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「自主ゼミふりかえり報告会2021」観光学部学生も参加中!!

プロジェクト

2021.09.27


◆自主ゼミ振り返り座談会2021


 今回は、昨年度から定期的に行ってきた自主ゼミに参加しているメンバーが、自分たちが学んできたことを振り返り、自主ゼミ活動で学んだことの価値について広く共有してみようと思います。

 とくに、「地域社会と自分たちの将来のビジョンとの関係性」などについても話していますので、私たち「若者が地方の地域社会に対して、どのように接していきたいのか?」ということも、この場を借りて知ってもらえればと思います。

 

●自主ゼミに参加してよかったことはこんなこと!!

蜂谷:僕は、将来、「まちづくり」や「まちおこし」に関係する仕事に就きたいということもあって、そうしたことに関する書籍を日頃から好んで読んでいます。まず、そうした日頃から読んでいる記事を書いている人々に会えたという点で、この自主ゼミ「ど・ゼミ」に参加してよかったなと思いました。記事化されないような「まちづくり」や「まちおこし」の事例、具体的な取り組み手法も多く紹介してくださり、とても勉強になりました。
また、企業が行なっている地域支援の活動や行政の地域連携活動なども書物で紹介されていますが、実際にどんな活動をしているのか具体的な取り組み内容がわかりません。企業の行なう地域支援や地域連携について学ぶ自主ゼミ「よ・ゼミ」や、行政の仕事丸わかり研究会「まる行」に参加することを通して直接担当者の方に質問できたことは、自分が将来就きたいと思っている仕事のイメージができとてもよかったなと思っています。
ただ、「ど・ゼミ」と「よ・ゼミ」や「まる行」で扱われている「まちづくり」の規模感は違うので、最初は「何を「まちづくり」と呼ぶんだろう?」と疑問に思いましたが、そうした規模感の違いを知ることで、自分が将来やりたいことの選択肢を広げられたことはとてもよかったなと思っています。
また、僕は、就職というのは、企業に就職したらそこで一生を添い遂げるものだと思っていたので、そうではなく就職後を見据えて活動することの大事さにふれることができたことも大きかったです。今後の自分のキャリアを考えることにもつながったので、とても参考になりました。

丸山:私も同じ意見です。観光学部では、観光に特化しているとはいえ、「まちづくり」について教室で聞く機会はありました。ただ、自主ゼミ「ど・ゼミ」を通して、「まちづくり」の最前線で活躍している方々から、少し違うスタンスでお話を伺うことができました。同じようなテーマでも、信憑性や現場ならではの体験、思いがけないトラブルなどについても伺えたからです。
また、「まちづくり」に一見関係がないような職業の方も登壇してくださったことが興味深いなと思っています。例えば、「ど・ゼミ」の第10回目で登壇してくださった大地千登勢さんの活動のように、地域特有の資源を活かしたデザインに取り組むことで、結果的に地域支援や地域活性化につながる「まちづくり」の活動を促進している方もいたりします。ただ、こうしたことは大地さんだけが特別なのではなく、登壇くださった皆さんの活動にふれて思ったのですが、「まちづくり」が専門という人もいますが、実際、多領域を横断的に活動することはできないし、地域によって解決すべきことも違うので、絶対これが正しいというマニュアルは作れないんだなと実感します。だからこそ、「ど・ゼミ」に登壇くださったそれぞれの専門家の一つ一つの手法が、私たち参加者にとってそれぞれの貴重な資料になるんだなと思いました。これを、今、私が学んでいる観光の学びと繋げられるかは、自分次第なのではないでしょうか。
 


大地さんの「文化やその生産現場などを共有した上で、地域資源を商品化する」活動が、結果的に、商品の購入者に持続的な利用を促すことにつながっている。 O Jewel web site ( https://o-jewel.tumblr.com/ )acoya_chi Instagram ( https://www.instagram.com/acoya_chi/ )より抜粋:主催者指示のもと再構成し掲載

 

畑内: 私の在籍する看護学部は、3年生はとても忙しくなるので、最近は自主ゼミ「ど・ゼミ」に参加できていませんが、とても楽しみにお話を伺わせていただいています。
ちなみに、私は、看護師ではなく、町の人々と協力して地域の予防医療に携わる保健師を目指しています。そのこともあり、地域でどういう活動が行われているかについてとても興味を持っており、この自主ゼミに参加させてもらいました。
おかげで、3年生になり「町で活躍する保健師として、あなたは実際の現場で何をするのか?」という企画書をまとめる課題が出された際には、この自主ゼミで聴講した内容が非常に役に立ちました。2年生の時からこの勉強会に出ていたおかげで、「どのように地域資源を活かしイベントを作るといいのか」について学んでいたので、その時のことを思い出しながら課題に取り組むことができました。保健師を目指す人は、このゼミにぜひ参加した方がいいかなと思います。

