に関する実証実験の記録 vol.01 遠隔地にある地域拠点との打ち合わせ~

ゼミ活動

2021.07.08

    

本年度の金子ゼミは、「U・Iターンに適した拠点づくり」をテーマに、本学が立地する千葉県とは異なる地域(観光地)の課題とその方針について学ぶ活動をしています。また、U・Iターンを促進している拠点における観光人材の活動を体験するために、新潟県上越市の支援のもと、上越市で起業している株式会社北信越地域資源研究所様(以下、北信越地域資源研究所)とWHILL株式会社様に協力いただき、電動車椅子WHILLの観光利用に関する実証実験を行うこととなりました。
つきましては、その実証実験に先駆け、事前の打ち合わせとして、北信越地域資源研究所の平原匡様から、北信越地域資源研究所の活動と現地の観光に関する現状と課題、そして電動車椅子WHILL(以下、WHILL)を利用した観光についての可能性について、オンラインでお話しいただきました。
以下は、その事前打ち合わせに関わる3名の学生の報告です。

上越市の観光の状況について質問を投げかけている様子


● 井上 裕貴 (ゼミリーダー 3年) 

今回は金子ゼミナールの活動の近況を紹介します。
6月3日に実施したゼミナールでは、新潟県上越妙高駅前で故郷をぎゅっと凝縮した施設<フルサット>を運営されている北信越地域資源研究所の平原匡さんに、上越市からオンラインでお話しをしていただきました。本年度の金子ゼミナールでは、北信越地域資源研究所と連携協力し、WHILLの観光利用を考えています。そのための顔合わせとして、<フルサット>並びに北信越地域資源研究所の概要と日頃の活動についてお話していただきました。

ちなみに、<フルサット>は、コンテナを利用したある種の駅前商店街です。ただ、いわゆる昔ながらの商店街にあるような飲食店だけではなく、そのスペースをワーケーションにも利用できるようなシェアオフィスとしても貸し出しているとのことでした。こうした場所に短期的に集まってきた方々に、上越市を知ってもらうためのコンシェルジュのような活動も行っているとのことでした。本年度の産学の連携協力は、そんな観光コンシェルジュの役割の一端を担う活動だという話を聞いて、とても興味を持ちました。冬の代表的なアクティビティであるスキーが盛んな上越市のイメージを、冬だけではなく夏の観光もあるということを伝えるための意図もあるとのことだったからです。
こうした話を聞いて、私は「これまで大学で学んできたことを活かせる最大のチャンスだ!!」と思いました。観光地において「どのような企画を立て、どのように観光客を呼び込むかを考え、それを実践に移し、そこから何を学び、どう次に生かすか」といった一連の流れを考えられるからです。こうしたPDCAサイクルに対する考え方は、大学2年生の時に履修した観光プロジェクトの授業で学びました。ただ、今までは、先生から個別のタスクを与えられ、個別の課題に取り組んできましたが、今回はすべてを自分達で行うことができるので楽しみです。もちろん、不安もありますが、自分達が学んできたことをもとに、上越市の皆さんやWHILLを提供してくださる企業の皆さんと話をしながら、実証実験をもとにした「いい企画」を作っていければと考えています。「いい企画」というのは、どういうものかということは、今後の課題です。

 

WHILLの可能性について北信越地域資源研究所の平原さんと対話を行っている様子


● 丸山 ケン太(4年)
6月3日のゼミ活動では、私たち城西国際大学観光学部金子ゼミの受け入れ先になってくれる北信越地域資源研究所の平原匡さんと「新潟県上越市におけるWHILLの観光利用」についてオンラインで意見交換会を行いました。

WHILLは、近距離モビリティとして開発された電動車椅子で、障害者だけではなく健常者でも乗れることを想定している乗り物です。平原さんからも、最初に、「実証実験に際しては、健常者を意識し、観光利用できることを考えてほしい」と言われました。私は、今回の打ち合わせで、そのモデルデザインを初めて知ったのですが、私たちが知っている今までの車椅子のイメージとは異なり、シンプルかつスタイリッシュなデザインで、パソコンやスマートフォンのような感覚で利用できるデザインだという印象をもったので、健常者にもすぐ馴染むだろうと思いました。私も、早く試乗してみたいなと思っています。

ちなみに、今回、参加したメンバーは、私を含めて新潟県上越市には今まで足を運んだことがない者ばかりです。そこで、今回の打ち合わせに先駆け、まず自分たちが行きたい場所や食べたい特産品などを事前に調べ、その嗜好に合わせ実証実験の場所を検討することとしました。観光客の気分で、どんな場所で試乗したいかということも実は重要な検討要素ではないかと考えたからです。その上で、今回の意見交換会に臨んだおかげで、その実現可能性や検討事項などについて詳細に話し合えたように思っています。

ただ、今回は夏休み期間中のワンシーズンの実証実験になるので話し合いには上がりませんでしたが、季節を変えて検討することも重要なのかなと思っています。WHILLが、どこまでの性能があるのかということについては実際に試乗してみなければわかりませんが、冬には雪景色も広がる地域だと思うので、そういった自然の中をもっと気軽に周ることができるかということについても調査してみたいと考えます。以上となりますが、こうした四季のことも念頭においてWHILLの観光利用への可能性について検討するためにも、今回の実証実験をきっかけに、末長く金子ゼミがおつきあいできればと思いました。

 

実証実験に利用するWHILLに関する説明

 

● 浅賀 尊治 (3年)
私は、地域の歴史や文化を学ぶことが大好きです。そのこともあり、北信越地域資源研究所の平原匡さんから「新潟県上越市におけるWHILLの観光利用」に関するお話をいただいた際に、城郭などにおいても電動車椅子を利用した観光ができないかと考えました。

何故なら、今回、実証実験を行うことになっている新潟県の上越市には、日本の五大山城と言われた春日山城の跡地や高田城址があり、貴重な観光資源になっているからです。とくに、春日山城のような山城の斜面を、WHILLのような電動車椅子が対応し登れるのかということは非常に気になります。また、城郭のような古くからあるバリアフリーが行き届いていない環境において、どこまでWHILLが対応できるのかということも同様に気になっています。

今回のWHILLの実験は、前提として健常者が利用するということなので、電動車椅子で難しい場所は歩行すればいいということなのですが、いま日本にある文化財が障害を持っている方にも利用しやすい環境をどこまで提供しているのかということも、今後の課題となってくるかもしれませんので、そうしたことも今回の実証実験を通して知ることができればいいなと考えます。

こうした文化財の課題について考えることも、課題の一つです。ただ今回はそれ以上に、電動車椅子の利用を促進することが目的だと思っているので、まずは自分が体験して、その良さと課題を他の人にうまく伝えられるよう言葉を紡いでいければと思っています。

 
WHILLの実証実験に利用したいと考えている高田城の現状