 

清水: 私が自主ゼミ「ど・ゼミ」に参加してよかったと思う点は、様々な地域の「まちづくり」の活動について知ることができたことです。今までたくさんの方からお話を伺い、人それぞれの地域に対する接し方があるのだということもわかりました。
私も、こうした先人同様、地域経済を盛り上げる仕事に就きたいと思っていますが、「まちづくり」や「まちおこし」の仕事は幅が広く、『四季報』に載っているような業種として括ることができない仕事だということもわかり、どうやって「まちづくり」や「まちおこし」に寄与できる仕事に就けばいいのか、ということがわからなくなったのも実情です。これまで登壇くださった方が、個人事業主の方が多いこともあるのかもしれません。ただ、人と人との繋がりを作ったり、文化を伝えることも「まちづくり」の一つであることを知り、こうした仕事と私が所属する観光学部での学びをどうにか紐づけることができないかと、いま模索している最中です。

 

漆山: 私は、自主ゼミ「ど・ゼミ」ではなく、「よ・ゼミ」の第0回目として実施された良品計画株式会社さんのお話から参加させてもらいました。ゼミの担当教員からお誘いがあり、当時は良品計画さんに就職したかったので、企業研究の一環としてお話を伺おうと参加したんです、笑。
ただ、自主ゼミに出てみると、日頃の企業研究などでは知ることができない話を伺うことが初々しく楽しかったので、その後も何回か参加させてもらうこととなりました。とくに、「まちづくり」「まちおこし」「地域支援」「地域連携」などのキーワードでくくられてはいても、その時々で違うものの見方ができるようになったり、普段学んでいることとは違う知識が増えていくことが楽しくなりました。

 

● どの講義が、自分の研究活動や将来の仕事に参考になった?

梅井: 私は、自主ゼミに参加して「幅広く知識を貯めるということも重要だ」とは思っていたのですが、「その知識を活かす機会ってどういう機会なのか?」ということに疑問を持ちながら自主ゼミに参加していました。とくに、大学3年生までの授業では、聴講して得た知識を活かす機会がなかったからです。また、自分の中でも「知識は知識として学ぶもの」という感じで授業を聞いていたこともあります。
ただ、3年生の時に履修した域学共創プログラム(観光プロジェクト)の中で、サイクルツーリズムを介して地域連携を行っていく際に、自主ゼミで得た知識を役立てることができ、大学での学びに対する考え方は少しずつ変わっていきました。
例えば、第3回の「ど・ゼミ」 に登壇くださった伊藤嘉朗さんのお話はとても参考になりました。実際に、新潟の妻有越後というところで伊藤さんが主催するサイクルツーリズムイベントを事例 ( TOUR DE TSUMARI / CHARINCOMMUNITY ART ) として紹介していただいたからです。とくに、自分たちで一からコースを決める方法だったり、地域の方々の協力を募る方法などについて身近に質問できたことで、自分たちのプロジェクトに具体的に活かすきっかけになったと思います。
 


昨年度のど・ゼミでご紹介いただいたサイクリングイベント「TOUR DE TSUMARI」は、2021年度は、参加者は蜜を避け、各々のTOUR DE TSUMARIを実践しオンラインで情報を共有するイベントとなった TOUR DE TSUMARI / CHARINCOMMUNITY ART web site  ( http://tdtsumari.info/ )より抜粋:主催者指示のもと再構成し掲載

 

清水: 私は、第11回の「ど・ゼミ」に登壇してくださった高橋寿太郎さんの講義が印象に残っています。高橋さんは、不動産関連のお仕事の傍で、千葉県いすみ市にて空き家ツアーを開催しています。この活動が、私が所属するゼミナールの活動地域である千葉県鴨川市の四方木地区と似ていることもあって親近感が湧いたからでしょうか...。ちなみに、いすみツアーは、建築関連の専門家を対象に、空き家を利用したビジネスを推奨するものです。空き家も観光の一つとして考えることができるのか... と発想の転換に驚きました。
また、「異分野交流」という言葉も印象に残っています。「異分野を知ることで成長できた」という高橋さんのお話を伺い、とても刺激を受けました。これまでの日常では、他学部や他大学の学生と交流する機会もなく、異分野の考えに触れることが少なかったので、積極的に異分野の方々と交流してみようと思うようになりました。
 


昨年度のど・ゼミでご紹介いただいたいすみラーニングセンターでの活動。ローカル資源を生かしたいすみツアーなど異分野交流イベントが今年も行われている。 いすみラーニングセンター web site ( https://isumi-lc.com/info/ )、同企画 Instagram ( https://www.instagram.com/isumi_learning_center/ ) より抜粋

 

畑内: 私は、第9回の「ど・ゼミ」に登壇くださった畔上順平さんの<水辺で乾杯2020>という企画はとても印象に残っています。コロナ禍においてソーシャルディスタンスを取りながら、経済を回すためにイベントに取り組む活動がとても参考になりました。いいアイデアだなーというだけでなく、人々がリラックスしながら楽しめる公共空間を作っているのがとても素敵でした。
私が目指している保健師の視点でこのイベントを見て、「生活習慣病対策にいいな!」と感じたこともあります。健康にいい食事を、パンフレットなどでただ紹介してもあまり効果はなく、その食事の楽しみ方などを紹介していくことが重要だと日頃から思っていたこともあります。私も、こうした「人の繋がりを作るようなイベントを通して、生活習慣病対策の情報を発信していくことができたらいいな」と思います。
 


昨年度のど・ゼミでご紹介いただいたイベント「水辺で乾杯」は、2021年度も蜜を避け流デザイン的な工夫をしながら実施することとなった

 

蜂谷:私は、「ど・ゼミ」の第2回に登壇くださった田邊寛子さんに質問した時の田邊さんからの答えが印象に残っています。
僕が「東金市は「魅力のないまち」なのですが、そんな場所でまち歩きのコースを作る場合、どのようにしたらいいですか?」と質問した際に、「まちづくりをしたいと思っている人が、自分たちが活動をするまちのことを「魅力のないまち」と呼ぶことは悲しい」と言っていたんですね。また、「簡単なまちの魅力の見つけ方」というものを教わりました。それは「日常にもいいものはある」というもので、当時の自分には目から鱗の話でした。当時の自分は、まちの魅力というものは、絶景とか遺産などといった特異ものだと思っていたんですけど、そうではないことに気付かされたんです。おかげで、僕が日常的に行なっているランニングをしながら「個人的に気持ちいいと思うものを共有していくことでもいいんだ」と思えるようになりました。
田邊さんの場合と同じような理由で印象に残っているのが「ど・ゼミ」の第12回に登壇くださった洪華奈さんのお話で、とても参考になりました。「まちづくり」に取り組む中で、何をおいても「まちに住む人の意識改革が必要だ」ということが印象に残っています。「まちづくりコンサルを生業とする人が何かを提案してまちを変えることがまちにとって必要なことなのではなく、そのまちを維持していくための意識改革がなければまちの表面が変わっても何も変わらない」ということなのだろうな、と思いながら話を伺いました。
 


田邊さんのInstagram「旅するうなぎのねどこ」(https://www.instagram.com/unaginonedoco/ )で紹介されている奄美群島の新たな魅力発見のための企画や活動
 



洪さんの最近の活動
「Loiduts」洪さんが所属するstudio-Lが運営する社会貢献型ショッピングを体験できるアートプロジェクト ( http://loiduts.studio-l.org/ )

 

漆山: 私は、第13回目の「ど・ゼミ」に登壇してくださったプレイワーカーの矢野真利那さんのお話が印象に残っています。個人的な話なのですが、当時の私は、内定先が決まっていたのですが、その仕事に一生従事することに納得ができていませんでした。そんな折に、初めて聞いたプレイワーカーという職種に接し、「世の中には、まだ知らない仕事がたくさんあるんだ...」と自分の人生のキャリアを考える励みになったんですね。
自分はクリエイティブな仕事に就きたいと思っていたので、「人生の選択肢を作るのは自分なのだ」と改めて思いました。就職と人生の楽しみを天秤にかけながら真剣に将来のことを考えなくてはいけない4年生の時期に、この自主ゼミに参加したことがよかったのかもしれません。
 


矢野さんの最近の活動

左:矢野さんが所属するTokyo Playが主催する遊びの大切さを考えるキャンペーン「Tokyo Playday」(https://playday.jp/)

右:矢野さんが伴奏している「松陰神社通りのみ・ち・あ・そ・び」プロジェクト

 

梅井: 皆さんの話を聞いていて、私は将来のこととつなげながら自主ゼミに参加できたかな、ということを思い返しました。
そもそも「まちづくり」は、建物を作ったり道路整備をしたりするという理系の人の仕事だと思っていましたが、学んできたことを振り返ると、実は、そうしたハードだけではなく、まちの中のソフト面も変えていかないといけないんだなということがわかりました。そういうこともあってか、将来は「まちづくり」に関するソフト作りに関われればとは考えています。とはいえ、「まちづくり」に関するソフト面の仕事も色々あります。ただ、どれか一つのソフト開発に関わりたいというわけではなく、ここで得た知識をうまくコーディネートし活用できるようになれればいいなと考えています。
なので、この自主ゼミのような地域課題や地域での活動状況を共有する情報のプラットフォームがあることは助かりますし、非常に重要なことなんだなと受講しながら思いました。

 

清水: 私も、このような様々な仕事に携わる方からお話を伺う機会があることは、とても貴重だと考えます。とくに、働き始めると、このような他分野の方のお話を伺う機会はそう多くないと思うからです。
ただ、私は、地域情報のプラットフォームに期待するというよりも、自主ゼミに参加したことで、卒業後も積極的に「異分野交流」を行っていきたいと思うようになりました。自分が働いている環境だけでなく、違う環境や地域を知ることで、考えつかなかった発想を得られ、成長できた部分もあるからです。

 

● 自主ゼミで学んだことを、将来どこで・どう活かそうと思っているのか?

畑内: 私も、色々な意味で成長できました。
1年生の時は看護師になることしか考えていなかったんですけど、病気の発症から人を回復させることがメインの仕事になってしまう看護師ではなく、未然に病気を防ぐことを念頭においた保健師の仕事にも興味を持つようになりました。
そのためか、この自主ゼミを受講しながら、保健師として就職するまちに、どのような地域コミュニティがあって、どのようなイベントが実施されているのかということが一目でわかる情報プラットフォームがあるといいな、と思うようになりました。それと、そうしたイベントに協力する方法がわかると、地元ではない場所で就職するとしても仕事にスムーズに関連付けることができるのにと考えています。
どこかに、そういう情報はないですかね...?笑
ちなみに、私は青森県出身なのですが、看護学部が地域の病院と連携して整えた奨学金制度を活用しているため、入学早々に就職先は決定しています。つまり、青森県で保健師としてスタートをきるわけではないのですが、Uターン後のセカンドキャリアについて考えると、地元の青森県で地域支援の一環として何かできればと考えています。

 

丸山: 私は、第1回目の「ど・ゼミ」に登壇してくださった、香川県で地域メディアのあり方について考えていらっしゃる坂口祐さんのお話が参考になりました。その背景には、私自身がメディア制作の仕事に携わりたいということが理由としてあげられます。先ほどから話に上がっている、地域情報のプラットフォームづくりにも興味があることもあります。
ただ、それだけではなく、坂口さんの出身地が私と同じ東京であるにも関わらず、香川県という縁者のいない地域で活躍されていることに驚かされたからです。私には、そもそも「就職は、東京でするもの」という固定観念のようなものがありました。しかし、坂口さんの話を伺って、「地方にも面白そうな仕事がたくさんあるんだな...」と思うようになりました。今の時代だからこそ、地方に目を向けるのも一つの選択肢なのだと視野を広げることができました。とはいえ地方で働くという決断はまだできていませんが、どこにいても広い視野を持つことの重要性を学べました。
 



坂口さんのweb site「物語を届けるしごと」( https://yousakana.jp/ )で紹介されている瀬戸内の多様な情報

 

蜂谷: 僕は、長崎県民でしたが、家庭の事情で現在は神奈川県民になりました。今でも長崎には同級生などが暮らしているので、彼らと一緒に何かやってみたいなとは思っています。とくに、すでに話題に上がった第10回「ど・ゼミ」の大地千登勢さんのように、長崎も空き家問題や離島の問題が多く山積しているので、こうした問題の解決に取り組んでみたいという気持ちはあります。一旦、東京で就職しても、いつになるかはわかりませんが、故郷に錦を飾りたいものですね、笑。

 

梅井: 僕も、いずれは、出身の新潟県の実家に帰って仕事をしたいと思っているんです。確かに、首都圏や新潟などの県庁所在地に近い地域の方が楽しいことは多いと思うのですが、自分が消滅可能性のある地域の出身ということもあってか、そういう場所を残していきたいという思いが強いので、地元で何ができるかということを若いうちから考えてみたいと思っているからです。自分の地元がなくなるのは寂しいですからね...。そのための打開策を早くみつけたいと思います。

 

漆山: 第4回目の自主ゼミ「よ・ゼミ」は、私の地元である長野県の企業として安藤百福記念センター(日清食品)さんがお話しくださり、その際にも本音を吐露しましたが、私は「地元が好きなので、地元へ帰りたい!」という想いが強いです。
そもそも長野県は、IターンやJターンといった移住者やUターン組が多い地域です。そうした方々は、企業に就職されているということもあるのですが、起業している人も多いようですね。ただ、私は彼らのように起業したいというわけではなく、そうした活動をしている人たちを自分の力で発見し、紹介することに貢献したいなと思っています。どういうかたちでできるかは今後の課題です。

 

◆ 出席者

観光学部:丸山ケン太(4年)、清水香那(3年)

国際人文学部:漆山ありさ(4年)

看護学部:畑内海咲(3年)

環境社会学部:蜂谷主(4年)、梅井舜(4年)